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雷帝は修羅の道を歩く  作者: 九日 藤近
第二章 シナーラ
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76 任務

 今日は俺の初仕事だ。


 と、言ってもそんなに難しいものじゃない。今日の仕事はいたって簡単。ただ麻薬密売組織を殲滅するだけだ。


 と、言うわけで俺たちは港近くのコンテナに来ていた。


 「港って、またベタですね。」


 「まあな。あいつらは密売は大体ここでする。港に近いから海外から麻薬を密売している奴らには都合がいいんだ。」


 「あれ?拠点を潰すんじゃないんですか?」


 「はぁ、お前、作戦指令所読んでないのか?」


 「読んでません!」


 「胸を張るな!」


 龍川は大きなため息をつく。


 「今回の作戦は、密売の現行犯を確保、もしくは殲滅する。」


 簡潔に終えた龍川は、また見張りに戻る。


 「それだけ?」


 「これ以上は知る必要はない。」


 「了解。」


 俺は軽く返事をして、さっきから気になっていたことを告げる。


 「なあ、取引場所って本当にここなのか?」


 「ああ、恐らく、このあたりのどこかだ。」


 「あっちのほうに人いるよ。」


 俺はそう言って龍川が見ていたのと反対のほうを指さす。


 「何!?」


 龍川は慌てて振り向く。しかし、そこにはコンテナが積んであるだけだ。


 「ん?何もないじゃないか。」


 「はぁ。この奥だよ。多分、密売の人だと思う。六人いるうち、三人が銃を持ってる。」


 「それだ!」


 俺達はコンテナの向こうに向かう。


 「ちょい待ち。」


 龍川がコンテナを飛び越えようとするのを、俺は静止する。


 「何だ?」


 「これ、突っ切っていくぞ。」


 「は?」


 「軍神之槍ヴェル!」


 俺は魔法の杭を作り出し、それをコンテナに向かって放つ。


 ドン!


 杭は轟音をあげてコンテナに突き刺さる。


 俺は練習を重ねることで、オリジナル魔法だけなら作れるようになった。既存の魔法で使えるのは、いまだボール系だけだ。


 オリジナルは、壁と波、そして伝説の武器をモチーフとした魔法を使う。


 ちなみに、この軍神之槍ヴェルは、ヒンドゥー教の軍神であるスカンダが使ったとされる槍である。


 とにかく、コンテナに穴をあけた俺は、その穴をくぐって密売組織を強襲する。


 「な、ナニモンだ!?」


 相手はよほど驚いたのか、武器すら出してない。しかし、俺が姿を現すと警戒して、武器を構えた。


 「もう遅いよ。」


 俺は一瞬で間合いを詰めると、布都御魂を抜刀し、一人目の男に振り下ろす。


 「ぐあ!」


 男はあっけなく右腕を切断される。


 「この野郎!」


 それを見た男の一人が銃をこちらに向ける。が、その銃から弾丸が発射されることはなかった。


 「がっ!」


 コンテナに空いた穴からナイフが飛んできたからだ。


 とんできたナイフは男の銃を持つ手に突き刺さる。


 「ほれ、もう一本。」


 勿論、やったのは龍川だ。龍川は気の抜けた掛け声とともにナイフをもう一本投げる。


 「グッ!」


 そのナイフは男の肩に当たる。


 「おい!」


 俺は銃を持つもう一人の男をけん制しつつ、龍川に話しかける。


 「お前なら一撃で殺せるだろ!」


 「今回の任務内容は何だ?」


 「殲滅だろ!」


 「違う!捕縛、または殲滅だ!殺さないなら、そのほうが良い!だからあえて一撃では殺さずに、恐怖を与えてるんだ!」


 事実、相手は戦闘をしながら、投げナイフで相手をなぶり、さらに会話までしている龍川を恐れている。


 「なるほど。」


 俺は武器を下す。


 「くらえ!?」


 それを見て、男が俺に突っ込んでくる。銃の弾はもう打ち尽くし、今はメリケンサックを手にはめている。


 「恐怖か。それなら、これなんかどうだ?」


 俺は収納から、一つの武器を取り出す。


 それは武器としてはあまりにも異質。とても実践で使えるとは思えないものだった。


 「お、大鎌?」


 そう、俺が出したのはただの真っ黒い大鎌だ。俺が持っている武器の中でも切れ味、能力共に強いとはいいがたい。


 そして、その武器は能力が一つしかない。その能力も異質すぎて、使いどころがほとんどない。


 その能力は、『恐怖を与える。』のみだ。


 しかし、その能力もこの状況には最適の能力と言えよう。


 「う、うわあああ!」


 密売組織の男たちは散り散りに逃げ出す。


 「逃がすかよ。」


 俺はそれを瞬時に捕まえる。


 「グハッ!」


 俺は全ての男に手錠をはめ、龍川のほうを振り返る。


 「な、何だ今のは?」


 龍川は俺の鎌の効果で、腰を抜かしていた。


 「俺の武器ですよ。それより、もう帰りましょ。」


 「そ、そうだな。」


 龍川は俺が手錠をかけた六人を見て、顔を引きつらせる。


 そして俺の初仕事は大成功に終わったのだった。

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