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雷帝は修羅の道を歩く  作者: 九日 藤近
第二章 シナーラ
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91 学園祭

今回は学園祭です。


作者である僕が学園祭を経験したことがないため、変な所があったら教えてください!

 学園祭。それは、体育祭、修学旅行に並ぶ学校の一大行事。


 魔法学院であるヘルスーナ魔法学院でも、勿論学園祭は存在する。


 俺たちは、その学園祭で定番の喫茶店をすることになった。


 「いらっしゃいませ~!」


 俺は店員として店先に立っている。


 「・・・・・・・・・。」


 客は、俺を見ると、動きを止める。


 そしてケータイを取り出す。


 カシャカシャカシャ!


 客は俺のことを激写すると、俺が案内した席に座った。ちなみに、客は女性だ。


 「はぁ。」


 俺は思わずため息をついてしまう。


 「椎名君、どうしたの?浮かない顔しているけど。」


 俺の心配をしてくれているのは、この五組の学級委員長、白鳥綾だ。


 「そりゃぁ、こんな衣装着てりゃため息もつきたくなるよ。」


 俺はそう言って、自分の体を見下ろす。


 今俺が着ているのは、キツネのコスプレ衣装だ。体には着ぐるみのようなものを着ていて、頭にはカチューシャのようなもので耳をつけ、お尻にはベルトで固定した尻尾が付いている。さらに、ベルトは巧妙に隠されており、パッと見ただけではわからない。


 「着替えちゃダメかな?」


 俺がぼそりと言った言葉に、教室に入った女性客と、店員をしていた女生徒達が殺気立つ。


 「ダメよ!」


 「私が何のためにこの店に入店したと思っているの!?」


 「こんなに可愛いんだから、着替えちゃダメ!」


 女性たちの大反対を受け、俺は折れるしかなかった。


 「は、はい。」


 俺はしょんぼりとうなだれる。


 しかし、その姿も何か女性たちの何かを刺激したらしく、全員がケータイを取り出し、おれの事を激写する。


 そのせいで、注文された料理を焦がしているクラスメイトもいた。


 ちなみに、俺は男子生徒に「助けてくれ!」と視線で訴えたが、ものすごい勢いで目をそらされた。アイツラアトデコロス。


 はっ!?


 危ない。怒りに取りつかれるところだった。


 とりあえず、俺はしぶしぶウェイターとしての仕事に戻った。




 時刻は昼過ぎ。大量の客が昼飯時に来て、その対応に追われた俺は椅子に座って休憩している。と言っても、まだ仕事が終わったわけではない。俺は二日ある学園祭のうち、初日丸々シフトを組んでいた。


 理由としては、この衣装を二日着たくないから、シフトを一日にまとめてもらったのだ。


 しかし、そんな俺の疲れなど知ったことかと言う勢いで教室の扉が開かれた。


 扉を開けたであろう女性は、教室内を見回すと、俺を見つける。


 「かわいい~!」


 女性は次の瞬間俺に飛びついてきた。


 「わ!やめろよ咲夜!」


 そう、飛びついてきたのは神の里の長、咲夜だ。


 「ていうか、なんでお前ここにいるんだよ!?」


 俺は咲夜の頭をつかみ、俺から遠ざけさせる。


 「椎名の学校で学園祭があるって聞いたから!」


 咲夜はそう言って胸を張る。


 「だからってなんで来るんだよ。」


 俺は溜息をつきながら、咲夜を席に案内する。


 「浮かない顔だね。じゃあ、とっておきを見せちゃおう!カモン!」


 咲夜は、そう言って教室の扉を指さす。


 「椎名、なんで呼んでくれなかったの?私寂しいわ。」


 教室の扉の影から出てきたのは・・・・・・・。


 「・・・雪姉?」


 あまりの事態に俺はそれしか言葉を口にできない。


 「な、なんでここにいるの?」


 俺が我を取り戻すころには、もう雪姉は席についていた。


 「何でって、弟の文化祭にお姉ちゃんが来ないわけないでしょ。」


 雪姉はものすごく楽しそうな顔で、そう言った。


 「それとも、来てほしくなかった?」


 雪姉は、上目図解&若干涙目で俺のことを見てきた。


 「そ、そんなことないよ!来てくれてありがとう!雪姉!」


 雪姉にそんなことをされては俺はそう言うしかない。


 俺はとりあえず咲夜に顔を近づけ、小さな声で問いかける。


 「何で雪姉がここにいるんだ?」


 「それは・・・・。」


 まとめるとこうだ。


 咲夜は、俺から学園祭があると言うことを聞いて、来たくなった。でも、一人は寂しい。咲や、他の里の者たちは都合が悪くこれなかったらしく、俺が昔姉のように慕っている人間がいると言ったのを覚えていたのでその人間(雪姉)を誘ったところ、あっさりオーケーされた。らしい。


 「椎名、写真撮っていい?」


 雪姉はそう言って、今現在発売しているカメラの中で一番性能が良いと言う超高級品のカメラを取り出した。カメラの知識が全くない俺でも、そのカメラはものすごく高額だと言うことを理解できた。


 「雪姉、それどうしたの?」


 俺は頬を引きつらせながら問う。


 「私のお給料五か月の成果!」


 雪姉は胸をはりながらそう答えた。


 「そんなことのためにお金を使ったの?」


 俺があきれながらそう言うと、雪姉は少し怒りながら反論する。


 「いいんです!このカメラは、椎名の成長を記録するために買ったの!それは、あなたの成長を記録に納めないなんて、許されることじゃないわ!」


 雪姉は力強くそう宣言する。


 周りにいた女性客は、しきりに頷いている。


 「もう勝手にして。」


 俺は諦めて、雪姉にせがまれたポーズをとっていった。


 余談だが、この年の五組は、初日の売り上げが五十万を超え、二日目も無理やり駆り出された椎名のおかげで六十万の売り上げを出した。

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