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雷帝は修羅の道を歩く  作者: 九日 藤近
第一章 レムナット
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7

 (なんだこのステータスと、スキルの量は?確かに、魔物も人間も、襲ってくる奴は片っ端から殺したが、だからってこれはないだろ!?)


 万もの魔物や、人間の兵士、襲ってくる市民を葬ったことにより、優のレベルが大幅に上がり、ステータスやスキルもすごいことになった。


 (これでも、我のほうが強いというのか?)


 ボヴァルキアが、いたずらっぽくそう問いかけてきた。


 「いや、そんなことは言わないさ。で、もう一度聞くけど、俺と契約するのか?ボヴァルキア。」


 優が聞くと、ボヴァルキアは少し考えた後、しっかりとうなずいた。


 (従魔契約などしたことがなかったのでな。少し興味があるのだ。)


 そういって、ボヴァルキアは契約魔方陣を足元に広がった。優もそれに答えるように契約魔方陣を展開し、互いに契約を完了した。


 「これからよろしくな。ボヴァルキア。」


 (ルキで良い、親しいものはみなそう呼ぶ。)


 「分かった。じゃ、改めてよろしく、ルキ。」


 そういって、優はニコッと笑った。これが優にとって、この世界で初めてできた友達であった。


 (うむ、よろしくな。えーと…。)


 「優だ。海原優。こっちだと、ユウ・ウミハラかな?」


 (こっち?そなた…、優は、異国の出身なのか?)


 ルキはそう言って首をかしげた。


 「ん?お前俺のこと鑑定したんじゃないのか?」


 優は、自分が気付く前に自分の力を見抜かれたことから、ルキが優に鑑定をかけたと判断していた。


 「いや、わしは鑑定のスキルを持っておらん。長く生きれば、その者が持つ魔力で大体の強さはわかるもんじゃ。」


 確かに、優がルキを鑑定した時、鑑定のスキルはなかった。


 「ん?お前今しゃべったか?」


 そう、今まで頭に直接語りかけていたルキが、口を使ってしゃべったのだ。


 「ん?ああ、今までは、威厳を出すために、頭に直接語り掛けておったが、晴れて主従の関係になったのだ。そんなことする必要なかろう。」


 どうやらこのドラゴン、威厳の出し方を間違えたらしい。


 「頭に直接語りかけたら、威厳が出るのか?」


 「少なくとも、里の者どもは、威厳だあると言うぞ!」


 ものすごいドヤ顔でそう言い切ったルキは、どこか誇らしげだった。


 (ま、龍帝なんて称号もあるし、ドラゴンの中では偉いんだろうな。そんな奴が威厳を見せようとしてやったことを、否定できるやつがいるとは思わないが。)


 この瞬間、ルキは残念なドラゴンであることが、ユウの中で確定した。


 「それでは我は帰るが、我の力が必要になったら呼ぶがいい。たとえ入浴中でも駆けつけるぞ。」


 そう言ってルキは魔法陣の中に消えていった。


 「結局最後まで残念なドラゴンだったな。」


 優はそう言うと、魔物から肉を取る作業をつづけた。


 「次は野菜だな。」


 あらかた魔物の肉を取り終えた後、優は食べられる野草を探すため、森の奥へと入っていった。


 地球で友達が少なかった優は、幼いころ図鑑や、本などを読んで過ごした。そのため、ある程度野草の知識や、パッチングの知識もある。


 優は、地球で培った知識をもとに、食べられる野草を集めていった。



 何日たっただろうか。優が森の魔物という魔物を倒したため、あれ以来魔物の影も見えなかった。


 王国は、このことに対して捜査隊を送ることを決定した。優の捜索ももちろん行っていたのだが、それ以上にこの森に資源は無視できなかったのだ。


 優には知る由もないが、この森は魔の森と呼ばれている。この魔の森の魔物の素材は武器の作成に、そこら辺に生えている野草でさえ、薬にすれば極上のものが出来上がる。


 魔物がほぼいなくなった今、あまりに魔物が強いため人がこれなかったころとは違い、魔の森の調査もできるようになった。


 そうなれば、調査隊を送るのは、自然な流れではないだろうか。


 と、言うわけで優は今、王国の調査隊とその護衛に囲まれている。


 「この森を調査しに来たら大罪人出てくるとは、この森は本当に素晴らしい。」


 護衛の一人がいやらしい笑みを浮かべながら言う。


 「大罪人?俺は何も悪いことはしていないが?」


 優は、すまし顔でそう答える。


 (ま、今から殺人罪を犯すかもしれんがな。)


