ようこそRPGの世界へ
みなさんはRPGの世界に入ってみたいと思ったことはありませんか?
「あっつぅ……」
確か、俺はそんなことを思っていた。
8月13日 ≪現世≫
季節は夏。炎天下の路上に俺は立っている。
なぜか?それはGP会社新発売のRPGを買うからである。
機種はPG3(プレイゲーム3)というハイビジョンでゲームを快適に出来、かつネットにも繋げるし、DVDやCDだって聞ける。
なんとも素晴らしい、そして…
「エンジェルハーツⅥ」
このPG3専用ソフトはⅠが発売された時からやっているゲームである。
Ⅰが発売された時はおよそ8年前。そん時はPGという機種ですらなかったが、ストーリーといい、音楽といい、システムといい、俺としては神ゲーと言わざる負えない。
今では、世界的に人気のRPGになりグッズやCDの売れ行きも好調だ。
発売日には必ず手に入れてきた俺は今回もそのつもりだし、なにせ先着100名には特別な特典がつくらしい。これは絶対に手に入れねばならん!
東京に行くのに今朝5時に始発の電車に乗り、8時に秋葉原に到着。ネットで事前に調べておいた場所を確認しながら路上販売の目的地まで辿り着いた。
それはいいのだが、販売する場所が、ゲーム販売店でも、電機屋でもない
スーパーの近くでさっさと終わらせて帰りてぇ―なーと言わんばかりの店員がいる場所だった。……買えればいいんだ!買えれば。
「あと30分か……長く感じるな。」
販売時刻は9時からで、俺は前から数えて100番以内には入っている。
フハハハハー。特別特典ゲット!
3年も待たされたんだ。早くやりたいと体がうずうずする。
そしてふと思い出したことがあった。
周りをちらちら確認……
「結局来なかったか……」
橋澤康太という男がいる。頭の良さでは一位以外を取ったことが無い天才
ゲームにあまり興味を示さないのだが、俺とは仲の良い友達だ。
今回の新発売のゲームを機にこの面白さを分かってほしかったのだが、相変わらず反応は
「ありきたりなRPGだよなぁ」
とかなんとか……
くっ……やってみろってんだ!!
やらなければこのゲームの面白さなんて到底理解できない。
まぁ、そんなことを言ったところで、理解できなくていいし
と、返されそうだ。RPGというRPGを全てやってきた俺だが、
このゲームの完成度はかなり高いと断言できる。
世界にも広がってることだし、万人受けしそうなんだが……
とりあえず、粘りに粘って一度でいいからやってくれ、と土下座をする勢いで(あくまで土下座はしていない。つーかしない)お願いしたが、うーん…とあんまり手ごたえは無かった。
「あの反応じゃ買に来そうにないな」
他にも波風愛美という幼馴染もいる
容姿端麗、才色兼備、スポーツ万能。しっかし勉強は普通過ぎるほど普通
そんな彼女にも、意外な趣味がある。それは、
「夏には新しいRPGが出るんだってな」
「うそうそうそー!どんな内容!?」
早く教えてと目を輝かせる
とまぁ、ゲーム好きということだ。
波風には、エンジェルハーツのことは言っておいたしどうせ買いに来るだろう。
ちなみに結構な大金持ちで、専属メイドがいるらしい。(家に入ったことが無いからわからねーけどな)
そんなことを考えているうちに9時になり
神ゲーは売り出され始めた。値段は8500円。
人気のRPGだし、初めの値段なんてこんなもんだろ
俺は店の人に笑顔でハイッと渡され(フッ無理に笑顔作りやがって。どうせ、てめーなんかRPGなんてやったことないだろ!くそがっ)と内心思いつつ会計を済ませた。
「エンジェルハーツ……この時をどれだけ待ったかぁ……」
こみ上げる歓喜。思わず顔に出そうになるのを抑える。
すでに電車の中、ニヤリとでも笑ったらなんて思われるか……
特別特典の方はーっと。とても気になっていたものを手に取ってみる
「ゲームを起動させてから見てね……だと」
これがもし違う会社が出しているゲームだったとしたらパーツと言うパーツをバラバラにしプレス機に掛けて切り刻み焼却炉行きだったと思う。
「楽しみにしておくか」
この昂揚感のおかげで、帰りの電車はそう遠くは感じず、あっという間に家に着いた気がした。
「ただいまー」
「あら。どこかに出かけてたの翼?もうお母さん寂しくて寂しくて」
この周りより少し若いからって調子に乗ってるのは俺の母さん、糸島美奈子である
ちなみに俺の名前は糸島翼
自分で言うのもなんだが、色白で小顔で女によく間違えられる。
女性ホルモンが多いだとかなんだとか……(しかし胸は全くない。いや…むしろ無くて良かった)
そして、さっきの問いだが……もうわかってるだろ?と思いつつ
「秋葉原でゲーム買ってきた」
「そう。美少女ゲームかなんか?」
なっ!!俺がいつそんなゲームをやっていたところを見たというんだ。
部屋は厳重ロックをかけて誰だとしても入れない筈……
ってこんなんじゃ、やってますと認めてるみたいじゃないか!
