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「すいませんでした!」
今の状況を説明しよう。
カシムがルキに土下座をしている。
うん、意味が分からないと思うが、事実だ。
「それは我の裸を見たことへの謝罪か?それともその後のことか?」
ルキの顔には青筋が浮かんでいる。
事の始まりは一時間前にさかのぼる。
「終わった~。」
カシムは診察を終え、その場で伸びをする。いくら銭湯が傷を治すからと言って、病気まで直せるわけではない。そのため病人や、たまに眼鏡が欲しいというドラゴンたちがやってくる。そのため忙しさは実は前と変わらなかったりする。
それでも、今日は早く終わった。いつもなら二十人ぐらいドラゴンが来るのだが、今日は十人も来ておらず、さらにこれから来る気配もない。そのためカシムは診療所の扉に『診察終了。急患以外お断り。』の看板を掛ける。
「風呂でも入るか。」
カシムは夕飯を食べる前に汗を洗い流すことにした。
「今日は三番かな。」
カシムは風呂場の外にある棚から赤いボールのようなものを出す。そう、入浴剤だ。もちろんただの入浴剤ではない。この入浴剤は一から五番までの番号が付けられており、一番から怪我回復、病気治療、疲労回復、免疫上昇、虫歯予防の効果が付けられている。カシムは別に疲れているわけではないが、気分的に二番を選んだ。
ガラ!
カシムは勢いよくドアを開ける。
「フンフフフフーン♪…ん?」
ルキがいた。鼻歌を歌いながら風呂に入っていたのだ。そして入ってきたカシムとばっちり目が合った。
「な、な、な…、」
ルキは突然の乱入者に目を見開いている。しかしそれはカシムにとっては問題ではない。カシムの目はある一転にくぎ付けになっていた。ルキの胸だ。ルキは着やせするタイプなのだろう。現にいつもは見えない見事な二つのお山が見える。
「お前胸大きかったんだな…。」
カシムは驚きのあまり、ついそうこぼしてしまった。
「人の裸を見ておいて言うことがそれかー!」
ルキはカシムに飛び蹴りを食らわせる。
そして冒頭に戻る。
この後ルキの説教は二時間続いた。ルキは説教を終える。
「何か言いたいことは?」
「ございません。」
カシムはルキよりも圧倒的に強いにもかかわらず、その迫力のせいで完全にした手に出ていた。
ルキは一つ大きく息を吐くと、恥ずかしそうに俯いた。
「見たいなら言え。」
顔を真っ赤にさせてたルキは走って帰っていった。
「最後の何だったんだ?」
カシムは最後のルキの態度に少々の疑問を抱きながら、風呂に入った。




