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シュウ・ミル姉

チョウジとシズクの元に駆け付けた2人が見たものは、リキヤと同じく芋虫に貪られ、回復し、貪られるそんな二人だった


「クソ!なんだってこんな事に!」


リキヤを回復させられる唯一と思われた存在の賢者シズクだったが、既に呪われていた後だった


「あぁあぁ・・あはぁッ・・・ぐぎゅ!?がはぁっ!」


恍惚の表情と苦悶の表情を繰り返すシズク


「ああああああああああ・・・もう止めてくれぇ・・俺が悪かったよぉ・・・」


痛みだけ・・ひたすらに受けているチョウジ


「一体誰が凝こんな事を・・・カケル、確かエリクサーとか持ってなかったっけ?」


「ああ、そうだな使ってみるか」


アカリに言われて、連れてきたリキヤと並べて3人に奇跡の回復薬をふりかける


ぱぁぁ・・と、明るく3人が発光して芋虫が消え去り、一瞬で回復する


「おお!効いた!」


駆け寄るカケルとアカリは、シズクとチョウジを抱き起す


「おい!どうした!何にやられたんだ!?」


訴えかける声に、チョウジは反応しない


「ねえ!シズク、起きてよ!モンスターにやられたの!?それとも帝国軍?」


「う・・っく・・あか・・り?」


シズクはなんとか持ち直して、目を開ける


「よかった、もう大丈夫ね。シズク、一体何があったの?リキヤもチョウジもあんたもみんな同じ様な芋虫にやられていたのよ」


芋虫・・・?


「あ・・・・ああああああああああああああああ!!やめて!ねえ、私が悪かったから!ねえ、お願いよ!」


「え・・・?」


シズクの指先が・・ぶくぶくと膨れ上がり


ボトリと落ちる


それは芋虫の格好をして再びシズクの中へ入っていく


ミリ・・ミリ・・・


「いやああ!お願いもうやめてよぉおおおお!ナナミぃ!!!」


「ナナミ!?」


アカリはシズクに襲い掛かる芋虫を排除するが、なんど排除しても再び産まれてシズクに襲い掛かる


見れば、リキヤとチョウジも何時も間にか再び芋虫に食われていた・・・


ダラダラと、血と涎と・・涙に鼻水・・そして糞尿をまき散らしながら3人はボリボリと芋虫に食われ始めてしまった


「くそ・・キリがねえ!」


カケルは芋虫にドロドロに溶かされた剣を投げ捨てながらぼやいた


「ねえ・・・カケル・・」


「なんだ?」


「さっき、シズクが・・・お願い、やめてナナミって・・・・」


カケルはゾクリとした


これを・・・ナナミが?


もしかして・・・・アレが・・・原因なのか?


