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今回は短いです。
ユウが起きるとそこには知らない天井…、ではなくカミールの寝顔だった。
ユウは静かに起き上がり、周りを確認する。どうやらカミールに膝枕されているようだ。
「ありがとな。」
ユウはそっと立ち上がり、カミールに収納から出した毛布を掛ける。
「そういえば今日はあの夢を見なかったな。」
ユウはあの悪夢を見なかったことにほっと息をつく。
「ありがとう。」
ユウはカミールを見て、もう一度言った。
「ん…。」
その時カミールが起きた。
「おはよう。」
ユウがカミールに声をかけると、カミールはユウを見て、だんだん顔を赤くした。
「ね、寝顔見たか?」
カミールが慌てて聞いてくる。ユウはいたずらっ子のように笑うと、口を開く。
「ああ、見た。可愛かったな。」
ユウの言葉にカミールは顔をまた真っ赤にする。
「か、可愛い?」
ユウは面白そうにカミールを見ている。カミールはそれに気づく。
「か、からかうな!」
「あっはっは!悪い。でも、可愛いと思ってるの本当だよ?」
そう言ってユウは嘘とも本当ともとれるような口調、表情で言った。
「卑怯だ。」
「ん?なんか言ったか?」
カミールの言葉はユウには届かなかったが、カミールは何でもないとごまかした。正直カミールにも何が卑怯なのかわからなかったが、なぜかそう感じたのだ。それがユウへの恋心ユウへの恋心故なのだとカミールは薄々気づいている。
「お前の封印は解けたんだ。どこか行きたいところはあるか?」
ユウは朝食を食べ終わると、そう切り出した。
カミールはしばし考え、首を横に振る。
「いいや、ない。それに今は力を回復させたい。どこかに行くつもりも、余裕もない。」
「そうか。」
ユウはその答えを聞くと、収納から武器を取り出し、手入れをする。
「何をしているのだ?」
「武器の手入れだ。」
「そうではなくて。」
カミールはユウの答えがお気に召さなかったようだ。
「お前は私に付き合う通りなどないんだぞ?」
カミールの言葉に、ユウは困ったように表情を変える。
「俺は、俺の意思でここにいる。それとも、何か俺にいてほしくない理由でもあるのか?」
「それは…。」
ある。とはさすがのカミールも言えなかった。カミールはユウのことが好きだ。自分にかけられた封印を解き、自分と同じかそれ以上につらい過去を持ち、自分に優しく笑いかけてくれるユウのことが、カミールはたまらなく好きだ。しかしそうなると、自分が死ぬのが怖くなる。もっと彼といたい。もっと彼と触れ合いたい。もっと彼と話したい。カミールの中にどんどん欲望が集まってくる。
それ故に、カミールはユウにここを去ってほしいし、ユウにここに残ってほしい。
「お前の好きにしろ。」
カミールにはユウを拒絶できない。そしてユウも、無意識にカミールを好いているため、離れたくないと感じている。カミールは自分の行く末を悟り、覚悟を決める。
(私はユウのために死ぬ。どうせあと少ししか生きれないのだから、死ぬときはユウの糧になる。)
カミールはひそかに決意する。ユウはのんきに武器の手入れをしている。カミールは覚悟を決めると、今この時間を精一杯生きようとする。
とりあえず今は愛しい人の顔を見つめる。カミールだった。




