男子合流
待ち合わせからの更に待ち合わせで、男子メンバーが出揃う話です。
「お待たせ~、シノノンの代打連れてきたよ~」
根取さんが行った先には、5人の男性が店の前で佇んでいた。
「おお、ネトケン!お前のおかげで合コンが流れずに済んだぜ……」
5人の内1人の体格のしっかりとした男性が根鳥さんに近付き、明るい様子だったのだが、何故か根取さんの後ろにいた俺を見るなり固まった。
本当に寝癖とかないだろうか?
それとも社会の窓が空いていたか?
一応確認してみたがどちらもないようだった。
他の4人も何故か固まっているような感じだ。
「?」
訳がわからない。
根取さんに近付いてきた男性は、しばらくして硬直が解けたようで……
ガッ!
直ぐ様根取さんの頭を脇に抱え込み、背中を向け他の男性陣の所に引き摺って行き、そのまま円陣を組んだ。
「(オイ!ネトケン、どういうつもりだ!?)」
「(どういうつもりって、何が?)」
「(あんな正統派の爽やかスポーツ系のイケメン連れてきて!!女子総取りされるぞ!)」
「(そう言ったって、他に宛が無かったし、何より彼は1次会で帰る予定らしいから大丈夫だって)」
「(1次会で帰る?何でまた?)」
「(僕が頼みこんで数合わせで来てもらっただけだし、妹さん達に心配かけたくないんだって)」
「(まあ、それなら大丈夫か……)」
男性達と根取さんは何やら小声で話しているようだが、聞き取れない。
まあ、別に聞くつもりもないのだが……
しばらく何やら話合っていたようだが、すぐにそれも終わり、円陣が解かれた。
「悪かったな、俺は原川 章吾、そこにいるネトケンとは同じ大学の同期だ」
根取さんの頭を抱え込んだ男性……原川さんはそう言って自己紹介をしたので、
「俺は紫藤 路陽と言います。根鳥さんのバイト先の後輩で今回は数合わせで来ましたので、盛り上げとかは期待しないで頂けると助かります」
と言っておいた。
先に言っておけば無茶振りはされないだろう。
「いや、この合コンが流れなかっただけ有り難い、他の連中も紹介するわ」
右から順に中肉中背のメガネを掛けた小出さん、小柄ながらも引き締まった肉体をしている伊東さん、長身で切れ長の目をした橋本さん、髪を金に染め上げ、根鳥さんよりも軽い感じの木村さん。
残りの4人についてはそんな感じだ。
「で、ネトケン。今後の予定はどうなってる?」
「OK、ハラショー。取り敢えず19時に女の子達はここに来る予定だよ。もうしばらくしたら来ると思うよ」
ちなみに、ハラショーとは原川さんのフルネームの略から来たあだ名で……
ネトケンとは根鳥さんのあだ名で根取 賢護という本名から来たものではなく、『ネトゲ賢者』略してネトケンと言うらしい。
『根取さんネトゲやってったんだ』と意外な事実を知った瞬間でもあった。
次は女子も来るよ!




