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雷帝は修羅の道を歩く  作者: 九日 藤近
第一章 レムナット
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5

そういえば、前回出てきた新しいスキルの説明をしていませんでした。


魔才:詠唱短縮等の、魔法の補助のためのスキル。


詠唱短縮:魔法の詠唱を短縮できる。


魔の天才:魔法の天才に与えられる称号。スキル【魔才】を入手できる。

 優は城に戻ると、スキルの報告のため、王の執務室に、園香とともに向かった。


 「優です。スキルの報告に参りました。」


 優は、そう言ってドアをノックする。


 「はいれ。」


 ほどなくして、入室の許可が下りた。


 「病み上がりの身で、訓練ご苦労だったな。」


 優が部屋に入ると、王は優を労った。


 「いえいえ、陛下の責務の多さに比べると、大したことありません。」


 優は丁寧な言葉づかいでそう返した。いつもの優なら、敬語など使わないのだが、彼が帰りながら習得したスキル【気配察知】が、部屋の壁の向こうから、五人ほどの気配を感じていた。


 しかも、五人全員がかなりに手練れであり、優なら勝てるだろうが、五人一辺となると、少々厳しい。


 「それで?何か報告がしたいと言っていたが?」


 しばらく世間話を園香を交えてしていると、王が報告を優に求めた。


 「はい、僕のユニークスキルですが、倒した魔物のスキルやステータスを、自分の力に還元するものでした。」


 優が報告をした瞬間、王の表情が、笑みから、無へと変わった。


 「それは、殺した者のスキルやステータスを、自分のものにするスキルということかね?」


 王の表情ががらりと変わったことに、若干戸惑いつつも、優は答えた。


 「はい。恐らく。」


 優がそう答えると、王はスッと右手を挙げ、


 「やれ。」


 振り下ろした。


 王が右手を振り下ろした瞬間、優が把握していた、五人が一斉に動き出した。


 「は!」


 何が何だかわからず、呆けていると、横から、気合のこもった掛け声が聞こえてきた。そして一泊遅れて、ズドン!と、何かが壁に衝突、いや、突き刺さった。


 よく見ると、壁に突き刺さったのは、この国の兵士だ。恐らく、壁の抜こうに隠れていたうちの一人だろう。


 「ふー。」


 優が横を見ると、拳を突き出した状態の園香が、息を吐いていた。


 「逃げろ!」


 園香がこっちを向いて、そう叫ぶ。


 「そうはさせるか!この異端者!」


 王が優のことを異端だと言う。


 「殺した相手の能力を奪うスキルなど邪神のそれと同じではないか!」


 王がそう叫ぶと、隠れていた残りの五人が、優めがけて飛びかかってきた。


 「ファイヤーウォール!」


 優は、魔の天才の効果で、魔法名だけで魔法を発動した。そして、園香と一緒に部屋を出る。


 「優!早くこの城をだっしゅ…。」


 園香が何かを言おうとしたが、言い終わる前に、園香の胸から何かが生えた。いや、優はその何かが何か知っていた。しかし、認めたくなかった。なぜならそれは…



 剣だったから。



 「叔母さん!」


 優は園香に近寄り、彼女の肩を支えた。園香を刺した兵は再度園香を刺そうと剣を引き抜き振りかぶるが、優が目にもとまらぬ速さで剣を振り、絶命させた。


 「叔母さん!大丈夫、俺がなんとかするから!」


 優は泣きながら、園香を連れて逃げようとする。しかし、園香は優を突き飛ばしその場にとどまった。


 「叔母さん?何をしてるの?早く逃げないと!」


 優は、再度園香に近づくが、園香は優を殴り飛ばす。


 「叔母さん何を!?」


 優は園香の行動が理解できず、そう聞いた。


 「…げろ。」


 「え?」


 園香の声は、ひどく小さく、うまく聞き取れず、問い返す。


 「逃げろ!」


 今度はしっかり、大きな声を出した園香だったが、咳き込むと、血を吐き出した。


 「叔母さんは?叔母さんはどうするの?」


