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ヘソの洞窟の6英雄  作者: 卓
3/14

上級職

 湧き水が地面を満たしている。


 ピチャピチャと足音をさせながら進む。

(音で気付かれるとマズいわね)


 ハンターディーンは浮遊の呪文を唱える、フワッと2人が浮く。

「うぉ! 浮いてる! 浮いてるよ!」

「しーっ! 静に!」

 子供のようにはしゃぐロンを黙らす。


 奥の方から声がする、かなりの数だ。

「多いな、どうする?」

「宝はどの辺?」


「宝はまだまだず~と奥だよ」

「なら宝を吹き飛ばす心配ないわね、もう少し近づいたら熱いのをぶちかますわよ!」


 死に神が近付いてくるとは知らずにオーク達がブドウ酒を飲んでいた。


「しばらく遊んで暮らせるな」

 10人以上の中でひときわ体の大きいオークが満足そうに周りに話しかける。


 腰巻程度しか履いていないオークの中でそいつは帰って来たばかりなのか革鎧を着て

 左腰下にはオークには似つかわしくない美しい鞘に剣を収めている。


 ーー……ボールーー


「うん?」

 何やら声が聞こえたような気がしたので振り返る


 ーー大きな火の玉が向かってくる!!ーー


 ーードッカーンーー


 ファイアーボールが炸裂して爆発する。


 ーーーーーーー



 プスプスと焼ける音がして焦げる臭いが立ち込める

「けっこういたわね」

「凄いな……あっという間だな……」


ーー死体の中からムックリと巨大な1つが起き上がるーー


「焼豚にするつもりかよ……」

 そいつは2人をにらむ、体は焼きタダレれていて体中から煙を上げている。


「まともに食らって……生命力凄いわね、誉めてあげるわ」

「こ、こんなとんでもないオークがいるのか……聞いたことないぞ……」


「宣伝はしてないからな」

 ニヤリと笑ったかと思うとそいつが近付いてくる


 ロンは身構えながら少し後ずさる

(危なくなったら逃げてまえ!)


 ハンターディーンが呪文を唱え始める


「おっと、2発目はごめんだ、俺の負けだよ降参だ」


「俺の宝を横取りするからバチが当たったんだ」

 オークに戦闘意欲がないと見るや先ほどの逃げ腰とは打って変わり少し近づき高飛車になる。


「仲間を殺されたがオークは薄情なもんさ……どうだい? 俺の生命力を見ただろ? 俺と手を組まないか?」


「バカ言え! 俺の宝は残っているんだろうな! ちきしょうめ! まったく!」


 怒り心頭の高飛車の盗賊に反して魔法使いの赤毛の女は少し笑いながら曲げた指を鼻の近くに持っていき言った。


「ふっふ、面白いわね、私もあなたの力が必要よ」


 !!!!


「な! なんだって!! 冗談も休み休み言えよ!」

「冗談じゃないからもう一度言うわ、あなたの力が欲しい」



 ーーーーーーー


 宝は半分以上無くなっていた、ロンは怒ったが後の祭りである


 洞窟の入り口を塞ぎ満足の行くまで偽装をしたロンは女と納得しがたいが仲間になった豚をつれてミッドナルドに戻った。


 ミッドナルドに戻るとロンは50万ゴールドを女にくれてやり

「あんたとは二度と組むことはないだろう!」

 

 そう言い残し女と豚と別れたのだった



 ーーーーーー


「みんな報酬低いわね」

 紅の暁亭の掲示板には仕事が貼り出されている。


「小さなことからコツコツとやって行くしかないな」

 この前仲間になったオークだ、ファイアーボールのダメージは回復している。


 このオークはファイターではなく驚くことに上級職であるロードであった。


 そして腰下の鞘に収まる剣は魔法の剣だ、ロンの隠し場所から拝借したのだ。


「マスターに聞いてくるわ、貼り出してない仕事があるかもしれないから」

「俺は腹が減ったからテーブルに戻るよ」


 ーーーーー


「マスター、張り出し以外の仕事無いかしら? なるべく報酬が高いので」


 ドワーフの亭主は白髪の長く立派な顎髭をシゴキながら鼻を膨らませ諭すように話す。


「赤き賢者ハンターディーンよ、洞窟に潜らなくて良いのか? 王が待ちわびているぞ?」


(分かり切ったことを聞くのね)


「潜るのには仲間が足りないのよ」

「おぉ、そうだった、愚問だったな」

 そう言ってカウンターに置いていた自分のエールを飲み干す


 ミッドナルド近郊の洞窟を探索するにはオークと2人ではとてもできない


バランスの良いパーティで6人は欲しい、いや6人くらいが小回りも利くしベストではないかとハンターディーンは思う


「仕事かどうかは知らんが仲間を探している者がいるぞ、ほら、あそこだ」

 アゴで示した先にはテーブルで座る1人の金髪の女がいた。


「ありがとうマスター、行ってくるわ」

(体つきからして……プリーストか……ファイター……武器がショートソードかしら……ファイターかシーフ)


 ーーーー


「食事中ごめんなさい、話したいことがあって……ここ空いてるかしら?」

「ええ、どうぞ!」

 その女の正面に座る。


「エールは飲める?」

「ええ」

「エール2つお願い!」

 ハンターディーンのおごりだ。


 聞けばミッドナルドに来る途中に立ち寄った町を助けたいとの事だった、領主が人間では無いようだと言う


「なぜそう分かるの?」

「若い娘を館に連れ込んでは食べていると噂なの」


(噂ねぇ……)


「報酬はいくら?」

「報酬?」

「えっ?……ええ、報酬よ、町を助けたいんでしょ?」


「私は仕事の依頼ではなく仲間を募集しているんです、そしてその町に行きたいんです」


(ま、まあ確かにマスターは仲間を募集してるって言ってたけど……でも……これって体良く領主討伐をタダで手伝わせようってことよね)


「無理にとは言いません、エールご馳走様でした」


「あ、あの……あなたの……クラス教えてくれる?」


「私はヴァルキリーよ」

「ヴァ、ヴァルキリー!!」


 ヴァルキリーは上級職である










 










 


 


 




 

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