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力量差
サングラスの男は殴られた体制のまま制止していたが…。
途端に蛇のような速度で文字通り皇の腕に男の手が絡み付く!
…!!!
再び宙を舞う。真っ暗な空が見え、次に湖、最後に芝生。
ゴッ、という音がした。衝撃という名の電気が走る。星が出る、というのはこういう事だろう…。
頭から投げ落とされた“乙”は死んではいない。確認した後、距離を取る。殴られた時に落ちたサングラスを拾い、かけ直す。更に腕時計に目を落とす。間も無く撤収時刻。倒れる男に背を向けた。
「おい…っ。逃げんのかっ」
皇はふらつく頭を起こしながらも一条を逃がすまいと、声を絞り出した。一条は振り向いたが、もう興味は無くしたとでも言うように、再び背を向けるとそのまま闇に溶けていった。
「チクショウ…!」
跪いたまま、皇は拳を地面に叩き付けた。
皇が弱い訳では無い。一条が強すぎるのだった。最後皇を投げ飛ばした一撃も意識を数秒奪っただけだったが、並の人間ならしばらくは動けない。下手をすれば命を落としかねない代物だったのだから。
…俺の、完敗だ…。
皇はやりきれない気持ちのまま、その場に崩れ落ちた。