思い当たる節があった・・・


「その顔、あんたも何かしたのね、ナナミに・・・」


「え・・・あ・・ああ」


「これ・・あの子の復讐・・なんでしょうね」


ゴクリと唾を飲み込むカケル


「ふん、生意気な女・・いいわ、私が引導を渡してあげる。それで皆を治させるわ」


こういう時、女のほうが強いと聞いたことがある

カケルはアカリの不敵な笑みを見てそう思った


ガチャリ


ドアが開いた


「ああ・・これは酷いね・・・」


「あんたは・・・さっきの!」


「僕の名前はカイ、よろしく。どうやらそのナナミさんと一緒に僕の友人のシュウもいるはずなんだ」


「なんだって!じゃあこれをやったのはあんたの友人か!」


「いいや、違うよ・・・シュウにはこんな事は出来ない・・・ナナミさんは、魔女だって言ってたね」


「ああ、そうだ」


「君たちはこの世界の魔女の恐ろしさを知らないんだろう?」


「恐ろしさ・・?」


アカリが言った


「この世界には魔女が6人居た。その魔女は精霊と共に世界を作ったんだ。土も、風も・・全てをね・・・」


「それが何が恐ろしいのよ」


「君たちは勇者だったね。たかが、人間の枠組みの存在でしょう?」


「え?」


「魔女はね、自然そのものさ・・いかに力が強くても自然には敵わないだろう?」


カイの言っていることは全く理解が出来なかった

力が強くても叶わない?なら・・圧倒的な力を持っている自分たちなら・・


「あなたは何でここに?」


「悪いけど、つけさせてもらったよ。どうやら次は君たちの前に現れるみたいだからね」


「望むところよ・・私があの女を始末するわ。身内の問題だから貴方は手を出さないでね。魔女って怖いんでしょう?」


まったくと言っていいほどアカリは怖いとも思っていない

あの顔がきれいなだけの女の何が怖いのか


きっと腕の一本や二本切り落とせば泣いて謝るに違いないと、そう思っていた



場所を移動して、なるべく広くて人の居ない場所に移る


勇者も賢者もその力は閉鎖的な空間では周りに被害が出るので全力を出せないからだ


だから3人はやられてしまったのだと都合よく解釈をする


カケルとアカリは待ち受ける


カイは用意すると言って一旦何処かへ行ってしまったが、あんな弱そうな冒険者など居なくても関係ないだろう



あたりの空気が淀む・・・


星の光で明るく照らされていた大地が、歪んだように見えた瞬間


カケルとアカリの前に、ナナミとシュウが現れる


「ナナミ!」


「2人とも元気そうね・・あら?足元に転がっているのは芋虫じゃないの・・・」


そこには芋虫に食われる3人が寝かされていた


うめき声が聞こえない様に消音結界を張っておいた

いつまでもあの声を聞かされればこちらの頭がおかしくなりそうだからだ


ナナミはにやりと笑って


「もうわかるでしょ?あなた達も芋虫と子作りでも楽しんでね」


赤い瞳で口角を釣り上げるその顔はもはや


「ナナミ、あんた人間じゃないわ」


「あははは!あなたがソレを言うの?アカリ!あんたが私にした事と、私があなたにしている事の何がちがうの!?」


アカリのこめかみがピクリと動く


狂気が場を支配する・・・・




「間に合った!シュウ!やめるんだ!気を、正気を取り戻せ!」


アカリにはどこから来たのか分からなかったが、カイが現れる

そして彼女らの間に割り込んだ


「カイさん、シュウは私を助けてくれているだけよ。無駄よ」


ナナミが赤い涙を流しながら言った


「カイ、あと、こいつら、だけ、なんだ」


竜の赤い瞳のシュウが言った


これの一体どこが正気なんだ!

だが、ナナミもシュウを支配しているつもりは無いし、シュウも支配されている訳では無い



共感しているだけなのだ


強く、深く、そして昏く


そんな共感を外すには


「シュウ!あんた何バカやってんの!!」


今のシュウに恐れすら抱かず、果敢に近寄り


パァン!


叩いた


「ミル、姉?」


「そうよ、わざわざあんたのために来てやったんだからね!正気に戻りなさい!!」


パァン!


パァン!


「ちょ、ミル姉!シュウの頬が!」


「止めないでカイ!」


パァン!


シュウをひたすら叩くミル姉の頬には


涙がこぼれていた


「あ、あんた、本当に帰ってきてよぉ」


「ミル姉・・・」


「シュウ!?」



急に頭を抱えてシュウは叫んだ


「ああああああああ!」



----------



俺は、シュウタロー

名前は自分でつけた


ドラマだったか、アニメだったか、映画だったか忘れたが


主人公に憧れたから



生まれた時から、1人だった

母の顔も、父の顔も知らない



育ての母と言うのなら、多分それは保育ロボットだ


広い部屋だった


そこには全てがあったと思う



物心付いた時には、部屋の機器の取り扱いは理解していた


食事のパレットが出てくる機械


映像で学習が出来る機械


ゲームが出来る機械


世界中全てのデジタルコンテンツの再生が出来る機械



それらを使い、俺は成長した


誰も居ない部屋が、俺の世界だった




映像モニターの中には様々な映画やドラマ、ニュースに至るまで色々な物を見ていた



娯楽?



