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雷帝は修羅の道を歩く  作者: 九日 藤近
第一章 レムナット
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デート回ですね。楽しんでくれたらうれしいです。

 ユウとレナは、城下町に来ていた。


 「さて、来たはいいが、俺はこの国に来たばかりだし、お前はどこか行きたいところあるか?」


 ユウはそう言って、隣を歩いているレナを見る。


 レナは少し考えた後、首を横に振る。


 「そうか。じゃあ、俺が、メイドさんに聞いてきたところを順番に回るか。」


 ユウはそう言って、昨日メイドさんに書いてもらったメモを広げる。


 昨日、優たちが町に行くと知った時、メイドさんは泣きながらメモを書き、そこら辺にいたメイドや兵士たちから金を巻き上げ…借りて、俺に渡してくれた。


 ちなみに、金を貸してくれた人たちが、借りた理由を言うと、泣きながらさらに金を貸そうとしていたが、丁寧にお断りした。


 (町に行くだけでこんなに喜ばれるなんて、レナはどんな生活を送ってたんだ?)


 ユウは、隣を嬉しそうに歩くレナを見ながら考える。


 (ユウとデート♪ユウとデート♪)


 ユウが今までのレナの生活について考えている間、レナの頭の中はまさにお花畑だった。


 ユウはあまり気にしないことにして、メモに書いてあった店に向かう。ちなみに、場所は道行く人に聞いた。


 聞かれた人は、まず最初に俺を見て、珍しそうに観察した後、隣にいるレナのことに気づき、号泣した。


 ユウはなぜ泣かれたのか分からず、オロオロしていたが、昨日の謁見の間でのことや、夜のことも、今日の朝には国民全員が知っていた。


 さらには、八歳にもかかわらず、国民のため身を削りながら勉強をしているレナのことは、国中の人間が知っていたため、こうして町に遊びに来たことがたまらなく嬉しいのだろう。


 とにかく場所を聞けたユウは、その場所へ向かう。


 最初に行くのは、『アミーダの服屋』だ。


 「レナまずは、服を身に行くぞ。」


 ユウはそう言って、レナの手を取る。


 「ふぁ!?ユウ?」


 レナは顔を真っ赤にして、何かを呟き始める。


 ユウはそんなこと気にせず、どんどん先に進んでいく。


 ユウは決して鈍感ではないのだが、まさか八歳の子供に恋心を向けられているとは、思っていなかった。


 それはさておき、ユウ達は『アミーダの服屋』に到着した。


 「いらっしゃいませ。『アミーダの服屋』へ。私が店長のアミーダです。」


 店に入ると、蝙蝠の羽が背中にある女性の店員が出迎えてくれた。


 この店員は、泣いていなかったが、内心では大号泣していた。


 「ほら、好きなのかっていいぞ。」


 ユウはそう言って、金が入っている胸のポケットを叩く。


 ちなみに、今ユウが持っている金は、小さい家ならぎりぎりで買える程度だ。


 「いいの?」


 レナは、目をめっちゃキラキラさせて聞いてくる。王としての責務を優先させていたとはいえ、レナもやはり女の子なのだ。服を前に、興奮するのも、うなずける。


 ちなみに、城の兵士やメイドたちがユウ達を尾行していたのだが、その様子を見て大号泣していたのは言うまでもない。


 とにかく、レナは何着かの服を持って、試着室の入っていった。


 「レナ、俺は外で待ってるからな。」


 ユウがそういうと、レナは慌てて引き留める。


 「待って!レナの服見てよ!」


 「ん?でもそういうのって店員が見たほうがいいんじゃないか?」


 ユウがそういうと、アミーダが近寄ってくる。


 「確かに、私たちも見立てに自信はありますが、やはり男性目線の意見があったほうがいいのではないでしょうか?」


 「それもそうだな。」


 ユウはそれで納得してしまった。そう、してしまったのだ。ユウは知らないこれから地獄が始まることを…。





 「疲れた。」


 ユウはそう言って、椅子に座り込む。


 ここは、メイドさんにもらったメモに書かれている、ランチがおすすめのお店。『スパイス亭』だ。その名の通り、スパイスを主に使った料理が売りの店で、店に近づくだけで、章句欲を掻き立てるいい匂いが漂ってくる。


 さて、ユウがこんなに疲れている理由だが、勿論レナのせいだ。いや、レナのというより、レナの試着のといったほうがいいだろうか。


 レナは試着した服をユウに見せ、意見を求めた。最初のほうはユウもそれぞれの服にいいところなどを言っていたのだが、試着した服が五十を超えたあたりで、「いいね。」「似合ってるよ。」「可愛いね。」しか言わなくなった。


