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雷帝は修羅の道を歩く  作者: 九日 藤近
第一章 レムナット
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9

 前回と、前々回の失敗を振り返って、優は新しい武器を作ることにした。素材は、兵士たちから奪った武器や防具だ。


 盾や鎧、剣からは鉄が取れた。魔法使いの杖からは魔石が取れた。魔石とは、たまに魔物からとれる石で、魔力をため込んだり、魔法を付与できる。普通に買おうとすれば、かなり高価なのだが、運のステータスがやばいことになっている優にとって、魔石は消耗品にしかならない。弓兵の弓からは、デッドスパイダーという魔物の糸が取れた。それらの素材を使い、優は新たな武器や防具を作っていく。


 「さて、ただの鉄じゃあちょっと味気ないし、ちょっとと改造していきますかね。」


 優はそう言うと、雷魔法を鉄に流し込んでいく。


 優が最初に作った装備である葉隠れは、土魔法を流し込んだ。そのため、最上級の剣と比べても遜色のないほどの頑丈さと、そこらのメイスなど問題にならない程の重量を誇っていた。


 葉隠れを作った時は、使った属性が鉄であり、土系統の魔法と相性もいいこともあって、すぐに終わった魔法の付与だが、雷の魔法だとなかなかうまくいかない。


 「ああー!くそ!」


 とうとう、鉄が優の魔力に耐え切れず、崩れ落ちてしまった。


 優は近くに置いてあった魔石を、岩に向かって投げつける。


 バキ!


 岩に当たった魔石は、見事に二つに割れた。


 「あ!やばっ。」


 優は魔石に駆け寄り、二つに割れた魔石を拾い上げる。


 「ふう、問題なく使えるな。」


 今優が投げた魔石は、優が持っている魔石の中でも大きいもので、二つに割れてもそれぞれが、その大きさの魔石としては十分な働きをすることを確認できた。


 「ん?待てよ、二つの分かれても使えるってことは、もう一回二つに分かれても使えるんじゃないか?」


 優はすぐに試そうと、先ほど割った、魔法を付与してある魔石をもう一度、岩に向かって投げつけた。


 ドゴン!


 魔石が砕けると、付与した魔法が行き場をなくし、爆発した。


 「なんでだ?さっきは爆発なんてしなかった。魔法を付与したからか?」


 優は、収納から別の魔石二つを取り出し、片方に付与を施した後、二つの魔石を同時に岩に投げつけた。


 その結果、魔法を付与した魔石は爆発し、付与していなかった魔石は爆発しなかった。


 次は、割れた魔石のうち、片方には魔法の付与を、もう片方には付与をせず、再度岩に向かって投げつけた。


 結果はさっきと同じ、魔法を付与した魔石だけが爆発した。


 「そうか!魔石は、魔法を付与した後に壊せば爆発するけど、付与しない限り、どんな状態になっても普通に使えるんだ!それなら!」


 優はそう言うと、数個の魔石を取り出し、それを砕いて粉にした。


 そして、鉄を熱し、砕いた魔石を刷り込んでいく。


 それを何度も繰り返し、大体二十個ほどの魔石を鉄に刷り込み、十キロほどの鉄を刀の形に整えた。勿論、【魔剣作成】のスキルを使いながら、すべての工程をこなしていく。


 「できた!」


 刀の形に収まったそれを、優は丁寧に研いでいく。


 やがて、紫の刀身を持つ、魔剣…いや、妖刀が完成した。


 優はそれに、雷魔法を付与していく。今度は崩れ落ちることなく、付与ができた。


 すべての工程を終え、そこには紫の刀身から絶えず雷を発している、禍々しくも美しい、妖刀があった。


 優は、その刀に鑑定をかけてみる。


===============================================


銘:妖刀イカヅチ


切れ味:SSS


レア度:SSS


能力:帯電、切れ味上昇、飛剣、雷殿


===============================================


切れ味:E~SSSまである。SSSが最高。


レア度:E~SSSまである。SSSが最高。


帯電:常に雷を纏っている。鞘にしまうと、雷もおさまる。


切れ味上昇:魔力を流すことで、切れ味が上がる。


飛剣:斬撃を飛ばせる。


雷殿:発動すれば、一定空間内で、魔力を使わずに、魔法を使える。ただし、雷魔法しか使えない。


 世界最高の刀を作ってしまった。


 「ん?」


 刀のあまりの強さに呆けていると、【気配察知】に反応があった。


 あれだけ爆発したのだから、それにつられて動物が寄ってくるのは必然といえよう。しかしこの場合、【気配察知】にかかったのが、人間だったため、優は身構えた。


 (くそっ!防具はまだできてないのに!)


 優は立ち上がると、その場路片付ける。


 しばらく待っていると、一人のイケメンと、その取り巻きらしき女が三人現れた。


 「君、このあたりで爆発音が聞こえたんだが、何か知らないかい?」


 男がそう質問してきた。


 「リア充め、爆発しろ。(ボソッ)」


 「ん?何か言ったかい?」


 優が恨みを込めて言った一言に、イケメンは目ざとく反応する。


 「いや、何でもない。で、質問への答えだが、知らないほかを当たれ。」


 「そうか、ありがとう。」


 そう言って、イケメンは去っていこうとしたが、取り巻きの女の一人がそれを引き留めた。


 「待ってください、カイン様、この男、現在指名手配されている大罪人の人相書きにそっくりです。それに、情報では刃に反りのある剣を使うとか。見てください、彼の剣の刃には、反りがあります。」


 「おおー。見事な推理だな。」


 そういって、優は拍手をする。


 「で?俺がその大罪人だったとしたらどうするの?」


 優は、【威圧】を発動させながらそう聞く。


 「く!なんて威圧だ!しかし、僕はこんなものには屈しない!」


 イケメン改め、カインはそう言うと、剣を抜いた。


 「僕の名前は、カイン・クハート!この世界に十八人しかいない、Sランク冒険者のうち一人だ!」


 そういうとカインは、優に斬りかかった。


 「俺は海原優。能力のせいで王国に命を狙われている、勇者だ。」


 そう言って優は、イカヅチを抜き、【飛剣】を発動する。


 カインは避ける事はおろか、見ることすらできずに両断された。


 「貴様、よくも!」


 取り巻きの一人が弓を射ってくる。優はそれをキャッチすると、


 「お返しだ!」


 ゴウ!


 投げ返す。優が投げた矢は、取り巻きの顔を吹き飛ばすと、彼方へと飛んでいく。


 「ユーリア!」


 どうやら、今優によって頭を吹き飛ばされたのは、ユーリアというらしい。


 「カイン様とユーリアの仇!」


 すると残りの取り巻き二人が、矢ではなく魔法を打ってくる。


 優は放たれた魔法を、【魔力操作】のスキルによって干渉し、霧散させた。


 「そ、そんな…。」「今、何を?」


 取り巻きの二人は、何が何だかわからず混乱している。


 「内緒。」


 優はいたずらっぽく笑うと、二人に雷を落とした。優は、カイン達四人の死体をその場に残し、その場を後にした。

次から、優をユウと書きます。


よろしくお願いします。



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