 周りを武装した集団に囲まれているにもかかわらず、なかなかに物騒なことを考える優であった。


 「しらばっくれるな!お前が勇者武田園香を殺したのは、周知の事実だ!」


 優は、大きなため息を吐く。


 「あのなあ、少し考えたらわかるだろう。園香叔母さんを殺したのに、なんでまだこんなところにいる?なんで他の勇者を殺さなかった?なぜ監視のない迷宮の中ではなく、わざわざ王城で殺した?もし俺が本当に園香叔母さんを殺したとしたら、不可解な点が多すぎると思わないか?」


 無駄だとはわかっていたが、優は一応聞いてみる。


 「今見なかったことにしてここを離れるなら、見逃してやるぞ?」


 優としても、園香の仇でもある王国の兵士でも人は殺したくはなかった。


 (ま、今更か。)


 そう、彼は襲ってきたからとはいえ、王国の兵士や、一般人も手にかけている。なので、本当に今更

である。


 「き、貴様!」


 護衛の一人が激昂して、斬りかかった来た。


 (やっぱりこうなるか。)


 優は、腰に差していたを抜いて、斬りかかってきた護衛の首を、刹那のうちに撥ねた。


 この刀、名を【雷刀・葉隠れ】といい、優が魔剣作成のスキルで作った刀である。効果は、魔力を通せば雷を纏い、切れ味を増す。さらに、魔力操作のスキルを使うことによって、魔力によって刃を伸ばすこともできる。


 「な…。」


 剣を構えていた他の護衛が、優のあまりの速さに言葉を失う。


 「どうした?まさか帰ってくれる気になったのか?」


 優が軽く挑発すると、護衛達はすぐに挑発に乗ってくれた。


 「な、舐めるな!」「いくぞ!」「死ね!」


 次は、護衛全員で襲い掛かってきた。


 優は向かってくる護衛のうち一人を上から下への袈裟斬りで倒し、返す刀で二人目を倒した。三人目と四人目は雷魔法で倒した。護衛はまだ十人以上残っている。


 「めんどくせーな。」


 優はそう呟くと、残りの護衛に向けて手をかざす。


 「竜の顎。」


 優はそう呟くと、魔法を発動させる。


 この魔法は、スキル【再現】と、【雷魔法】を使い、雷でルキの外観を再現したものだ。


 優はこの魔法を放つと、手の微妙な動きでそれを制御する。手を右に少し振ると、雷のルキも右に曲がる。上にかざせば、ルキも上に上がる。そうして、残りの護衛達もすべて息絶え、あとに残ったのは、調査員たちだけであった。


 「で?おまえらはどうする?おれとたたかうか?」


 優は一応そう聞いてみる。


 「ひ!い、いえ!私たちは帰ります!」


 調査員たちは、いまにもちびりそうな顔でそう答えた。


 「いい判断だ。」


 優はそう言って、葉隠れを鞘にしまった。


 「王に伝えろ。『俺はお前には屈しない。』とな。」


 調査員たちはそれを聞くと、逃げるように帰っていった。いや、正に逃げているわけだが…。


 優は調査員たちを見送った後、一人涙を流していた。


 「この世界の人間はどこまで腐ってやがる!くそ野郎どもが!」


 優は確信していた。王国はどこまでも追ってくると。王国にとって優は、異端者であり、勇者を殺した大罪人だ。他にもどんな罪を着せられているか、わかったものではない。彼らはどこまでも追ってくる。それこそ地の果てまでも。


 敵は人間全て。見つかれば容赦なく攻撃される。人間が住むところに逃げ場はない。


 ならばどうするか。人間がいないところに行けばいい。


 優は、人間の住む場所から離れるため、森を出ることを決意した。

これから、優の逃走劇が始まります。そんなに面白いものでもないと思いますが、読んでくれたらうれしいです


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