 結局レナは五着の服を買うと、店を出た。今ユウたちが『スパイス亭』にいるのは、服屋を出たのがちょうどお昼時だったからだ。


 ちなみに、『スパオス亭』はかなりの人気店なので、行った時すでに満席だったのだが、ユウが…、というか、レナが店に入ると、テーブルに座っていたカップルがちょうどきた料理を店員からひったくり、のどを詰まらせながらもあっという間に料理を食べ終え、それぞれの会計を済ませて店を出て行った。


 店の客や店員はこのことを友人や知人に広め、そのカップルは巷では『救恋の英雄』と呼ばれるようになったとか。


 それはさておき、無事席に座れた二人は注文を取りに来たウェイトレスさんに、それぞれ注文をする。


 「おすすめの物はありますか?」


 ユウが聞くと、店員はにっこりと笑い、


 「今ですと、『フルーツサンドバスケット』がおすすめですよ。」


 「じゃあ、それで。」


 「あ、私も。」


 「あ、『フルーツサンドバスケット』は、二人用のメニューとなっています。」


 ユウはそれを聞くと、レナに確認する。


 「どうする?」


 「それでいい。」


 「だそうです。」


 「かしこまりました。」


 店員は注文を取り終えると、店の奥に引っ込んでいった。


 昨日この国に来たユウや、今までずっと勉強しかしてこなかったレナは知らないが、『スパイス亭』の『フルーツサンドバスケット』といえば、それを食べたカップルは一生離れることはないというジンクスがある。これを進めた店員も、勿論このことを知っている。


 ほどなくして、『フルーツサンドバスケット』が来た。『フルーツサンドバスケット』は、その名の通り、フルーツを挟んだサンドイッチが、バスケットに入っているというものだ。ちなみにスパイス要素は一切ない。『スパイス亭』なのに。


 とりあえず、ユウはサンドイッチを一つ取り、食べてみる。


 「おお、うまいなこれ。」


 ユウは、その味に満足する。食レポはしない。下手だからだ。


 「うん!おいしい!」


 レナも気に入ったようだ。


 ユウとレナは夢中になってサンドイッチを食べていく。


 ゆうは、まだ小さいレナには半分は無理かなと思っていたのだが、レナは半分以上食べてしまった。


 (女の胃ってどうなってんだろう?)


