夜
ドガァッ!ガシャン!ガラガラガラ…
「次は死ぬぜ…?機嫌よくて良かったな?」
神崎は倒れて呻く男に抑揚の無い声を浴びせると、男はヒィィ…と情けない声を漏らし、暗がりの奥へと逃げて行った。
「早く明日にならねぇかな…。それにしても柊の野郎ウゼェ…その内くびり殺してバラバラにしてやる…」
神崎はクックッ、と喉の奥で嗤うと、闇に消えていった…。
暗い事務所。物音が聞こえる。
カチャカチャ…ジャコッ、カシャン。
犯罪の増加により、一般人はおろか、所謂ヤクザですら今では手に入れにくくなった銃火器。その手入れを行う人物がいた。
「………」
壁際には一条の姿が。
「仕方の無い子…。大人しく従っていればいいのに」
声の主は女だった。その言葉の意味は伝わったか否か。一条は反応を返さない。
「…フフ。貴方は違って良いわ。お人形さんだからねぇ…」
子供をあやすかの様に、女――鳴神は言葉を掛ける。しかし一条は無反応だ。
「いい子…。明日は頼むわね。表向きの任務と一緒に達成できれば文句はないのだけれども」
相変わらず無反応な一条を見やると、フフ、と笑い鳴神は立ち上がった。
「まぁいいわ。少なくとも貴方はしくじることは無いでしょうし。」
鳴神は肩まで切り揃えた髪を翻すと一条に背を向けた。
「今度も期待してるわ。ナンバースリー。フフッ」
鳴神はカツカツ…と靴音を響かせつつ事務所を出ていった。
後に残された一条は微動だにしない。正に彼は『人形』だった。
夜が更けていく。




