004話 学園都市
その日のうちに、先ほどの日下さんから連絡があり、身体に異常がないようなら明日から学園都市に移住してもらう、とのことで、家族と高校にはすでに話を通したらしい。
〜翌朝〜
病室へ昨日とは違う役員が訪ねてきた。
「私は昨日来た日下と同じ部署の水瀬と言います。あなたの案内役を命じられましたので、学園都市の一つ、日本がオーナーの霊鳳院学園までお連れします。」
黒髪ロングの綺麗な女性だった。
道中退屈だったので、色々聞いてみた。
「なんで七つの中から霊鳳院になったんですか?」
「とくに希望がないとのことでしたので、一番手続きが楽なオーナーが日本にいる霊鳳院学園にしました。」
「なるほど、合理的ですね」
ここで一応他の6つについても紹介しておこう。
学園都市は7つあってそれぞれ、別の国がオーナーになっている。
Ⅰ.The Knights Of Avalon
代表支援国:イギリス
Ⅱ.グランド・カース・アカデミー
代表支援国:アメリカ
Ⅲ.輝龍学院
代表支援国:中国
Ⅳ.スヴェスタ・スラーヴァ
代表支援国:ロシア
Ⅴ.霊鳳院学園
代表支援国:日本
Ⅵ.シュバルツ・レーヴェ
代表支援国:ドイツ
Ⅶ.クイーン・クロイツ
代表支援国:イタリア
超能力者には、現在、SSS〜Fまで、21個のランクがあり、学内での成績、対校戦での成績、実戦的なもので言えば国家への協力や事件解決等にてランクの変動があるそうで、トップランカーSSSレートは世界に僅か8人しかいないらしい。
通常、特待生はAから、一般の生徒はEからスタートするそうで、編入生の俺も当然Eからのスタートだそうだ。
こんな話を聞いているうちに目的地、霊鳳院学園のある学園都市に到着した。
日本から飛行船で約6時間といったところだった。
すっかり身体が固まってしまったので、思いっきり伸びをして外に出ると…
和装の老人と水瀬さん、それから学生らしき若い女性がまっていた。
「うむ、まずは長旅ご苦労じゃったな。ワシはこの学園都市のオーナーをやってる鳳仙というもんじゃ。」
よろしくと手を差し出されたので、一応握手をした。
すると横から
「鳳仙代表、時間もおしてますので…」
と水瀬さんが声をかけると
「おうおう、そうじゃったそうじゃった。それじゃあ、あとは若い二人で仲良くやんなさい」
ハッハッハッと笑いながら去って行った。
老人が話し終えるのを待っていたであろう、黒髪ロングの美人さんが話し始めた。
「私は、霊鳳院学園の生徒会長を務める、藤堂麗奈です。一応、SSランクで学内序列一位です。よろしくお願いします。」
と手を差し出されたので
「綾瀬凛です、よろしくお願いします。」
と挨拶した。
「すでに授業は始まっていますが、綾瀬さんは明日からの登校になりますので、今日のところは私が学内を案内しますわ」
とニコッと笑った。
学内を歩きながら
「先ほど私が言った学内序列というものは、学内での成績をもとに全生徒をランキングしたもので、上位7名は基本的に代表者として表舞台に立つので、待遇もよくなっているんですよ」
などと学園のシステムを説明してくれた。
「あの、一つ聞いてもいいですか?さっきの紹介で藤堂さんはSSランクって言ってましたよね?」
「えぇ、そうですけど?」
「ここに来る途中、水瀬さんに聞いたんですけど、確かランクの上限はSSSでしたよね?霊鳳院にはいないんですか?」
「ふふっ、なるほど。一位の私がSSだからということですよね?」
「はい」
「序列とランクは必ずしもリンクするとは限らないんですよ?心配なさらなくても、ちゃんと我が霊鳳院にもSSSランクの化物が在籍していますよ」
と笑いながら答えた。
「ただ、なかなか問題のある方で、ランク戦や授業をサボったりするので、序列は現在3位まで落ちてます」
笑ってはいたが目が笑ってなかった。
恐ろしい…
「色々あるんですね…」
その後も色々と説明を受け、目的地に着いた。
「ここが男子寮ですよ。最低限の荷物は用意してありますけど、何か足りないものがありましたら、先ほど通った通りのお店で探してみてください。それから、こちらが部屋の鍵と学生証代わりの端末になります。」
カードキーと何やらスマフォみたいな機械を渡された。
「何か質問はありますか?」
「大丈夫そうです、わざわざ付き合っていただいて、ありがとうございました。」
と挨拶をして別れた。
自分の部屋に行くと窓から夕陽が見えていたが、色々あって疲れすぎたのでその日はすぐに眠った。