 実のバカなことを考える優であった。


 そのあと、噴水を見に行ったりして、城に戻った。


 レナの顔は実に残念そうで、ユウの服をつまんで離そうとしない。


 ユウは一つ溜息をつくと、レナに一つ提案をする。


 「今日、お菓子を作るから、夜にお茶会でもしよう。」


 レナはそれを聞くと、首をぶんぶん縦に振り、部屋に戻っていった。


 ユウはその足で厨房に行き、お菓子を作った。




 夜になり、ユウの部屋の前では、レナがうろうろしている。


 夜になったはいいが、いつお茶会を始めるかなどは決めていなかったため、入るには入れないのだ。


 例によって、物陰からはメイドたち見守っている。


 「うー。」


 レナが意を決してドアを開けようとする。


 「お、レナ早いな。」


 すると、後ろから声がかかった。勿論声をかけたのはユウだ。


 「ひゃ!ユ、ユウ!?なんでここに!?」


 レナはこれ以上ないほどにてんぱっている。


 「なんでってここは俺の部屋だぞ?」


 ユウはそう言って、肩をすくめる。


 「そ、そうだよね。うん!あ、そういえば何を持っているの?」


 今更ながらユウが持っている蓋がされた皿を見て、レナがユウに質問する。


 「ああ、これか?これは、後でのお楽しみだ。」


 ユウはそう言うと、ニヤッと笑う。


 「はう!」


 レナはそれを見て、胸を押さえてうずくまる。


 「レナ?大丈夫か?」


 ユウが心配そうに声をかける。


 「だ、大丈夫だから!」


 レナはすぐに起き上がる。


 「そうかならいいんだが。」


 ユウはそう言って、部屋のドアを開け、中に入る。レナもそれに続く。


 「じゃ、紅茶を淹れるからちょっと待っててくれ。」


 ユウはそう言って、紅茶を淹れ始める。


 五分ぐらいすると、紅茶ができた。ユウはそれをカップに注いでいく。


 「よし。じゃあ、これが何か見せてやろう。」


 ユウはそういって、皿の蓋を取った。そこにあったのは、山のような形。てっぺんについているカラメル。そう、正に…。


 「プリンだ!」


 「ぷりん?」


 レナはプリンを不思議そうに見ている。


 「ま、いいから食べてみろ。」


 ユウはそう言って、プリンの乗った皿をスプーンと一緒に差し出す。


 「じゃ、じゃあ。」


 レナはそう言って、プリンを一口すくうと、口に入れ、かみしめる。すると、どんどん顔がほころんでいき、最後には、


 「甘ーい♡」


 と言って、どんどん頬張っていく。


 全部食べ終わると、レナはユウを見て、首をかしげる。


 「これユウが作ったの?」


 「そうだ。」


 「こんなおいしいものを作れるなんて…。ユウの料理スキルのレベルって何?」


 「レ、レベル?」


 レナが言った言葉に、ユウは思わず問い返す。


 「え?スキルのレベルだよ。しらないの?」


 「スキルにレベルなんてあったのか?」


 ユウが素直に質問すると、レナは一瞬ポカンとした後、レベルについて教えてくれた。


 「いい?すべてのスキルにはレベルがあるの。鑑定とかだと、意識すれば見れるよ。後、魔族が使いステータスカードでも見れる。」


 レナいわく、人間のステータスカードは相当遅れているらしく、スキルのレベルが表示できないらしい。


 ユウはさっそく自分に鑑定をかけてみる。勿論、スキルレベルを見れるように意識して。


===============================================


名前:ユウ・ウミハラ


性別:男


種族:人間?


レベル:107


生命力:6572382017503860/6572382017503860


魔力:8240002862796320/8240002862796320


筋力:938644710060020


敏捷:1039877245694360


防御:980710038293340


魔攻:1356883147864440


魔防:1168796588178890


運:58675566


武術系スキル:武の極みLvMAX

       威圧LvMAX

       隠密LvMAX

       身体強化LvMAX

       縮地LvMAX

       天歩LvMAX

       隠密LvMAX

       気配遮断LvMAX

       気配察知LvMAX

       空間把握LvMAX

       魔の爪LvMAX

       限界突破LvMAX


魔法系スキル:魔の極みLvMAX

       魔力操作LvMAX

       魔力察知LvMAX

       収納LvMAX


生産系スキル:武器作成LvMAX

       防具作成LvMAX

       魔道具作成LvMAX

       錬成LvMAX

       家事LvMAX

       修繕LvMAX


その他のスキル:異世界言語LvMAX

        鑑定LvMAX

        交渉LvMAX

        詐欺LvMAX

        全耐性LvMAX


ユニークスキル:還元Lv--

        武才Lv--

        魔才Lv--

        魔法剣LvMAX

        再現Lv--

        絶体記憶Lv--

        重力眼LvMAX

        千里眼LvMAX


称号:異世界の勇者、武の天才、魔の天才、魔物の天敵、死を呼ぶもの、破壊の権化、殺戮者、龍帝の主


===============================================


武の極み:武術スキルをすべて手に入れた者に与えられるスキル。


魔の極み:魔法スキルをすべて手に入れた者に与えられるスキル。


千里眼:魔眼の一種。込める魔力によって、遠くを見たり、障害物を透けてみたりできる。


殺戮者:生物を一方的に十万匹以上殺したものに与えられる称号。


龍帝の主:龍帝と契約し、主となったものに与えられる称号。


全耐性:全てのことに対して耐性がある。ただし、ユウの場合酒に対しては絶望的に耐性がない。



 このステータスを見せると、レナはしばらく固まった。


 「何このステータス?」


 「俺のスキル【還元】の効果で、倒した相手からステータスとスキルが得られるんだ。」


 ユウの答えに、レナは一応納得する。


 「そっか、ユウ強いんだ。」


 レナはそう言うと、微笑んだ。


 「怖くないのか?」


 ユウは恐る恐る聞いてみるが、レナは首を傾げ、


 「全然。だってユウが強いってことは、私を絶対に守ってくれるってことでしょ?」


 と言った。


 ユウはレナの頭に手をおき、撫でる。


 「ああ、勿論だ。俺はお前を絶対に守る。なぜなら…。」


 ユウはそう言って一回言葉を切る。


 「俺はお前の勇者だからな。」


 そういって、ユウは笑う。レナは、また胸を押さえうずくまる。


 「うう、そんな顔は反則だよ…。」


 「大丈夫か?」


 「う、うん!大丈夫だよ!」


 レナの呟きは、ユウには聞こえなかったようだ。


 そのあと、ユウとレナはユウが元居た世界、地球のお菓子について話した。


 そして、レナが寝る時間になり、レナは自身の寝室に帰っていく。


 「また明日。」


 「うん!また明日!」


 レナはそう言って、走って行ってしまった。


 「まだお休みって言ってないんだがな…。」


 ユウは溜息をつくと、ベッドに寝転がる。


 (明日は、何をしようかな。)


 ユウは明日の予定を考えているうちに、眠りについた。






 夢の日まであと四十三日。

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