表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雷帝は修羅の道を歩く  作者: 九日 藤近
第三章 二度目の異世界
148/148

エピローグ 雷帝は修羅の道を歩いた

 レムナットの王城の一室で、俺は目を閉じる。


 思えば俺の人生はめちゃくちゃだった。


 異世界に転移したと思ったら、そこで殺されかけ、敵であるはずの魔王に助けられ、絶望し、邪神と恐れられた元女神と恋に落ちた。そして彼女をこの手で殺してしまい、従魔と番になった。その後また絶望し、世界を亡ぼした。


 新しい命を貰ったと思ったら母親を父親に殺され、引き取られた孤児院で会った人たちは欲望の塊のような人間どもに殺された。


 その世界には無いとされる魔法の力のおかげで、魔法学園に入学するも、血筋のせいで差別された。


 その後、また異世界に呼ばれ、今度は神から授かった職業のせいで差別された。


 その神は俺の知り合いだったので、神からのお願いを聞いてやった。


 魔族と亜人との戦争に駆り出されたとき、前世で俺を拾ってくれた魔王と再会した。そのすぐ後には従魔と。そして、最終的には元女神とも再開した。


 俺もそこまで生きていくうちに大切な者もできており、俺はその全てと心を通わせ、愛し合った。


 自分で国を作り、この世界にも貢献した。


 何度か戦争に介入したり、戦争を仕掛けられて返り討ちにしたこともある。


 やがて月日がたち、子が産まれ、俺は王位を我が子に譲る。


 譲ったのは従魔との間にできた子だ。どちらに似たのかとても優秀で、非の打ち所の無い自慢の息子だった。


 娘も生まれた。一回娘が彼氏を連れてきたことがあったのだが、「俺を倒せたら交際を認めてやる!」と言ったら娘に「パパなんて嫌い!パパに勝てる人なんているわけないじゃん!」と言われてしまった。三か月立ち直れなかった。


 それから、そうだな。この世界に来る前に知り合った者たちは、それぞれ軍務、内閣、外交大臣になり、国に貢献した。


 もちろん彼女たちとも交わり、子も授かった。


 レナから始まり、ルキ、カミール、紫音、楓、スミレ。六人の女性と結婚した俺はこの世界一の幸せ者と言っても過言ではないだろう。


 だが、最後は幸せだったが、振り返ってみると何とも悲惨な人生だ。


 これぞ正に修羅の道だろう。


 それも終わり良ければ全て良し。俺の人生には一片の悔いも残っていない。


 現に天に召されそうになっている今も、俺は幸福を感じている。


「皆ありがとう。」


 俺の身内の中では俺が一番早く寿命を迎えてしまった。


 俺の死期を悟ったのか、俺の周りには六人の嫁と、十五人の子供たちが立っている。


「ありがとうと言うのは私たちの方です。私たちに出会ってくれてありがとう。」


 誰がそう言ったのか。俺にはもうそれすらわからない。


 他にも誰かが何かを言っているが、俺はそれを音としかとらえられない。


「ああ・・・。」


 だんだん意識が暗闇に沈んでいく。


 次第に音もなくなっていき、俺の目は光を映さず、耳は音を拾わなくなった。


 そしてついに意識まで手放し、俺の前世を含めると九十八年の人生は幕を閉じたのだった。

とりあえずこれで終わりですが、この後も気まぐれに閑話などを入れるかもしれません。

その時は楽しんでいってください。


今まで読んでいただきありがとうございました。


処女作ながらユーザーさんのおかげで楽しく書くことができました。


次回作の名前は『千年戦争の悪魔』です。


ぜひそちらの方もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