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雷帝は修羅の道を歩く  作者: 九日 藤近
第一章 レムナット
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ちょっと過去の回想が入ります。

 「なんでお前はいつも一人なんだ?別にオタクとかではないんだろう?」


 園香が前にそんなことを聞いてきた。


 「当たり前だ。俺は二次元になど興味はない。」


 そう、俺は確か、こんな感じでそっけなく返したんだ。あんなことになるなら、もっとちゃんと会話をしていればよかった。


 「なのになんで友達がいないんだ?」


 「そんなこと俺に聞かれても。」


 それにしてもこれは何だ?これは、過去に俺が体験したものと同じだ。夢か?夢だとしたら、明晰夢というやつか。


 そんなことを考えているうちに、記憶の中での会話は進んでいく。


 「じゃあ、ボランティアでも始めてみたらどうだ?」


 「分かったそうする。」


 そうだ確かそれで、ボランティアを始めたんだ。



 「優お兄ちゃん!」


 ここは…、そうだ。俺が一番最初にボランティアに行った幼稚園だ。確かここで、ものすごくなつかれた記憶がある。そういえばレナも俺になついてたな…。折れな子供に好かれやすいのだろうか。


 「お兄ちゃん、こっちこっち!」


 確かあの子は、優ちゃんだったか?名前が同じだったこともあり、特になつかれた記憶がある。


 「分かったから、あんまり走るんじゃない。」


 この後は確か…、


 「こいつ!」


 「きゃ!」


 そうだ、確か一緒に遊んでいた正人君が優ちゃんをぶったんだ。


 「正人君!」


 俺はすぐに走って行って、正人君を叱るんじゃなくて、なぜこんなことをしたのか聞いたんだ。俺がちょっと大きな声を出したから怒られるとお待った正人君は怖がっていたけど、正直に話してくれた。


 曰く、優ちゃんが俺とばかり遊んでて、つまらないとのこと。


 「じゃあ正人君も一緒に遊ぼうか。」


 「いいの?」


 「ダメって言うと思う?」


 それからは、正人君も一緒に遊んだんだっけ。あの頃が人生で一番楽しかったな。



 「おぬしは復讐などは考えなかったのか?」


 これは、レナとの記憶だ。確か、俺のステータスをレナに見せた数日後だ。


 「園香を殺した奴は追ってきた兵士の中にいたから殺したよ。だから、もう復讐とかはいいかな。」


 俺がそう返すと、レナはどことなく嬉しそうに笑った。


 「何だよ。」


 俺がそう問いかけると、レナは真剣な顔になった。


 「ユウは人間と魔族に違いは何だと思う?」


 レナがあまりにも真剣なので、ユウは正直に答える。


 「何も変わらない。強いて言うなら、ご先祖様がバカなことをした種族と、そうでない種族だ。」


 俺の答えに、レナはまた笑った。


 「確かに我々魔族と、人間での違いは、それしかないな。」


 「で?お前は俺に何が言いたいんだ?」


 俺はレナが言いたそうにしていることを聞いた。


 「確かに我々魔族は愚かにも、世界を手にしようとした。しかし、それも過去の話だ。今の魔族は、平和を願っている。ならば、我々魔族が他の種族と共存することもできるのではないか?」


 レナの話は、聞く人が聞けばケツの青いガキの戯言と鼻で笑われるだろう。しかしこの時の俺は、祖女ことは言わなかったはずだ。


 「俺がいた世界では、同じ人間同士でも肌の色が、生まれた国が違うというだけで罵倒し、見下している奴らがいる。それがこの世界では同じ人間どころか、違う種族だ。お前の理想を実現するのは相当難しいだろう。」


 「そうか…。」


 この後俺は何て言ったんだっけ?そうだ、確か…、


 「けど、できないことはないだろう。幸い俺ら人間にも、お前たち魔族にも、理性があり、言葉があるんだから。」


 今思うとクサイセリフだったが、あの頃の俺は大まじめで行ったはずだ。


 「ユウ!」


 その後、ずっとレナとそのことについて話した。いい思い出だ。



 「…ろ!」


 そうそうあの後、レナが具体策として交換留学などと言っていたが、人間の国には学校がないため、無理だということになった。


 「…きろ!」


 俺は、ワールドカップみたいなのを提案したが、そもそもこの世界にはそのような娯楽がないため、ボツになった。


 「起きろ!」


 「うるせえ!」


 俺は起きた瞬間、目の前にいた巨大な龍をぶっ飛ばした。


 「ぐはあ!ま、まさかこのダンジョンの最下層のボスである私がこのような形で負けるとは。坊主、お前強…。」


 「うるせえって言ってんだろ!」


 龍の最期の言葉は、ユウによって遮られた。


 ドゴーン!


 「ん?あいつこのダンジョンの最下層のボスってって言ってなかったか?って事は、あいつがここのボス!?」


 ユウは、衝撃の事実に戦慄する。


 「あいつがここのラスボスだったとは眠りを妨げられたことについキレてしまった。っていうかここ何処だ?」


 ユウは二十層を突破すると、二十一層からが草原ステージだったため、最近寝ていないこともあり昼寝をしたのだ。


 「なんで俺がここに?」


 ユウがそう呟くと、上から何かがパラパラと落ちてきた。


 「ん?」


 見てみると、それは石のかけらのようだ。」


 「なんでこんなものが上から…。」


 ユウは上を見て、言葉を失った。なぜならそこには、二十一層まで続く縦穴があったからだ。


 「ああ、そういうことか。」


 その穴を見たユウは、全てを理解した。自分が寝相でこうしたのだと。


 ユウは自分の寝相がここまでひどいとは思っていない。親からも、良く寝返りを打つ程度だと聞いている。ならばなぜこんなことになっているのか。それはユウのステータスに関係している。


 ユウが寝返りを打つたびに、ユウのそのあまりにも高いステータスが、改装の床をぶち抜いていったのだ。


 ちなみに、町ではダンジョンから鳴る轟音と地響きで、若干パニックに陥っていたが、ユウの知るところではない。


 とりあえずユウは龍に近づいていく。肉と素材を取るためだ。


 「よこらっせっと。」


 ユウは龍を持ち上げ、うつ伏せに寝かせた。


 「ん?」


 ユウは、龍の解体が終わり、あたりを見回すと、違和感を覚える。


 「空気の流れがおかしい。」


 ユウは壁の一部から風を感じて、その壁を調べる。


 「とりあえず壊してみるか。」


 ユウは拳を構え、壁を殴る。


 ドゴン!


 壁が崩れると、そこには階段があった。


 「まだ先があるってことか。」


 ユウはその階段を下りていく。

この優ちゃんと正人君ですが、また出てきます。これは一応今後絵の布石となる話になるかと。

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