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雷帝は修羅の道を歩く  作者: 九日 藤近
第一章 レムナット
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 ユウが魔物氾濫スタンピードの魔物を全滅させてから、人々はユウのことを『雷帝』と呼ばれるようになった。ユウはそれをやめるように頼んだりしたのだが、もうすでに王都に住むすべての人間がその名で優を呼ぶため、早々にユウはあきらめた。


 さて、昨日のことだが、ユウとレナが例によってユウの部屋でお茶会をしていると、一人のメイドがお茶菓子を持ってきた。


 「『レーネの菓子屋』の、ショートケーキです。」


 今日はユウが作った物ではなく、一般の店で作られた菓子をお茶うけに、お茶会を始める。


 「では、紅茶をお入れします。」


 そういってメイドがユウとレナのカップに紅茶を注ぐ。


 「ありがとう。」


 ユウがそういうと、メイドは「仕事ですので。」と言って、脇に控える。


 ユウたちは、気にせずお茶会を続けていく。


 「お、このケーキうまいな。」


 ユウが何気なくそう言うと、メイドが口を開いた。


 「『レーネの菓子屋』は、王都で一番人気の店ですから。それに、店で食べるパフェも絶品ですよ。」


 「へー。じゃあ、今度行ってみるかな。」


 ユウは、そんなにおすすめならと、その『レーネの菓子屋』に行く日取りを考え始める。


 しかし、メイドはユウのその言葉を聞き、目を光らせる。


 「それでしたら、明日行ってきてはいかがですか?」


 メイドの言葉に、ユウは困った顔をする。


 「あしたは仕事が…。」


 「他の者がやるよう、言っておきます。」


 何か、有無を言わせない迫力がある。


 「ユウの仕事くらい、私がやるよ。」


 レナがそう言うが、メイドさんを何を言ってるんだ?と首を傾げ、


 「陛下も行くんですよ?」


 と言ってきた。


 「ふぇ!?」


 レナはものすごく驚いているが、メイドさんは気にせず続ける。


 「週に一度、『レーネの菓子屋』のメニューに、星屑パフェというものが追加されます。それが絶品なのですが、日に五個しか作らないのです。そして、その週に一度の日が丁度明日なのです!なので、明日は二人で楽しんできてください。話は私がとおしておくので。」


 そう言ってメイドは部屋を出て行った。


 「何だったんだ?」


 ユウとレナは、出て行ったメイドのことを考えながらお茶会を楽しんでいく。



 次の日、本当に仕事がなくなっていたので、ユウはレナと『レーネの菓子屋』に行くことになった。


 ユウたちが『レーネの菓子屋』につくと、もう五人のカップルが並んでいた。ユウたちは五個限定と聞いていたので、早めに来たのだが、遅かったようだ。


 この店にカップルが多く来るには、理由がある。この星屑のパフェだが、あるジンクスがある。それが、『好きな人と食べればその恋は実る。』というものだ。


 もちろん優たちは知らない。


 ユウたちは、星屑パフェを食べるために並んでいる客たちの後ろに並ぼうとする。


 すると、丁度通りかかったカップルがこちらに気づいた。すると目を見開き、『レーネの菓子屋』の前にできた列を確認する。


 するとそのカップルは互いに目を合わせ、コクンと頷くと、列に並んでいる客に襲い掛かった。


 一組目のカップルを不意打ちで倒し、二組目のカップルが混乱しているうちに吹き飛ばす。三組目と四組目のカップルを見事なコンビネーションで圧倒し、五組目のカップルを一瞬のうちに血に沈める。


 しかし不思議なことは、倒されたカップルの全員がレナのほうを見ると、怒るどころかサムズアップし、気絶していったところだ。ユウはこの時、人間と魔族の文化の違いを思い知った。(勘違い。)


 いきなり客に襲い掛かったカップルは、満足げに息を吐き、その場を離れていった。もうお分かりだろう、このカップルこそ、『救恋の英雄』その方々である!


 こうしてユウたちは星屑のパフェを注文することができた。星屑のパフェは、普通のパフェに、星屑を模したカラフルなお菓子と、ソースがかかっていた。大きさは普通のパフェの二倍あり、二人で食べる用のメニューだ。


 とりあえず、ユウたちは星屑のパフェを頬張る。


 「ん~、おいしい!」


 レナは気に入ったようだ。


 「ああ、これはおいしいな。」


 ユウも気に入ったのか、スプーンがせわしなく動いている。


 「あ!ユウ食べすぎ!」


 レナはそう言って、負けじとパフェを頬張る。


 そのようにほほえましくパフェを食べていると、あっという間になくなってしまった。


 「あ、なくなった。」


 「あ、ユウ。ほっぺにクリームついてるよ。」


 レナはそう言ってユウの頬についたくりーうを自分の指で拭うと、それを自分の口に持って行った。


 「ありがとう。」


 ユウはそう言って、レナに微笑む。レナは顔を真っ赤にして、俯いてしまった。


 「レナ?」


 ユウはそんなレナを心配して、声をかける。


 「大丈夫!大丈夫だよ!」


 レナは慌ててごまかす。


 「さ、帰ろ!」


 レナはユウの手を引いて、店を出た。


 ユウはほほ笑みながらレナについていった。


 その日の夜、レナが私室で身悶えている姿が目撃された。





 夢の日まであと一日。

さて、夢で見た日付には、何が起きるのでしょう?

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