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魔ねき猫アディダス  作者: 不器用な黒子
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九章    スナイパー夏 編

二匹の会話を聞いてしまった海は、夏を残し家を出ようとする。

だが一枚上手だった夏・・・・・


どのような展開になるか・・お付き合いください

腕を伸ばし、センサーライトに触れた。




素早く一番弱い省力にすると隣の夏を起こさぬように、ベッドを出た。




トイレの入り口まで来た俺は耳を澄ました。




(やっぱ夜行性の本質ってやつかな)




用を足し終え半端に目覚めてしまった俺は

声のする方に足が向いていた。




「やっぱり、言ってからのほうが」




「あの二人のことだ、付いてくるに決まってる

 危険な目にあわせたくない、だろ」




「そうですね、ココまでしてくれますもんね」




「だいぶ良くなったか」





シュルッシュㇽシュㇽ・・・



「ほらこの通り・・行きましょう」




俺はトイレの入り口に隠れた。



作ってやった専用の入り口から二匹が

姿を見せた、もう少し。



「こんな夜中に、お出掛けかい」




二匹の体が、ビクッと反応し固まった。



ゼンマイ仕掛けのロボットのように振り返った

アディー、その後ろでブルーが隠れるように、

身を縮ませている。



「聞いてたのか、海ちゃん」




「勘違いはするなよ、トイレに起きたら聞こえた。

 で、何処へ行くと俺たちが危険なんだ」





「夏ちゃんは」






「夢の中でお前らと遊んでる」






「中で話すよ」


今の時代、人間社会がそうであるように、力を持つと

抑えが利かなくなる奴が出てくる、それがアディーたち

の世界でも起きてしまったらしい。


ブルーは実は二匹で逃げていたと言った、そしてそれは

一緒に捨てられた妹なのだと。



崖から飛び降りた際、ブルーがクッションの役割を

果たし、再び逃げ出した二人は必ず会う約束をして、

別れたと言う。


術を使えない妹は、相手にとってはただの猫でしかない。

あくまで術を使える者が狙いなのだ、自分との旅はただ

危険なだけとなる。



偶然通りかかった一軒の家電店で

地方テレビが流れていた、一匹の猫を救った

女性、ずぶ濡れの女性が抱えていた猫に、思わず

足が止まった。右手にくっきりと三本線がある、

ここは、目の前を通る国道を挟んで向こうは県境

の隣県、もしももう少し隣の県に留まっていた

ら、この番組は見れなかった。


ここまで来れたのは、奇跡に近かった。





「俺たちを拾ってくれたアニキだから

 つい甘えて、やっぱ一人で行きます」






「妹にも、肉食わせるんだろ、行くよ」






「俺が,なら行ってこいって言うと思うか」






二匹が顔を見合わせてから首を振った。






「夏は大事な体だ、置いていく待ってろ」






「お、おい海ちゃん」





(俺も物好きだよな、ちゃっかり準備しとくんだもん)





忍び足で、部屋を出る。



「また一人になるんだ、日本に来ても」





ギクッ





「ちょっとトイレ」





「夜中にこそこそとツナギ着て、手に安全ブーツ持って

 トイレ行くんだ、そんな癖あったんだ」





布団を勢いよく捲った夏。




「ベッドにツナギで、リュックですか・・」





「トイレに起きたら聞こえた」





「な、言ったろ」



「でも」



二匹は、それ以上何も言わなかった。





「戸締りよし、電気オッケー、ほら乗って」




いつの間にか仕切っている夏。





休日はあと二日、行先も聞いてない俺はとりあえず

方角だけを聞き、西に向かってハンドルを握っていた。




この話におれは、来たことを

後悔し始めた。



「人間に姿を変える?ああ、でも同じ力を持った

 お前らなら直ぐ判るんだろ」



・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・


「何で答えないんだ、もしかして」



「気配を消せるってことなの?」



「だから二人は危険だって、ここでいいよ」



初めて夏が、アディ―を叩いた。



「夏ちゃん・・」



「家族になったんでしょ、今度それ言ったら

 海だからね」


あれ以来海は苦手だ。


「ごめん」



「海、大丈夫よね」



「・・・・・・ああ」



「俺のことなのに・・」



「その先は言うなよ」



時刻は午前二時四十分時になろうとしていた。



「本当にこの道でいいのか、段々街灯も無くなってきて

 あとどれ位かかるんだ、怖いの苦手」



「これから行くとこは、真っ暗な山道だからこんなもんじゃない」




「ブルー、どうしたの?」



「アニキ」


「ああ、海ちゃんこの先の陸橋超えたら、キャンプ場がある」



「止めればいいんだな」


橋の名前からして強烈だなおい。



「失恋橋・・・ここ」





「こんな名前付けるから、変な名所になってるよ」







「テレビで見たことある」







「この近くに止めるの止めにしないか」






「これ以上は車は無理、道がないんだから」







あまりに命を絶つ人が多くなり、何年も閉鎖されて手付かず

だったため崩落しているところが数か所あるらしい。





「陸橋も危なかったってことか」




「大丈夫だったろ、そこだ」



かろうじて車が止まるスペースはあったが、 

キャンプ場の面影は何処にもない。





「でも空気は澄んでておいしい」






そういう夏に対し、俺は身震いをしながら上着を着る。



「朝まで待った方がいいんじゃねえか」




「今入った方が、イノシシやクマと気配を間違う

 そうでしょ、アディー」



「さっすが夏ちゃん」



「ならちょっと待て」


おれは、リュックから取り出した物を、夏に

突き出した。



「持ってたんだ」



エアーガンと暗視スコープ。




まだ夏が日本に居た頃、誘われたゲーム。




ゲームと言えば、菜穂である。



野戦、暗闇で行う銃撃戦だった。



やってみたらこれが面白く、夏が海より嵌ってしまった。

銃は安物だったが、暗視スコープは夏がどうしてもと、かなり

値の張る物を揃えたのだった。



ガンマニアでもあった菜穂から、一目で気に入り

拝み倒して譲ってもらったガス銃も、今日は海の

ベルトのホルダーに収まっている。


この時、夏がポケットの中に秘密兵器を忍ばせて

いたのは誰も気付いてはいなかった。



野戦時代に付いた夏のニックネームは

菜穂が付けた、スナイパー夏である。



そういう夏も、しっかりベスト着込んでるじゃん。


衝撃吸収パッド入りの。




デッドで起き上がった時、ちらりと見えたぞ。





「な、結構頼れるだろ」



「そうですね」


二匹が二人を挟むようにして、獣道へ入って行った。

















































































いよいよアディーたちの力の秘密が明らかになりそうな・・・・

次話でお会いしましょう、ありがとうございました。

不器用な黒子

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