012話 再び…
レンと別れてから、俺は一人今朝の第三修練場へ向かった。
学園内は、あちこちに自然を取り入れていて、道にもきちんと整えられた木々が並び立っていた。
広すぎていちいち、移動が大変だよ、まったく。
学内で思わず自転車が欲しくなるレベルの距離だった。
そんな事を考えながら歩いていると、いつぞやの猫らしき生き物に遭遇した。
「あっ!お前はこの間の変な猫っ!」
心なしか学生証とカードキーを握る力が強くなった。
「ニャン」
と可愛く鳴いた。
だがこのまま撫でようとしたら、この前の二の舞になってしまう。
どうしたもんかと考えながら猫らしき生き物を眺め
「はっ!」と思いつき、猫を先に捕まえることにした…
そっと近づき、何ともアグレッシブかつ奇妙な動きで飛びかかり、捕獲に成功した。
「ふっふっふー、この前の俺とは一味違うのだよ」
と小動物相手に本気で勝ち誇っているしょうもない男子生徒がいた。
というか俺だった…
小動物の顔をみて
「うーん、お前弟の方か?というか、この前俺の鍵をとったのって弟だっけ?」
などと話しかけていると通りかかる生徒たちに
「なんだあれ?」
「猫と喋ってるー」
などと笑われ
「ち、ちがっ」
と動揺して言い訳しようとしたその隙をついて俺の顔を引っ掻き、ゆるんだ俺の手から飛び出た小動物は俺から距離をとった。
「いってぇー!」
「くっそ、またやりやがったな……ん?」
するとまた猫が何かを咥えていた。
「あっ、これ前にみた…ってそうじゃなくてぇ!」
「返せっ!!」
とまたまた不毛な鬼ごっこが始まった。
こんな頻繁に猫を追いかけることになるとは、超能力者ってのも楽じゃないな。
うん。