違うよ、俺以外の誰かがその中にいたからだ


実際には居ないのを理解するまでそう時間はかからなかった




デジタル資料の中に



人類保存計画という項目があって、それを見た時に理解した



そうか、人類は滅んだのかと



部屋を無理やり破壊して外に出る時には俺は30歳くらいだったかもしれない


他にも部屋があったが、その中には俺が生きるための全てがあった


中でも興味深かったのは世界中のリアルタイムが見られる探査衛星の動画だ





なるほど





見事に世界は滅びていた



動物の一匹すらいない



どうやら俺がいるのはかつて、日本と呼ばれる国があった場所らしい


気づいた俺は、日本の動画ばかりを見るようになっていた




日本の全ての動画を見終えた見たある日




俺は外に出ようと決めた



このままここに居てもひとり寂しく死んでいくだけだからだ



だが、壁を壊しても壊しても先が見えない



落盤事故に合う


医療ロボットを呼んでも来なかった



血が流れる



死ぬんだなと、理解した



だから一言呟いたんだ



「こんな世界に生まれてくるんじゃなかった」



と。





肉体が死んだ


当然、意識はなくなると思っていたら



急に目の前が明るくなる


そこには、俺と同じような境遇の「人生初の友人」がいた



「僕はカイ、君はシュウタローだね」


声をかけられた嬉しさで、でも夢をみていると思ったんだ


俺の体も年老いた体ではなく、若い頃のままだったから




----------



それからどれ位の時がたったのかわからないが、俺たちはこの世界に転生してきた


そこで出会ったんだ


カイ以外の初めての友達に


ああ・・・彼女は泣いていた




母親が、流行り病で亡くなった時だった


牧場に住む夫婦とその一人娘


ミル・ネリーシア


俺らよりも1つだけ年上だった彼女は、早すぎる母親の死に泣いて・・毎日泣いていたんだ


だから


泣かせないように・・


泣かなければ、笑っていても怒っていてもいい


だから俺は彼女に毎日会いに行った




イタズラするのが日課になって・・・そう




すっかり忘れていたよ。ミル姉・・・初めての・・・・・・・・・・・・・・・






----------





「ああああああああ!」


シュウの悲鳴が響き渡る


「シュウ!しっかりして!」


カイがミル姉とシュウのそばに駆け寄る


その隙をカケルとアカリは逃さない


シュウを見ているナナミに向かってスキルを発動する


「ナナミ!覚悟しなさい!」


「はぁぁぁぁ!!!」


「「流星撃!!」」


カケルとアカリの合わせ技だ!


だが



「なに襲う前に叫んでるの?バカじゃない」


ナナミはそう言うと、パチンと指を弾いた


瞬間・・・


アカリとカケルの体に異変が起こる


手が・・指がぶわりと膨れ上がり


ぼたぼたと芋虫になって落ちた


指は再び回復し、また元の形を取り戻すが


飛びかかった芋虫により鎧や服は溶かされ


転んだ二人に芋虫が貪りついた


「ぎゃあああああああああああああああああああ!」


カケルの顕わになった股間に芋虫が齧り付く

必死に両手で剥がそうとするも、再び生まれた芋虫に指を齧られ始めて股間の芋虫を剥がすことが出来ない


同じように、アカリもその手や胸を芋虫に齧り付かれ血を流しながら悲鳴を上げる


股間には芋虫が・・・侵入していく


「いやぁあああああああああああああああああ!!!」


悲鳴をあげて拒絶するが、芋虫は止まらない


ぐちゃ・・ぐちゃり


「あはははは!!いい姿ね!アカリ!芋虫に犯される気分はどうなの!?あははははは!」


「ぐぅっ・・・ああああ!!!シズクゥゥゥウウウウウ!こ・・殺して・・やる!!!」


アカリはナナミを睨み付けて言った


泡を吹きながら叫ぶアカリ


「はぁ?何言っているの?大丈夫アカリ・・ああ、わかった、芋虫じゃ物足りないのね。ほんとアカリってビッチよね」


そう言ってナナミは呪文を唱える


「い、いや、やめ、それだけは、やめ」


生み出された怪物を前にアカリは心を折られる


「いやぁガッ」


自ら舌を噛みきって死のうとするが

一瞬で再生する


「止めてぇ!」


そこにナナミが生み出したのはオークだ


ただ、全裸でアソコをいきり立たせた


オーク


何をされるか分かったアカリは逃げようにも体が動かず、されるがままにしかなからない事に恐怖した





「シュウ、いい加減に起きろぉぉ!」


カイが叫びー





「ああああああああ!」


シュウの叫びが一段と大きくなり



「シュウ!」


「ミル・・姉、はあ、はあ、声、聞こえたよ。ありがとう」


「シュウ良かった・・・」


「カイもな、ありがとう」


シュウはチラリとナナミ達の方を見て


「んじゃ、ナナミを止めないとな」


カケル達がナナミに何をしたのかを知ってしまったシュウに出てきた言葉は、

カケル達を助けようではない


あくまでも、救うのはナナミだ


「正直あいつらはどうなろうか知らないが、ナナミは復讐が済めば死ぬ気だからな・・・助けてやらないと」


「気が済まない、だね」


シュウが正気に戻り、カイも事情が飲み込めた



「ねぇ、シュウ・・・」


「なんだよミル姉・・・」


「あんたいつまで私の胸を揉んでるのよ!!」


パァン


「いってぇ!!」


「ほら、早く行きなさい」


シュウはミル姉をチラリと見て


「ありがとな、ミル姉」



そう言って駆け出したー



カイにはあのシュウを戻す為に必要な人はきっとミル姉だと、そう思った


この世界で、前世から数えても

シュウにとって初めての・・・・


初恋の人だから。



「さあて、そんじゃやりますかぁ!」


いつもよりも気合いの入ったシュウが、ナナミを救う

くっ、投稿が間に合わなかった!

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