62 可愛い男の子
私の名前は神谷詩帆。
今日は私にとって特別な日だ。
なぜなら今日から私は小学生になる。まあ、私だけじゃなくて他にもいっぱい私と同じような人はいるけど。
入学式が終わり、私は教室に入る。
「1-2。ここだ!」
私は勢いよくドアをあけ放つ。
教室には先客がいた。ちっちゃい男の子だ。
背は私より低い。ちなみに私の身長は平均的だと思う。
男の子は母子本能を刺激されるような可愛い顔つきをしていた。
私がドアを勢いよく開けたことにびっくりしたのか、男の子はプルプルと震えている。
「私は詩帆!あなたは?」
「し、椎名。繭澄椎名。」
「へー。ね、好きな食べ物は?」
「み、味噌鍋。」
「私はチョコ!」
「そ、そうなんだ。」
なぜか椎名君は私を怖がっているように見える。
「椎名君はさ…。」
なので聞いてみることにした。
「私が怖いの?」
椎名君は少し考える。多分だけど、言うかどうかを考えたんだと思う。
「う、うん。でも、君だけじゃなくて、繭澄孤児院の皆以外の人間は全部怖い。」
椎名君の口から出てきたのは予想外の言葉だった。
「なんで?」
「何をするかわからないから。」
「どういうこと?」
「俺以外の人間がどんなことを考えてどう動くかなんてわからない。それによって俺に害がもたらされる可能性があるし、俺の大切な人たちが傷つく可能性もある。それがたまらなく怖いんだ。」
椎名君は悲しそうにそう言った。
「ふーん。私は椎名君を傷つけないよ。」
「だと嬉しいな。」
「だって私、椎名君と友達になりたいもん。」
私は自分の最高の笑顔を椎名君に向ける。
椎名君は少しの間ポカンとすると、笑い出した。
「なにがおかしいの?」
私は少し怒ったので椎名君に聞いてみる。
「そんなにストレートに言う人は初めて見たよ。じゃあ、これからよろしく、詩帆。」
椎名君はそう言って手を差し伸べてきた。
「うん!よろしく!」
椎名君の警戒心は解けたようだ。
こうして私は小学生になって初めての友達を手に入れた。




