101 入学
さて、魔法学院の高等部に入学できなくなった俺達だが、その後俺が勉強を教えたおかげで何とか俺の地元の高校に入学できた。
そして、今日はその俺たちが入学した藍桜高校の入学式だ。俺たちが今いるのは体育館だ。
この体育館はヘルスーナ魔法学院の物と比べれば小さいが、普通のと比べると大きいだろう。大きさとしては、普通の体育館以上。市の体育館以下。と言ったところか。
とりあえず、俺達は高校に入学できた。この入学式が終わると、クラスが発表されるらしい。いや、普通入学式の前にクラス発表だろうとか思うかもしれないが、この学校はなぜか入学式の後なのだ。
と、いうわけで俺はクラスはわけが張り出されているところまで来た。
「椎名君!」
そこへ、もう聞きなれた声が掛かった。
「紫音。もう来ていたのか。」
俺は近づいてきた紫音にそう返す。
「はい!それでクラスわけですけど、椎名君も私たちと同じ二組です!」
紫音は嬉しそうに笑う。しかし、俺は紫音の言葉に違和感を覚えた。
「私たちってことは他は?」
「私と・・・・。」
「私だよ!」
その時始めて俺は紫音の後ろにいた人影に気が付いた。その人影は俺にも見覚えがある。
「なんだ。お前たちも一緒のクラスだったのか。楓、スミレ。」
俺の声には若干の嬉しさが宿っていたことに気が付いたのか、三人は顔を綻ばせる。
「じゃあとっとと行こう。」
俺たちは三人固まって一年二組の教室に向かったのだった。
「こら。ここは生徒しか入っちゃいけないんですよ?ボクは小学校に行ってね?」
俺は早速トラブルに見舞われた。そう、小学生に間違われたのだ。俺は今、必死に握りこぶしを作り、この俺に注意してきた女教師を殴り飛ばすのを我慢している。
「俺はここの生徒ですよ?」
俺は平静を装ってそう言うが、この教師は信じてくれない。ここに紫音達がいればよかったのだが、今俺はトイレに行った帰りのため、勿論紫音達はいない。
「もー!ボク、嘘はよくないよ!」
教師は俺がこの学校の生徒だとは認めてくれそうにない。この学校の制服も着ているのに。
「あれ?椎名?」
そこに、声掛かる。その声は女子の声だった。だが、俺に女子の友達など紫音達と、小学校時代に知り合ったあいつ等しかいないはずだが・・・・・・。
「やっぱり椎名だ!久しぶり!」
そこに立っていたのは、顔にまだ幼さの残った少女だ。この学校の制服を着ているため、この学校の生徒だと思われる。
「まさか!?」
俺はその顔に見覚えがあった。そう、小学校時代のほぼ唯一の友達、小鳥遊詩帆だ。
体格や顔が少し変わっているが、詩帆の面影もあるし、あの頃の彼女をそのまま成長させたような顔をしている。
「久しぶり!まさかこの学校にいるとは思わなかったよ!」
「そっちこそ。ここでまた会うなんて思いもしなかったよ。」
俺たちが雑談を始めると、それを教師が止める。
「ええと、知り合いですか?」
「はい!同級生です!」
詩帆は俺のことをそう高らかに宣言した。教師は目を白黒させて、「え?こんなにちっちゃいのに?」などとほざいている。
「そういうわけで、俺は教室に戻りますね。」
俺はそう言って、教師から距離を取った。
「それで詩帆はどのクラスなんだ?」
ついてきた詩帆に俺は何気なく聞いてみた。
「うん!私は二組だよ!」
「まじ?」
入学早々、俺の周りは騒がしくなりそうだ。
感想待ってます。