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雷帝は修羅の道を歩く  作者: 九日 藤近
第一章 レムナット
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この回は、適当に描いたため、文章がかなり適当です。ご容赦ください。

 山を越えてから三日。【気配察知】にかかった魔物を片っ端から殺し、食べられるものなら剥ぎ取り、食べられないものなら燃やしてその場を去った。


 そんな生活を続けているうちに、王国軍が追い付いてきたのか、大規模な生物の群れが、ユウに向かって近づいてきた。


 ユウは特に焦ることもなく、そのまま歩き続ける。


 しばらくすると、王国の軍と思わしき者たちからも、ユウが見える距離まで近づいた。


 ユウは無視して歩き続けたが、王国軍はいきなり攻撃を仕掛けてきた。勿論そんな物がユウに当たるはずもなく、全てユウの結界魔法の障壁にさえぎられる。


 「一応聞いていこうか。何故俺が優だと分かった?」


 ユウは王国軍(確定。)にそう質問する。すると、騎士団長であるユーリが自ら前に出てきて言った。


 「刀といったか?この世界に、そのような武器はない。」


 これはとんだ盲点であった。


 確かに、この世界に刀という武器はない。ならば、何故ユウは【刀術】のスキルを持っているのか。それは、ユウが刀を作った瞬間に、それを扱うためのスキルができたからである。


 「そうだったのか、ありがとよ。で?今引き返すなら殺さないが?」


 ユウはそう言って、【イカヅチ】を構える。


 「ふん!お前はこれまで追手をすべて撃退してるが、今回は分が悪かったな。なんせ今回の討伐隊には、我々王国軍五万に加え…。」


 ユーリはそう言って、ためを作り、ニヤリと口角を吊り上げ、続きの言葉を口にした。


 「勇者様がいるのだからな!」


 ユーリがそういうと、約四十人の少年少女たちが出てきた。


 その少年たちは、まぎれもないユウのクラスメイト達だ。


 クラスメイト達は、ユウを見ると、顔を怒りで染め上げた。


 「裏切者。」「罪のない一般人を殺すなんて。」「兵士の人たちも。」


 ずいぶん身勝手なことを言ってくるクラスメイト達に、友達と呼べるものはいなかったとはいえ顔見知りだと思っていた者たちにそんなことを言われ、ユウは悲しみを覚えずにはいられなかった。


 しかし、彼らが次に行った一言で、ユウの怒りが、悲しみを上回った。


 「武田先生の仇を取ってやる。」


 ユウは、それを言ったクラスメイトが何を言っているのかわからなかった。


 「違う!」


 ユウは、気が付いたら大声を張り上げ、そう否定していた。


 「何が違うっていうんだよ?この人殺しが。」


 勇人が、まるでゴミでも見るかのような目で見てくる。


 「俺は園香を殺していない!大体、園香は俺の叔母だ!親戚をわざわざ殺すわけないだろ!それに、兵士や一般人を殺したのも、自衛のためだ!それとも、俺は防御も何もせずに攻撃をすべて受けなくちゃいけなかったのか!?それに、俺が勇者を殺したかったとして、何故園香だけを殺した!?普通、もっと殺すだろ!?」


 ユウは、そうまくしたてる。


 しかし内心は、今すぐに逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。


 知り合いに、ゴミを見るような目を向けられ、罵声を浴びせられたのだ。優の心はもうボロボロだった。


 「知らねーよ。異端者の考えることなんて。」


 勇人の一言に、ユウの思考がフリーズする。


 (何故だ?)


  ユウが止まったのを見て、好機だと判断したのか、王国兵達と、勇者達が突撃してきた。


 (つい先日まで、神の存在すら信じていなかった奴らが。)


 兵士や、勇者たちが、ユウに剣を振り下ろす。


 (なんで異端なんて言葉を使う?)


 ユウのバカげた防御力に阻まれるが、だんだんユウにも傷がついていく。


 (お前らか!?)


 ユウは、何処にいるともわからない神に向かって、怨嗟の念を送る。


 「あああああああああああああああ!!!」


 ユウは魔力を放出する。


 「ふざけるな!お前らはどこまで愚か何だ!?」


 ユウは、勇人たちに向けて言う。


 「愚かなのはお前だろう、殺人鬼が。」


 勇人のその言葉に、ユウは耐え切れず、逃げだした。


 ドン!


 ユウが地面を蹴ると、そこにクレーターができた。


 ユウは、後ろを振り返ることをせず、走り続けた。



 山を越え、谷を飛び越え、草原を疾走し、海と見間違いるほど大きい湖を渡った。


 いつしかユウは、砂漠まで来ていた。


 魔力は、もうない。八つ当たりをしすぎたためだ。


 食料も、もうない。魔力制御を怠ったため、魔法を駆使して作った【収納】の空間が壊れたためだ。


 「あ、町だ。」


 ユウは町を見つけるが、それはもう何回も見つけている。いや、町や、オアシスの蜃気楼を何回も見つけている。


 (また、蜃気楼なんだろうな。)


 ユウは、その町に向け、歩き出す。


 しかし、足が動かない。


 (あれ?なんで地面がこんな近くに…。)


 ユウは、その場に倒れこんだ。


 (ああ、俺死ぬかも。)


 ユウは死を覚悟する。


 重くなった瞼を閉じる前に最後にユウが見たものは、豪華に装飾された馬車だった。

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