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雷帝は修羅の道を歩く  作者: 九日 藤近
第一章 レムナット
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38

 「魔物にかまれたんですか。」


 「はい。ウルフ系の魔物です。」


 今日、昼頃に患者が来た。あのお姉さんの後は眼鏡が欲しいと言う人がたくさん来て、けが人などは少なかった。そんな中来たのが、腕にけがを負った青年だ。


 「ウルフ系ですか?ドラゴンなら余裕なのでは?」


 ドラゴンはなかなかに強いのでこの里の付近に生息する上位種といえどウルフなどに後れを取るとは思えないのだが。


 「群れに襲われたんですよ。確か二百匹だったかな?」


 「二百匹に襲われてその傷ですか。やはりドラゴンは強いですね。」


 「そんなことありませんよ。あなたなら傷一つつかないでしょ?」


 「確かにそうですね。」


 青年の冗談にカシムも笑って返す。


 「体も大事ですけど、武器もちゃんと手入れしておいたほうがいいですよ。戦闘中に折れたらしたら大変ですから。」


 「武器?」


 カシムが武器のメンテナンスを進めると、青年は首をかしげる。


 「ええ。武器はメンテナンスをしないとすぐダメになりますから。」


 カシムはメンテナンスをする必要性を説いていくが、直後青年が爆弾を落とす。


 「武器って何ですか?」


 「は?」



 大変な事実が判明した。なんとドラゴンは武器を使わない…、いや知らないのだ。眼鏡のおかげでけが人がより眼鏡を欲しがるドラゴンのほうが多いとはいえ、けが人も毎日一定以上はいた。それがどれも狩りに出ていた者たちであったが、魔物のレベルが高いんだろうとカシムは気にしていなかった。


 「と、いうわけで武器を作る。」


 「いや、どういうわけだ?」


 「どうもこうも、武器を作ればお前らはパワーアップできるんだ。作らないなんて選択肢はないだろう?」


 「しかし、誰も作り方など知らぬし、材料も…。」


 「俺にすべて任せろ。」


 カシムは胸を張ってそう断言する。



--二日後--



 「これがお前らの武器だ!」


 カシムはドラゴンたちを広場に集め、作った武器を見せる。


 「「「「「おお~!」」」」」


 ドラゴンたちはいまいちわかっていないようだが、何かが起こる事だけは分かったのか、歓声を上げる。


 カシムが作ったのはハルバード、ハンマー、モーニングスター、棒、メイスだ。何故これらかというと、ドラゴンたちが刀剣類を操る技術はないと判断したからだ。ドラゴンたちの狩りはただパワーに任せて相手を殴り殺すだけなので、威力のあるこれらの武器にしたのだ。


 「さあ、好きなのを取れ!」


 武器の数はおよそ千以上これでもまだ里の全員にいきわたっていないが、まずは狩りをする者たちの分を作った。


 「「「「「ありがとうございます!」」」」」


 ドラゴンたちは思い思いの武器を取っていく。もちろん武器は全てカシムが作ったので、とんでもない性能を誇っている。しかし武軍は使っていない。武軍を使ってしまうと、武器がカシムにしか使えなくなってしまうからだ。


 「それで狩りも楽になるはずだ!頑張れよ!」


 カシムはそう言って診療所に戻った。



 夕方、カシムがそろそろ夕飯を食べようと診察所を閉めようと外に出ると、血まみれのドラゴンたちが帰ってきた。今まで触れていなかったが、診療所は里の出入り口のすぐ近くにある。そのため、カシムは帰ってきたドラゴンたちをいち早く発見できた。


 「お前ら大丈夫か!?」


 カシムはすぐにドラゴンたちに走り寄る。


 「あ、カシムさん。大丈夫ですよ。これは返り血ですから。」


 先日治療した青年が笑いながら言う。


 「そ、そうか。」


 カシムは心底ほっとしたような顔でそう答える。


 「それで?収穫は?」


 カシムは買ってきた動物(魔物)がいないことに気が付き、青年に聞く。


 「それなんですけど、あの武器で殴ったら全部爆散しちゃったんですよ!」


 「は?」


 「最後のほうは何とか調節できるようになったのですが、ほとんどの魔物をだめにしてしまったので今日は五匹だけです。」


 青年はにこにこしながら今日の戦果を出した。


 「小さなウサギが五羽だけ。」


 これは威力の調整が必要だと悟ったカシムだった。

まあ、考えてみればわかる事ですよね。強い力を持つドラゴンたちが。強い威力を持つ武器を持てばどうなるかなんて。


感想待ってます。

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