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雷帝は修羅の道を歩く  作者: 九日 藤近
第三章 二度目の異世界
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136 雄大

 ムガシル帝国、レムナットに敗北の知らせ瞬く間に世界に知れ渡った。


 もともとこの世界における人間の国で二番目の大きさで、特に軍備に力を入れていた国が、ここ最近で出来た国にあっさり敗北したことは、世界に大きな衝撃を与えた。


『軍隊の強さだけなら、この世界にムガシル帝国に勝るものはいない。ただ、国土が貧しいため最低限の作物しか育たず、軍の備蓄となる食料の確保ができないため戦争をしない国。』


 そういう認識だった国が、あっさりと敗れ去った。それは新たにできた王国、レムナットの強さ、そしてその戦で使った飛空戦の改良型を作った技術力の高さを表していた。


 そのため、ある国はその技術力を恐れ不干渉を心に決め、又ある国はレムナットに対抗するために軍備を整えた。


 そして、勇者を召喚したこのサラハード王国はと言うと・・・。


「くそ!椎名の奴、何を考えているんだ!?」


 戦場から戻った雄大が自室で叫んでいた。


 雄大は戦場で椎名が纏って見せた圧倒的な強者としての雰囲気に当てられ何もできなかった。それに、その時の椎名は常に口元に笑みを浮かべており、何を考えているのかわからなかった。


 その笑みと、そこがまるで見えない圧倒的な雰囲気に当てられ、何もできなかったことにイラついているところに入ってきたのが『ムガシル帝国レムナットに敗北』の知らせだ。


 雄大のいら立ちはさらに大きなものとなった。


「何かお悩みですかな?」


 そこに、サラハード王国の国王、ガオンが入ってきた。


「国王様・・・。」


 雄大はガオンに対して跪く。


「実は・・・。」


 雄大は椎名の事について話し始めた。


「ふむ、そういう事か。」


 話を聞き終わった国王は、神妙な顔で何かを思案する。


「それならついてくると言い。君が望む力が手に入るだろう。」


 そう言って王は部屋を出ていく。雄大は数秒迷った末に、国王についていくことにした。


 カツン。カツン。


 今、雄大たちは地下への階段を下りている。ここは謁見の間にある王座の裏の床を外した先にあった隠し階段の中だ。


 かれこれ五分ぐらいたっただろうか。雄大がそろそろ文句を言おうとしていると、国王が雄大に声をかける。


「この奥に君が求めている力がある。」


 そう言って国王はいつの間にか出現していた扉手を添える。


 重い音を立て扉が開かれる。雄大はその扉の奥を見て言葉を失った。


「くくくくく。勝てる!これがあれば椎名に勝てるぞ!」


 雄大は扉の奥にある者に勝利を確信し、高笑いを上げるのだった。

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