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雷帝は修羅の道を歩く  作者: 九日 藤近
第三章 二度目の異世界
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114 報告

 迷宮を出た俺たちは、迷宮の外にある集合場所でクラスメイト達と合流した。


 俺達は最後の迷宮に入ったので、俺達が集合場所に着くと、すぐに王城へ戻るために移動を開始した。


「ねえ椎名、大丈夫なの?」


 王城への道を歩いていると、後ろを歩いていた詩帆が俺の隣に来て聞いてきた。


「何が?」


 俺は心当たることがなかったので、そう聞き返す。


「何がって、あんた騎士殺してたじゃない。そのところ、王国にどう説明すんの?」


「ああ、そのことか。そのことなら気にしなくてもいいぞ。ちゃんと考えてあるから。」


「そうなの?じゃあいいんだけどさ。」


 俺が答えると、詩帆は安心したように後ろに下がった。ちなみに、雪姉たちも後ろにいて、詩帆は俺との会話を雪姉たちに報告している。


 しかし、答えを聞いてすぐに後ろに下がったため、見ることができなかった。そう、暗い笑みを浮かべた俺の顔を。




 王城に帰った俺達は、謁見の間に集められた。どうやら、どれだけレベルが上がったか確認するためらしい。


「迷宮探索ご苦労であった。では、どれだけレベルが上がったか報告してくれ。」


 王の言葉で、クラスメイト達はどれだけレベルが上がったか報告し始めた。今までで一番レベルが上がっていたのは、雄大の十五レベルだった。


 そして、俺達の番になった。リーダーが俺なので、俺が王に報告する。


「全員レベル三十五。」


 俺は簡潔にそう報告した。


「何だと!?」


 それには、この場にいた全員が驚愕した。どうやったら一日で一桁だったレベルを三十まで上げられるのか、皆目見当がつかなかったからだ。


「それは本当なのか?」


「ああ、本当だ。」


 俺はそう言って、ステータスを見せる。勿論、名前とレベル以外は隠している。


「なんと!誠であったか!?」


 王はかなり驚いていた。しかし、あることに気が付き、それを不審に思ったのか、問いかけてきた。


「して、おぬしらの引率の騎士はどうした?」


 その問いはある程度予想していたので、俺は前もって用意していた答えを返す。


「殺しました。」


「何だと!?」


 王が、先程とは違う驚愕の声をあげる。


「どういうことだ!?」


 周りにいた騎士が、俺に詰め寄ってこようとする。ちなみに雪姉達は、俺がまさかこんなことを言うとは思ってもいなかったらしく、口をポカンと開けている。


「説明してもらおうか!?」


 王もかなり起こっているようで、声を荒げて説明を求めている。


「勿論させていただきますとも。まず、俺がこいつを殺し経緯だけど、迷宮の谷に落とされたから飛んで戻って問い詰めた後首をはねた。これでいいか?」


 俺の説明に、王は一つ一つ質問していく。


「その谷とは奈落の事か?」


「多分そうだ。底まで行ってみたけど、かなり深かったからな。」


「飛んでと言っていたが、それは魔法か?」


「そうとも言えるし、そうではないと言える。」


 これは本当だ。俺が使ったのは、重力眼と風魔法だから、半分魔法で半分スキルのため、魔法ともスキルとも呼べないものになっているのだ。


「最後に、それを証明することはできるか?」


「無理だな。」


 俺は堂々と言い切る。王は一つうなずくと、俺を鋭い視線で見据える。


「では、お前を犯罪者として監獄に送ることもできるが、どうしたい?」


 俺はそれを聞いて、挑発的に笑うと俺の黄金色の魔力を放出する。


「やってみろよ。」


 そこにいた者は、威圧すら乗っていない俺の魔力に当てられて、立ち竦んでしまった。


「お前たちが今生きていられる理由は何だと思う?」


 俺は魔力を放出しながら問いかける。


「雪姉がそれを望んでいるからだ。」


 俺の言葉で、視線が雪姉に集中する。俺はそれにかまわず話し続ける。


「雪姉はクラスメイト達が安全に生活することを望んでいる。それには、お前たち王国のような、後ろ盾があるのが好ましい。」


 この場にある空気ですらも俺の話を聞いていると錯覚するほどの静けさの中、俺は話し続ける。


「だから、殺さなかった。本当ならお前らが勇者召喚をしたというだけで皆殺しにしてやりたかったが、それは雪姉の願いとは反対の物だったから。」


 俺は一回言葉を切り、大きく息を吸い込む。


「やろうと思えば俺は一瞬でお前らを殺せる。それを忘れるなよ。」


 俺はそう言って、魔力も放出をやめる。そのおかげでクラスメイトや、王もほっとした顔をした。


「ああ、それと、次また命を狙われるかわかったもんじゃねえから俺は城を出るぞ。」


「じゃ私も。」


「私も。」


「私も。」


「私も。」


「私も。」


「ちょ、まっ・・・。」


「何か文句でも?」


 王が何かを言おうとしたが、俺がにっこり微笑むと何も言わなくなった。


 こうして、治癒士とブースト担当など、強力な後衛が一気に王城から去った。

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