008話 チーム戦
教室へ戻ると、意外なことに、普通の高校と同じようなHRをやり、解散という、ちょっと拍子抜けするような終わり方だった。
「えー、今日はこれで終わりだ。アヤセは少し残ってくれ、連絡事項がある」
「以上、解散!」
先生が教壇で来い来いという仕草をしていたので、慌てて前に行くと
「いやぁ、悪い悪い。もうすぐ新入生を対象としたチーム戦が開催されるってのを伝え忘れてた。てっきり生徒会長から連絡されてんのかと思ってな」
と笑いながらいった。
「はぁ、さっきカガリさん達に聞きましたけど」
「まぁ一応詳細を説明すると、1チーム3〜5名で参加可能なんだが、相当強い奴がいるチーム以外は、基本皆五人で出場するはずだ。トーナメント方式で、試合の方法は1対1の5本勝負、だから3人で出ると二人が二回出る事になるから体力的に相当不利になるってわけだ」
「なるほど」
「お前、あいつらに誘われたのか?」
一通り説明し終えると楽しそうに聞いてきた。
「えぇ、まぁ」
「あの問題児どもをまとめてくれると助かるよ」
「問題児なんですか?」
「カガリはサボり癖があるし、ファーレンハイトの方は協調性にかける」
やれやれといった表情から、結構本気で苦労しているのが伝わってくる。
「はぁ…」
確かに…
二人にはさっき初めて会ったばかりなのに、わりと共感できる…
俺がため息をつくのを見て、いかんいかんと頭を振り、元気にニヤリと笑っていった。
「ただし、実力に関してはウチのクラスでは文句なく1位を争うのはあいつらだ。二人ともAAAランクだぞ?」
「AAAってもうすぐSじゃないですか!?」
そんな凄い人達だったのか…
というかそれなら俺となんて釣り合わないんじゃ…
「いや、AAAとSの差は計り知れないぞ?Sランクへの壁は相当高く厚い…ふっ、まぁEランクの君には関係ない話さ」
と少し場を和ませつつ、最後に俺のやる気を煽った。
「ともかくだっ!今回の試合は、霊鳳院のお偉方が新入生の品定めをするためのもんでもあるからな。あの二人とチームを組めば、かなり良いとこまで行けると思うから頑張んなっ」
と肩を叩き、教室を後にした。
自分の席へ戻ると
「おっ、話終わったか?」
「カガリさん…とファーレンハイトさん…?」
ファーレンハイトさんは不満そうにしていた。
「どうしたの…?」
「夕食一緒にいかがかと思いまして」
「三人で…?」
「私は二人で行きたかったのですが、空気の読めない粗野な女性が割り込んできましたので仕方なく」
「それはこっちのセリフだっつーの!アヤセにフードコート案内してやろうと思って待ってたらコイツも残っててさ」
「そ、そう、二人ともありがとう」
言い合いの止まない二人をなだめたながら、三人で夕食を食べに学園の外へくりだした。
なんだかんだ言って実は仲いいんじゃないだろうか…