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魔ねき猫アディダス  作者: 不器用な黒子
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七章    雨降って猫にご飯 編

意外にも菜穂の妹のことを軽く受け流した夏。


話の流れから出てしまった一言・・・・・夏の平手。


七章   お付き合いください

笑い転げる二人の顔が目に浮かぶ。



ん、待てよ考えようによっちゃ・・・・・・・。



「この人は、何で独りで笑ってるんです?」



「あんま気にするな」



「今猫語で俺のこと言っただろ」



「悟り?」




「すぐ引っかかる」




「化けて出てやるか」



「ははは、もう十分化けてったろ」



気のせいかやたら混んでいる、ちらほらと目に付いてきた

浴衣姿のカップル、家族。




「祭りかぁ、ここ曲がるか」





窓の外に向かって、ウインドウを引っ掻く二匹。

信号待ちの間それは続いた。





「お前ら祭りそんな好きなの」





「そうじゃない、居たんだ」



「居た居た」





「可愛い猫か?」



「俺たちよりずっと強い力持ったやつだよ」




「止まるか」




「あんま会いたくはない、なあ」



「ええ」





「ならこのまま向かうぞ」





たし・・か、この銀行を左で、二つ目の信号。





「もうすぐだ、お前らマイハウスに入ってくれ」






コンビニの看板、あれだ。






「連れて来たぁ?」







後ろを振り返った夏。









「これ買ったの?」






「全部一式、しめて・・・・・のお買い上げって感じだ」







「菜穂の妹に鼻の下伸ばして、高い方買ったんだって?」




「伸ばしてなんか、いや少しは伸びて・・」







「まあいいわ、出してあげてもいい?」






「いいけど、服に毛が付くぞ」





もうすでに出していた二匹を膝に乗せる。






「初めまして、アディーお友達お名前は」




「向こうでは、米助」





「ああ、猫の世界ね、でも何でヨネスケ?」





「アメリカだからじゃないのか」





「海ちゃん正解」




「そのまま呼べばいいの?」







くぐもった声で鳴いた、初めて知った米助という

名前だったアメショー。





「本人は、あっちの呼び名は嫌らしいよ」






「付けちゃって、いい?」





昔から人にあだ名をつけるのが好きなとこは

パリに行っててもあまり進歩していない。







「ブルー、だって目が懐かしいカラコンみたいに青いし、ね」



「そんな簡単に決めちゃ、本人・・本にゃんに失礼じゃないか?」








「ブルー、かっこいい・・・アニキも思う?」






「俺よりかっこいいのがムカつくけど、いいんじゃないか」







「だって」






「アディーに、ブルーね覚えました」







夏は、オープンテラスがどうとか、店の作りが

お洒落れだとはしゃいでいる。






俺が興味を引かれたのは、自家製のハンバーガー

が、絶品らしいというところだった。






「きっと海の仕事のヒントにもなるんじゃないかな」




「見てみないと、今やってる誰かさんの家が

インパクト強いからな」







「そうそう、お父さんが海にデザインは全部任せるって」





(次の仕事か・・・気が早いな相変わらず)




「そうなの」





「そうなのって、いつもの海らしくない」






「今日は、休日仕事の話は抜き、なあお前ら」





「鈍いやつ」


「そ、そうですね」





「自分たちの家よ」




ギヤチェンジの途中だったおれは、驚きで

ギヤを抜いてしまった。




慌てて入れなおす。





「うそでしょ、俺まだ返事・・」







「待ってたら、あの世から迎えが来ちまうって、

 今日従業員呼んだみたいよ、整地だって」








お~い、整地しちまったら建てるしかなくなるよ

第一、今の俺の貯金じゃこいつ等の家、ちょっと高級

に作れるくらいですよ~、社長。






「海・・・・海?」





「あっ、ごめんちょっと幽体離脱してた」







「そんなに嫌なら幽体離脱したまま帰ってくんなば~か」






「いや、驚いただけ、したまま帰ってこなかったら

 結婚できないって」






あれ返事が、返って来ない。

信号待ちで横を・・・「夏・・夏ちゃん」






「ごめん、幽体離脱うつった」






さっきから二匹がやけに静か。






「突っ込まれるかと思ったけど、寝てたんだ」





「誤魔化さない、もう一回言って」





信号が変わった。

「あ青だ」





「海、言って」





夏のスマホに呼び出し音が、誰でもいい出来るだけ

なが~く話して、何なら目的地に着くくらい。






海の思い空しく、ものの十秒もしないうちに

バックの上に置かれたスマホ。




「言って」




「け・・結婚っていいました」




「いつ?」



「いつ?」



「私が聞いてんの」



「俺も聞いたんだけど」



「いつするのかって聞いてんの」



「まだ帰って来たばっかだし、時期を見て」



「いつの時代の考えよ」



「今の考えだけど」



ぴしゃりと夏の平手を喰らう。



「これが答え・・」





「天然過ぎもいい加減にして」






「これは海ちゃんが悪い」



「そう思います」







予報通り降り出した雨が次第に強くなった。

心に声が・・・・。



(夏ちゃんが何のために帰国したのかぐらい

 わかるだろ、言え)




落ち着かない俺はワイパーのスピードを上げた。

オーディオのボリュームを上げてみる。





って、失恋ソングだったので慌てて曲を変えた。



タイミングの悪さは、金メダル級。





「け、け、結構降って来たな」



「ころ・・す」






「け、結婚してください」



「ごめんなさい」



「は?」




「叩いてごめんなさい」




「あっ、いいよ俺言ったぞ」




「言ったね」




「言った」




「菜穂・・・・聞いてた?」



「早く来い、このバカップル」


(スピーカー?)



隠れて菜穂に繋げていた夏はスマホのスイッチ

を押すと同時に、宜しくお願いしますと言った。




かくして俺のプロポーズは、二匹の不思議な妖力を持った

猫の前という、世界に例がないものとなった。




雨降って地固まったあとは、

猫に小判ならぬ、化け猫にご飯。



長靴を履いた猫ならぬ、

靴下をはいた猫とである。



とってもステーキな夜になりそう。


















































また次話でお会いしましょう。


ありがとうございました。


不器用な黒子

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