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雷帝は修羅の道を歩く  作者: 九日 藤近
第一章 レムナット
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戦闘シーンがかなり雑です。

 さて、ユウが魔王城で、レナの護衛の仕事をするようになったころ、ユウことを皆、『魔王様がそばに置きたいから護衛にした一般人』として認識していた。


 それでもレナのことを思い、誰もユウが城にいることに反対しなかった。むしろ城にとどまることを推奨するものもいた。


 しかし、ユウがレナに勉強を教えたり、文官の計算ミスを指摘したりしたことで、ユウに対する評価も変わっていった。曰く、『頭の切れる好青年。』だとか。




 そんなある日、城に兵士が走りこんできた。


 「報告します!砂漠の東より、大量の魔物がこちらに向かってきております!」


 「魔物氾濫スタンピードか!?」


 魔物氾濫スタンピード生物災害バイオハザードともいわれており、本来群れるはずのない魔物たちが、群れを成して町を襲う。まさに、災害だ。


 「規模はどのくらいだ!?」


 文官の一人が、怒鳴りつけるような口調で報告をしに来た兵士に聞く。


 「およそ二千です。」


 兵士の言葉に、文官はどこかほっとした顔をした。


 「兵士をすぐに王都防衛に回せ。それと、ハンターギルドにも応援を要請しろ。」


 文官は素早く指示を出す。


 「大丈夫なのか?」


 レナが不安げに文官に聞く。


 「ご安心ください陛下。我が国の兵士も、ハンターたちも、みな優秀です。」


 文官の言葉に、レナは一応安心し、この魔物氾濫スタンピードの行く末を見守った。





 一方そのころ前線では、みな緊張し、口数が極端に少なくなっていた。


 「お前ら!魔物はすぐそこまで迫っている!それも、数はたったの二千だ!恐れることはない!お前らの力を見せてやれ!」


 レスが集まった魔族の兵士やハンターたちを鼓舞する。本来こういうものはもっと上官がする役目なのだが、レスの場合、下手な上官よりも民衆に人気があるため、この約目はレスがやることとなった。


 レスの鼓舞を聞き、少しマシになったのか、兵士やハンターたちの顔が、決意に満ちたものとなった。


 しばらくすると、魔物たちが見えてくる。


 「来たぞ!魔法部隊、構え!打て!」


 十分引き付けてから、一斉に魔法を放つ。


 ドゴーン!


 地響きとともに魔法が着弾する。しかし、それで倒された魔物は、せいぜい百といったところか。魔族領は、魔物の数が少ない代わりに、魔物の強さが人間が住むところのそれに比べ、圧倒的に強い。


 魔族たちは、迫りくる魔物たちを魔法で吹き飛ばし、剣で切り裂き、槍で突く。


 そうして、数時間ほど戦った後、魔物は全滅した。


 「はあ、はあ。被害は?」


 「死者は兵士に五十名、ハンターは、二十名ほどです。重傷者は、その十倍入るかと。」


 レスが部下に聞く。人間の町で魔物氾濫スタンピードが起きた時とは比べ物にならないほどの被害の少なさだが、魔族は人間と比べてその数が少ないため、たったの数十二んであろうと、それは大きな被害なのだ。


 「そうか…。」


 レスはそう言って目を閉じる。


 「お、おい!何だあれは!?」


 その時、ハンターの一人が魔物がやってきた方角を見て、大声を上げる。


 「あ、あれは…。」


 レスや、他の兵士やハンターがそちらを見ると、先程とは比べ物にならないほどの量の魔物が押し寄せてきた。


 「ほ、報告します!魔物の大群が、またも発生しました!数は一万!いえ、まだ増えています!」


 二千の魔物でも、多数の重軽傷者が出て、怪我がないものでも満身創痍。もはや、勝ち目は少ししかなく、それもここいる全員の命を懸けることになる。


 「グオオ!」


 そこにいる兵士やハンターが王都を守るために死を覚悟していると、腹に響くような声が聞こえてきた。


 「あ、あれは…。」


 それを見たうちの誰かがつぶやく。


 「フレイムジャイアント。」


 この世界には、三大獣王と呼ばれる種族がある。ドラゴン、龍、そして巨人だ。フレイムジャイアントは、その巨人族のなかで、中位の巨人族で、フレイムジャイアント一体で国が一つほろんだという記録がある。ちなみに、ドラゴンと龍が分かれている分かれてカウントされている理由は、まったく別の魔物と判断されているからだ。


 「終わりだ。」


 一人の兵士がそう呟く。その言葉は、そこにいるすべての物の気持ちを代弁していた。


 「まだ終わってねーよ。」


 不意に上空からそんな言葉がかけられた。そこにいた全員が、一斉に空を見るそこには、空に立っているユウがいた。


 「そ、空に立っている?」


 そこにいた兵士や、ハンターは状況を飲み込めていない。空を飛ぶ魔法ならあるが、空に立つ魔法など確認されていないからだ。ユウは別に特別なことはやっていない。ただ、足元に結界魔法で障壁を張り、それに乗っているだけだ。


