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雷帝は修羅の道を歩く  作者: 九日 藤近
第三章 二度目の異世界
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107 食事

 訓練をした日の晩、俺達は王城の食堂に集まっていた。


 今日の朝は起きる時間がばらばらだったので顔を合せなかった者もいるし、昼は各自で昼食をとったのでこの夕食がこの世界に来て初めてクラスメイト全員で食べる食事になる。ちなみに、転移初日は各自部屋で食べた。


 運ばれてきたのは一生でも一度見るか見ないかというほどのご馳走だ。て、言うか。豚の丸焼きもあるぞあんなの初めて見た。


 とりあえず、料理がテーブルに並べられていく。


 「では、食事を始めよう。」


 最後に入ってきた王様が、そう言って、俺達は食事を始める。


 「お前はこれだ。」


 しかし、俺が料理に手を伸ばそうとするとその手を遮られる。俺の手を遮った奴のほうを見てみれば、粗末な黒パンと具が少ないうえに味の薄そうなスープを持った騎士がたっていた。


 「何です?」


 「だから、お前はこれを食べるんだ。二文字のくせに、そんな豪華な食事を食べられると思うなよ?」


 騎士は汚らしく笑うと俺の前に黒パンとスープを置き、去っていった。


 「ふう。」


 俺は一つ溜息をつく。周りのクラスメイトは俺のほうを見てくすくす笑っている。紫音達は俺に食事を分けようとしていたが、騎士たちに止められていた。


 「食うか。」


 俺はそうして、夕食を食べ始める。収納から出した食事を(・・・・・・・・・・)


 「ウマ!」


 俺はレムナットで作っておいた料理を次々と取り出し、頬張っていく。


 見たこともない料理を、何処からともなく次々と取り出してはそれを美味しそうに食べる俺を見て、誰かがごくりと喉を鳴らす。


 「な、なあ。椎名それ何?」


 一人の男子生徒が聞いてきたので、親切に教えてやった。


 「レムナットっていう異世界の料理さ。」


 「へ、へえ。それ、一口くれない?」


 「え?お前たちにはほら、机の上にたくさんあるじゃないか。俺みたいな二文字が作った料理なんか食べずに、そっちを食べなよ。」


 俺が笑顔でそう言ってやると、俺の親切心が伝わったのか男子生徒は自分の席に戻っていった。


 「し、椎名君私は?」


 「勿論いいよ。」


 雪姉がおずおずとそう言ってきたので、俺は快く料理を分けてあげる。今、この場にいる人間は王様を含めて全員が俺の料理を受け取った雪姉を注視している。


 「ッ!?」


 雪姉は俺の料理を口に入れた瞬間、目を見開く。そして、無言で料理を食べていく。


 「ふう。」


 食べ終わると、雪姉は一つ大きく息を吐く。


 「もういっこ頂戴!」


 静かになったと思ったら雪姉はいきなり俺につかみかからんばかりに詰め寄ってきた。


 「わ、分かったから。まだあるから。」


 俺はそう言って収納の中からさらに料理を出す。すると、今まで俺たちを見ているだけだった周囲の人たちが、俺に向かって殺到する。


 「お、俺にも!俺にもくれ!」

 「私も!」

 「ぜひ俺にも!」


 王様を含め多くの人間が俺に料理をねだったが、俺はさっき俺が黒パンとスープを渡された時、俺に食事を分けてくれようとした者にしか料理を分けることはなかった。




 ちなみに、俺の料理の味だが、この宮廷の料理より圧倒的に美味しいらしい。まあ、レムナットでは俺の料理スキルはカンストしていたし、食材も一級品だ。それは美味しいだろう。

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