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雷帝は修羅の道を歩く  作者: 九日 藤近
第三章 二度目の異世界
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118 招集

 俺は今、王城の謁見の間にいる。なぜなら、今日の朝、朝食を食べている時に王城からの使者が来たからだ。


 無視したかったが、雪姉が他のクラスメイト達を気にかけていたこともあって、行くことにした。そして、王城に入った俺達は謁見の間に通された。そこにはほかの俺たち以外のクラスメイトが揃っており、俺達が最後だったらしく、王が話し始める。


「よくぞ集まってくれた、勇者と聖女諸君。ああ、他にも二文字がいたか。まあいい。」


 王はいきなり嫌味をかましてきたが、別に実害はないので無視する。


「今日集まってもらったのは他ではない。勇者武闘大会についてだ。」


 王はそう言って話し始めた。


「諸君たちもレベル100を超えたことだし、そろそろ正式に国民たちに勇者の存在を公表したいのだ。」


 今まで城下町で住んでいた俺達は、俺が作った魔道具のおかげで異世界から召喚された勇者だという事はばれていないが、噂は流れている。


 それもそうだろう。騎士が大勢護衛しながら迷宮に潜ったり、国一番の鍛冶師に数十の武器を注文したり、明らかに普通じゃない。


 だが、こういう物は発表することに意味があるのだとか。


「であるからして、勇者、聖女による武闘大会でお主たちの実力を王都民に見せ、希望を与えたいのだ。」


「それなら、やらせていただきましょう!」


 雄大は王都民に希望を与えると王が言った時点で決めていたらしく、力強くそう答えた。


 雄大の決意に、大多数の生徒が同意する。何人か戦闘向きではないスキルを持っている生徒は辞退しているようだ。


「椎名殿はどうする?」


 俺のチームのうち、スミレと雪姉以外は参加する意思を表明したので、あとは俺だけとなった。


「俺は遠慮しておく。めんどくさいし。」


「そうか、敗北が怖いのなら無理に参加せよとは言わんさ。」


「何だと?」


「なんだ、違ったのか?私はてっきり敗北が怖いから不参加を表明したと思ったのだが。」


 王のあまりにもお粗末な挑発に、俺はあえて乗っかる。


「やってやるよ。」


「無理はせんでいいのだぞ。どうせ、レベルもまだ百には届いていないのだろうしな。」


「お気遣いなく。俺は負けないんで。」


 そう、俺は負けない。なぜなら・・・。


「雷帝は負けないんで。」


 俺はあえて王たちが嫌う俺の職業を指して言う。


「そうか、よくわかった。ならば、出場するがいい。」


 王は俺にそう言う。


「ああ、そうさせてもらうさ。」


 俺は踵を返して、謁見の間を出ていこうとする。


「ああ、そうだ。」


 俺は謁見の間を出る直前に振り返る。


「俺の今のレベルは三百六十九だ。」


 俺はとびっきりの爆弾を落としてから謁見の間を後にした。


 ちなみに、雪姉達を優先してレベルをあげさせているから、彼女たちのレベルは五百を超えている。





 王城に召集を受けた翌日、王国民には勇者が召喚されたことが伝えられ、武闘大会のことも発表された。


 それらが発表された広場には札が建てられており、そこにはトーナメント表もあった。


 そして、そのトーナメント表によれば俺の初戦は、『聖なる勇者』。雄大だった。


「面白れぇ。」


 それはそう呟いて、その場を後にしたのだった。

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