 「ユ、ユウ!ここで何をしているんだ!?ここは俺たちが時間を稼ぐ。陛下を連れて逃げろ!」


 レスがユウに声を開ける。が、ユウはスッと右腕を魔物に向けると、レスのいるほうへ顔を向け、返答する。


 「断る!」


 その答えに、レスは絶句する。ユウはそんなことお構いなしに魔法名を呟き、魔法を発動させる。


 「雷帝。」


 ユウが魔法名を呟くと同時に、ユウの体が雷に包まれる。


 「な、なんだ!?」


 レスたち兵士や、ハンターたちは、あまりの光に、顔を覆った。


 「さて行きますか。」


 雷が霧散し、出てきたのは全身を雷に変えたユウだった。


 「な、何だそれは?」


 レスは、今日何度目かもわからない疑問をぶつける。


 ユウはニヤッと笑うと、レスに言う。


 「俺の魔法だ。」


 ユウは【イカヅチ】を肩に担ぎ、魔物の群れに突っ込む。


 「お、おい!待て!」


 レスはユウを引き留めようとするが、そもそも上空にいる優を止める手段はない。


 「くそっ!」


 レスは悪態をつくと、ハンターたちを鼓舞する。


 「お前たち!今、一人の若者が戦っている!しかも、その若者は最近この国に来たばかりだ!なのに、命を懸けて我々のために戦っている!俺たちはこのままここにいていいのか!?いや、良くない!行くぞ!俺に続け!」


 そういってレスは剣を抜き、魔物の群れに突っ込んでいく。


 そのころユウは、魔物のいるところにたどり着いた。


 「ガアアア!」


 早速巨人がユウに拳を振り下ろす。


 「ふん。」


 ユウはそれを、右腕一本で受け止める。


 「ガ!?」


 巨人は、まさか受け止められるとは思わなかったのか、困惑している。しかし、ユウの雷の体に確かに巨人の拳は止められている。これは、ユウが自分の雷の魔法を相手の体の中に入れ、体の動きを乗っ取っているのだ。これは、【雷帝】を発動し、体が雷になったからできることである。体が雷になったことで、発動した雷の魔法を手足のように動かすことができるのだ。


 とにかく、ユウは受け止めた拳をつかみ、フレイムジャイアントを持ち上げる。


 「ガ!?」


 フレイムジャイアントはもがくが、無駄なことだ。


 ズドン!


 ユウが雷を落とすと、フレイムジャイアントはあっけなく絶命する。


 「雷殿。」


 

 ユウは、今まで一度も使ったことがなかった【イカヅチ】の能力を使ってみることにした。すると、ユウを、正確には【イカヅチ】を中心に、黄色い結界のようなものが張られていく。その結界が張られ終わるころには、魔物は全て結界の中に入っていた。


 「剛雷。」


 ユウは、魔法名を唱える。すると、ユウの頭上に魔方陣が浮かび上がる。その魔方陣が一瞬眩く光ると、魔法陣から雷が落ちていく。


 「雷龍の乱舞。」


 ユウはさらに魔法名を呟く。すると、落ちた雷が龍へと姿を変え、魔物たちを蹂躙する。


 ほどなくして、魔物たちは全滅した。


 「うおおおおおおおおお!!!!」


 ユウが地面に降りると、気合たっぷりでレスたちがやってきた。


 「ってあれ?魔物は?」


 ユウと合流してすぐに、魔物がいないことに気づき、レスが聞いてきた。


 「ああ、もう全部倒したよ。」


 ユウが笑いながら言うと、レスたちはしばしの間呆然とした後、ユウに聞いてきた。


 「一人で?」


 「ああ。」


 「さっきの魔法は?」


 「【雷帝】俺のオリジナルだ。」


 「雷帝…。」


 「雷帝ユウ。」


 誰かが不穏なことを言い始めた。


 「いや、俺が雷帝じゃなくて、魔法の名前が雷帝なの。」


 「「「雷帝!雷帝!」」」


 ついに雷帝コールが始まってしまった。


 「お前ら、やめろ!」


 ユウは顔を真っ赤にさせてやめさせようとするが、誰一人として聞いている者はいない。


 この日、魔国の英雄、雷帝、ユウ・ウミハラが誕生した。



 城に帰ったユウは、戦闘でというより、雷帝コールをされたことに疲れ、ベッドに寝転がる。


 「そういえば、今日は結構魔物を殺したな。ステータスってどうなってるんだ?」


 ユウは、自分に鑑定をかけてみる。


===============================================


名前:ユウ・ウミハラ


性別:男


種族:人間のようなもの


レベル:295


生命力:表示できません


魔力:表示できません


筋力:表示できません


敏捷:表示できません


防御:表示できません


魔攻:表示できません


魔防:表示できません


運:763962886


武術系スキル:全部あるんじゃない?


魔法系スキル:全部ある(多分。)


生産系スキル:武器作成LvMAX

       防具作成LvMAX

       魔道具作成LvMAX

       修繕LvMAX

       錬成LvMAX

       家事LvMAX

       ・

       ・

       ・


その他のスキル:異世界言語LvMAX

        鑑定LvMAX

        交渉LvMAX

        詐欺LvMAX

        全耐性LvMAX

        眷属化LvMAX

        ・

        ・

        ・


ユニークスキル:還元Lv--

        武才Lv--

        魔才Lv--

        魔法剣LvMAX

        再現Lv--

        絶体記憶Lv--

        重力眼LvMAX

        千里眼LvMAX

        魔力眼LvMAX

        虚無魔法LvMAX

        合成魔法LvMAX

        予知眼LvMAX


===============================================


眷属化:相手と契約することにより、眷属にできる。


魔力眼:魔力の流れを見ることができる。常時発動。


虚無魔法:虚無属性の魔法が使える。


合成魔法:二つの属性の魔法を一つの魔法として発動できる。


予知眼:魔力を目に込めることで、未来が見える。



 「なんか、変なのが見えると思ったら魔力か。」


 ユウは、ステータスの表示と、スキルの表示を華麗に無視すると、一つ溜息をついてもう一度ステータスを確認する。


 「はあ。」


 ユウは盛大な溜息をつく。


 「鑑定仕事しろよ。」


 どこかずれているユウであった。




 夢の日まで、あと三十五日。

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