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俺、高校中退フリーター  作者: 八鈴 京
19/22

女子合流

数合わせの代打で呼ばれた合コンで予想外の人物と再会を果たす。

「にしても楠原女子大か~。緊張してきたわ」


「まあ、なるようにしかならないから気楽に行きなよ」


「ネトケン、聞きたいんだが、どうやって楠原女子大なんてお嬢様学校の娘と合コンなんてセッティングできたんだ?」


「ネトゲで知り合った人が楠原女子大のOGでその繋がりでね」


「お前みたいなナンパ系のチャラ男がネトゲの廃ゲーマーだってんだから驚きだよな」


「ゲーマーであることに資格はいらないからね」


「……っと、アホ話してる間に来たようだぜ、ご待望の方々が」


「おっ、ホントだ。早速挨拶してくるよ」


原良さんが視線を向けた先に6人の女性集団がこちらに向かってきているのが見えた。


根取さんはそれを確認して、女性の集団の方へ歩み寄って気軽な様子で声を掛けに行った。


向こうの代表らしき人と言葉を交わしている根取さんの姿が見える。


根取さんはそのまま、6名の女性集団を引き連れて戻ってくると


「皆!お待ちかねの楠原女子大の方々だよ!!」


と言った。


「店の前で立ち話をするのもアレだし、早速店に入ろうか」


と続けて言って、根鳥さんは店に入り、俺たちもそれに続く。


根取さんの後に女性達が続々と店の中に入っていき、女性集団の最後尾に見知った顔があった。


神鳥(かんどり)さん?」


予想外だったせいか思わず、声を掛けてしまった。


「えっ……?」


それに驚いたように顔を上げ、


「もしかして、紫藤(しどう)くん?」


と聞いてきた。


どうやら思い違いではなかったようだ。


「うん。久し振り」


中学卒業から5年が経って、かつて中学のサッカー部でマネージャーをしていた神鳥さんは中学時代から美人だったが、今は輪をかけて美人になっていた。


そのとき、俺と神鳥さんの2人は周囲の男性陣と女性陣の両陣営から『知り合い?』といった感じの視線を向けられていることに気付いた。


「入口の前で屯しても迷惑だし、中に入ろっか」


そう言うと、神鳥さんはコクコクとうなづいて、店の中へと入って行き、男性陣も後に続いた。



「で、2人はどういう関係なの?」


適当に席に着いたと同時に根取さんに聞かれる。


どうやら他の面々も興味津々なようで、視線が俺と神取さんに集まっている。


「同じ中学出身で共にサッカー部に所属していました」


聞かれて困るような内容でもないので、ありのままを答える。


「当時、私はマネージャーで、紫藤くんは副キャプテンでした」


すると、神鳥さんが補足した。


『え、副キャプテン!?』


それを聞いて、根取さんや他の面々は驚いたようであった。


「正直、名ばかりの副キャプテンでしたが」


「そうなの?えーと、神鳥さん」


俺の言葉を聞いて、根取さんは神鳥さんに聞く。


(適当にお茶を濁してくれるよね)


そう思っていたのだが……


「いえ、先程の紫藤くんの発言は断固として違うと明言できます」


彼女は強い口調でハッキリとそう言った。


「「へ?」」


あまりの雰囲気の変わり様に俺と根取さんは意外過ぎて、間抜けな声を漏らしていた。


「当時のキャプテンの蔵間(ぞうま)くんは、良く言えば積極的にチームを牽引するブースターでしたが、本質的にはブレーキのない暴走列車でした。

紫藤くんと同じ副キャプテンの流央(りゅうおう)くんは口数少ない上にストイック過ぎて常に孤立しがちでした。

その上、顧問の折小野(おりこの)先生はサッカーに関して素人でしたから、練習メニューに、試合の作戦指揮、敵チームの分析、他の部員の個人指導までやっていて名ばかり副キャプテンは無いですよ。

正直、あのチームは紫藤くんがいなければまともに機能してなかったです」


事実そうだったんだけど、この場でそれを熱く語られるとは思ってなかったので、正直困惑した。


「そ、そうなんだ」


ちなみにここまで熱く語られるなどと思っていなかったのは、根取さんも同様なようで、少し引き攣った表情だった。


何というか、周囲の空気も微妙な感じになっている。


言い終えてから、それに気付いたのか、


「スミマセン。少し熱くなってしまいました。空気を読まずにスミマセン」


と根取さんに謝った。

昨日は仕事で疲れた。未だに眠いわ。

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