 園香のあまりの迫力に、優は恐る恐る聞いた。


 「私は、ここに残る。」


 「そ、そんな…。」


 園香の答えに、優は愕然とする。


 その時、優が発動したファイヤーウォールが霧散し、三人の兵士が切りかかってくる。


 「行け!」


 園香は、兵士の一人を殴り飛ばすと、再度こちらを振り向き、叫んだ。


 「行け!死ぬな!」


 「うううう、あああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」


 優は、泣きながら城の廊下を走った。後ろを振り返ると、二本の剣が体に突き刺さっている、園香の姿があった。


 「うああああああああああああああああああ!!!」


 優は、自分の道を阻もうとする兵士たちを、次々と葬っていく。もちろん、走る速度は緩めない。


 優が城を出て、町の外まで逃げた後、優が逃げた道には、道しるべのように兵士の死体が転がっていた。


 そのころ王城では、園香の死が優によるもので、優はこの国から逃げたという説明が、勇者たちにされていた。







 園香SIDE


 優にあったのは、帰省した実家が初めてだった。いつも冷静で、教師を目指していた私を本気で応援してくれた。


 私は彼のことを実の弟とように思い、可愛がった。


 優に会うたびに、私は驚いた。会うたびに、、前にできなかったことが出来るようになっていたからだ。


 優が私が赴任している学校に入学してきたとき、本当に驚いた。


 優の成績なら、もっと高いレベルの高校二も入学できたのに。


 聞けば、中学で友達ができずに、知り合いである私がいる学校に入る事にしたのだとか。


 それから、優は学校では浮いた存在になっていった。成績もよく、運動もできる、さらに、不良から恐れられている教師(私)と仲がいい。これで浮かないほうがおかしい。


 しかし優は、それらのことにもめげずに、私のイメージアップに尽力したり、ボランティア活動をすることで、友人もそれなりにできた。


 クラスではやはり浮いていたようだが、上級生には、それなりに知り合いができたと、嬉しそうにしゃべっていた。


 そんなある日、教室の床が光ったと思ったら、異世界に召喚されていた。


 次の日、訓練中に、優が、騎士団長の攻撃を受け、気絶した。


 とても心配だったが、命に別条はないそうなので、訓練に戻った。それから、一週間優は起きなかった。


 魔物を討伐委に行く日の前日、優が目覚めた。

 

 一週間も寝込んでいたことにびっくりしたようだが、割とすぐに冷静になった。


 訓練のグループは、優と同じになった。


 一週間寝込んでいたはずなのに、出てきた魔物を一瞬で倒してしまった。


 それと、優のユニークスキルの詳細も分かった。


 はっきり言ってチートだと思った。


 城に帰ると、王様に報告に行った。


 途中まではよかったのだが、優のスキルの詳細を聞くと、途端に態度が変わり、優を攻撃してきた。


 私は、襲ってきた兵士を、殴り飛ばし、優と部屋を出た。


 その時、優が何か魔法を発動していた。


 部屋を出たら、一人の兵士に胸を刺された。


 優が泣きながら私に近づいてくるが、突き放し逃げるようように怒鳴る。


 魔法が霧散し、兵士が姿を現すと、私は優を殴って逃げるよう叫ぶ。


 優は泣きながら、城の廊下を走っていく。


 兵士の一人が、私の体を刺す。


 さらにもう一人、最後の一人も、私の体に剣を突き刺す。


 廊下の先で、優が振り返るのが見える。


 私は、優の顔を見ながら、倒れていく。








 バイバイ。私の最愛の弟、優。

園香は、優を愛していましたが、あくまで弟としてです。決して恋愛感情ではありません。


これが、僕が言った胸糞の最初です。


これはそんなに胸糞悪くなりませんでしたが、この後に出てくる展開では、「は?なんでそいつ死ぬの?」みたいな展開があると思うので、ご容赦ください。


感想待ってます。

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