表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雷帝は修羅の道を歩く  作者: 九日 藤近
第三章 二度目の異世界
129/148

125 人生で一番幸せな日

 レナとは色々なことを話した。主に話したことは、あの後の事と、地球でのことだ。レナは俺がカミールを愛したことや、ルキと子供を作ったことを聞くと、少しムッとしていたが、最後までおとなしく聞いていた。


「で、また俺は勇者として異世界召喚されたって訳だ。」


 俺はそう話を締めくくる。


「そうだったんだ。ユウは・・・、いえ、今は椎名だったわね。椎名は大切な人をたくさん失ったんだね。」


 レナは悲しそうに目を伏せる。


「まあ、でもそのおかげで俺はまたこうしてお前に合えたんだ。別に悪い事だけじゃなかったさ。」


 俺はそう言ってレナの頭を撫でる。レナはくすぐったそうに眼を細める。


「椎名、ちょっといいか?」


 その時、レスが割り込んできた。


「ん?どうした?」


 俺はレナの頭から手を離し、レスに向きなおる。


「お前の関係者だっていう女が五人来ているんだが、どうする?」


「女?」


 レスの報告を聞いて、レナが怒りを露にする。


「ああ、そいつらは問題ない。通してやれ。」


「了解した。通せ。」


 俺の答えを予想していたのか、レスは嫌にあっさり五人の女、雪姉、詩帆、紫音、楓、スミレを俺達がいるテントへと通す。


「椎名!」


 雪姉は俺の姿を確認すると、きつく抱きしめた。


「お願いだから、もういきなりいなくならないで。」


 雪姉は涙を流しながら俺にそう言った。


「ごめん雪姉。もうこんなことはしないよ。約束する。」


「本当?」


「うん。本当。」


 俺と雪姉のやり取りを見て、レナが俺達の間に割り込んできた。


「私が椎名ののレニーナ・ヴォン・デハートです。」


 レナは主のところを嫌に強調して雪姉達に自己紹介をする。


「これはこれは。初めまして。椎名の保護者・・・浜野雪と言います。浜野が苗字で、雪が名前です。どうぞよろしく。」


「私は神谷詩帆。椎名の幼馴染・・・です。よろしく。」


「佐村紫音です。私も椎名君の幼馴染・・・です。仲よくしましょうね。」


「神藤楓。同じく幼馴染・・・。」


「夢宮スミレです。私も椎名君の幼馴染・・・なので、よろしくね!」


 それぞれ保護者と、幼馴染と言ったところを強調していた。幼馴染の基準がいまいちわからないが、なんとなく違うような気がする。


 だが、俺はそれを言い出せない。なぜなら、レナと雪姉達が睨み合っているからだ。さらに、威圧の乗った魔力も放出している。心なしか、レナと雪姉達の間に火花が散っているような気がする。


 俺は直感的に悟る。今の状態の彼女たちには絶対に勝てないと。


「椎名、今からこの女たちと話すから、ちょっと出ていって。」


「え、でも・・・。」


「「「「「「椎名。」」」」」」


 六人が息をそろえて言う。


「「「「「「出てって。」」」」」」


「はいっ!」


 俺は瞬間移動と見間違うほどの速さでテントの外へと出た。


 テントの外では、レナ達の魔力に当てられた兵士たちがぶるぶる震えている。


 俺は適当にテントの外で時間を潰した。かなり長い時間が経過し、そろそろ日が暮れるところでようやくレナが俺を呼びにテントの外に出てきた。


 六人はどこかすっきりした表情であったため、俺はさほど気にしていなかった。レスは何かを察したのか、俺に頑張れと言ってきたが、何をだ?


 とりあえず、俺はその後もレナ達と様々なことを話した。


 俺はこの日のことを一生忘れることはないだろう。


 この人生で一番幸せな日を。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