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雷帝は修羅の道を歩く  作者: 九日 藤近
第三章 二度目の異世界
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140 パルスの悪夢1

 俺はイシュタムに取り付けてあるブースターを使って相手との距離を縮める。


 やはり俺が作ったオリジナルとレムナットの技術者が作ったレプリカとでは性能が違うのか、俺が作ったイシュタム八機が突出している。ちなみに、レナとルキの分を入れて八機だ。本当は俺達異世界召喚された者だけのはずだったのだが、やはり身内の安全には変えられなかった。


 俺たち七機が突出しているせいでレムナット軍は陣形など無視して好きに突撃している。


 対してサラハード軍は鶴翼の人を敷き、俺達を包囲しようと突撃する。


 俺は真ん中に位置していたので、丁度サラハード軍の陣の一番奥の機体とぶつかることになる。


 俺は機体に背負わせていた刀を抜刀すると、勢いよく下から上へと振り上げる。


「おらああああ!」


 気合一閃。俺の機体が振るった刀あっさり敵の装甲を切り裂き、敵機を真っ二つにする。


「「「な!?」」」


 敵から驚愕の声が上がるが、俺は動揺から立ち直るまで待つような優しい性格をしていない。


 俺は振り上げた刀をそのまま振り下ろし、俺の右を通り過ぎようとしていた機体を両断する。その衝撃で大量の土煙が出て、俺の機体を相手から隠した。


「う、うわあああああ!」


 それを好機と見たのか、相手が俺に持っていた魔導銃を掃射してきた。その周囲の機体も、俺に向かって魔導銃を掃射する。恐らく三十ほどの機体が俺に掃射していたと思う。


「ああああああああ!」


 数秒打ち続けると、弾が切れたのか、銃撃がやんだ。


 彼らは幻視していただろう。俺の機体がボロボロになり、戦闘不可能になっている姿を。


「嘘だろ・・・。」


 それはこの戦場に立っていたサラハード王国兵全員の気持ちを代弁した言葉だった。


 それもそうだろう。三十もの大型魔導鎧の一斉掃射をしたにもかかわらず、俺の機体はいまだ健在で、目立った傷もないのだから。


 俺は敵が俺から離れていることもあり、腰に装着していたハンドガンを取り出す。


 ドン!ドン!ドン!ドン!


 連続した発砲音が戦場に響き渡る。俺は両手に装備したハンドガンを連続で発砲する。


 オートマチックのハンドガンはちゃんとコッキングして撃ったのだが、その速さには敵方の兵士はついてこれなかったらしく、当たった機体から戦闘不能になっていく。


 ゴオン!


 俺が戦っていると、後続の機体が戦場に着いたみたいだ。雪姉達も途中でライフルで敵を葬っている。


 後続が来てからそれは戦闘とは呼べないものになっていた。


 相手の機体は距離を取って魔導銃を撃っているが、離れたところからライフルで狙われ、果てには機動力が違いすぎるためそのまま接近されて切り倒されていた。


 そう、性能が圧倒的に違ったのだ。こっちの機体は全て劣化版とはいえ俺の機体を基に作られているため、相手の機体に比べ圧倒的な性能を誇っていた。


 そのため、ほどなくして相手側には動ける機体が無くなってしまった。


「繭澄椎名!」


 その時、戦場に一人の男の声が上がる。


 そう、雄大だ。


 俺は声がした方を見る。すると、空間が歪んで、一機のロボットが現れる。


 そこに何かあるのは分かっていたので、別に驚きはしなかったが、レムナットの兵士たちは驚いているようだ。


 まったく隠ぺいの結界ぐらいカンパできるだろうに。いや、驚いたのはそのロボットか・・・。


 そのロボットは純白の装甲を纏い、後光が見えると錯覚するほど神々しかった。そして、その機体は優に百メートルを超える大きさを誇っていた。


「僕と一騎打ちの勝負をしろ!」


 雄大がおのれの要求を突きつける。


「いいだろう。」


 俺はコクピットにいるため周りには分からなかったが、この時俺はかなり黒い笑顔を浮かべていた。


「この機体の性能テストには、あいつ等じゃ役不足だったんでな。」


 俺はそう言って納刀した刀を再度抜き放つ。


「この悪魔が!」


 雄大が魔導銃を構えたのをきっかけに、俺達の一騎打ちが始まった。

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