おれはRPGを極めし者。そういうゲームをやるならRPGゲームをやった方が良い。
てか、普通そんなことを率直に聞くかぁ?
「あはっ。ちょっとふざけ過ぎたかな?」
あはっ。じゃねぇし、今の歳を考えろ。そんなことを可愛らしくやったって何も感じるものが無い
はぁ~。とっとと俺はこのゲームをやらなきゃならんのに。
「お昼は?」
「簡単に済ませてきたからいらない」
「わかったわ。夕飯は何が良い?」
「カレー」
「今日はちゃんと答えるのねぇ」
毎日毎日訊いてくる親もどうだと思うが……
単純にこのやり取りをさっさと終わらせたかったからという事
そのことはとりあえず伏せておく
「あ!後、由美と玲斗はゲームに夢中になってるから邪魔しないであげてね」
アイツらもゲームか……
あんまり興味を示さなかったのだが、そんなに好きなものがあったのか?
とりあえず家族構成としては
俺の家には父さん・母さん・妹・弟・俺と5人家族である。
そんな話はさておきPG3にCDを入れ説明書を読みながら起動
『インストールをしてください』
はっ?
バージョンが低すぎたか…。PG3は久しぶりにやるしな、
…まぁこれくらいのことには目をつぶるとして俺は再び説明書を読む
「ふむふむ……今回も面白そうな感じだな」
およそ10分後
『インストールが完了しました』
「お!来たなぁ~。」
○ボタンを押して先へと進む。
さまざまな会社名が出た後、スタート画面が出てきた。
スタート画面にはNEW GAME・LOAD・INSTALL
という3つの項目があった。正直、なんでまたインストールをしなくてはならないのか
と、おもいつつもそこにカーソルを合わせる
『特別特典との連動をします。持っている場合はUSBケーブルで接続してください』
USBケーブル、いわゆる機器を繋げて情報をやりとりするコードだ。
PG3を買った時に付属品としてついてきたからわざわざ買う必要が無い為
すぐに実行できた。
ハハハッ。これでノーマルの人間とは違くなったってことだな
跪け我を称えよ。なんて思いもしないことを言葉にしながら他の奴らに差をつけたことの優越感に浸る。
「それにしても、まさかここで特別特典を使うとは思わなかったな」
すでに二度目のインストールには何も不服を感じなくなっていた
せっせと箱を開け全貌を確認
「特別特典にしてはずいぶん豪勢な機械だな」
携帯2つ分くらいの大きさだ。
どんなパーツを使って作り上げたのか分からないが
複雑に出来ていて少しでも衝撃を与えたらポロッといきそうである。
「慎重に扱わないと……」
こういう時こそ、あっ!とか言って落とすというパターンを見受けられがちだが
俺に限ってそんなことは無い。
とりあえずUSBケーブルを繋ぎコントローラーの○ボタンを押す
『RPGOTMのインストールを開始します』
「RPGOTM?なんだそりゃ」
まぁ、普通におもう感想だ。
そんな説明はどこにもないし、どんな効果が出るかなんて全く分からない。
しかし、それが全ての始まりであり、後戻りすら許されなかった。
『70%完了』
この時の俺は待ち遠しくてたまらなかった。
地獄へのカウントダウンが徐々に迫る。
「早くインストール終わらないかな」
なんて思っていた自分がなんと哀れな……
『97%完了』
思えば、このゲームに関する情報を熟読しての購入だった。
打ちこまれていた。特別特典の仕掛けに、ふざけんな!と誰かのガセ情報だと思った。
そう。その特別特典を使うと体になんらかの支障をきたすという情報が一時期流れていた。
GP会社がそんな失敗をするはずないとそん時は深く考え無かったのだが……
体の意識が遠のく気がするまでそのゲーム会社を信じていた。
『100%完了』
100%という文字が出た瞬間。急に睡魔が襲ってきた。
「あれなんか眠たくなってきたぞ?これからゲームをやるっていうのに……なぜ…………。」
≪???≫
何時間経っただろうか……
目が覚めた場所は見知らぬ天上、見知らぬ家。
窓の外はすでに真っ暗になっていて何時だか確認しようかと思ったが
「時計が無い……」
誰の家だかわからないし、時間は分からないし、頭の中は混乱中……
「とりあえず部屋を出て…」
と、扉を開けた瞬間そこにはポニーテールの女性が立っていた。
顔立ちは童顔でありながらどこか大人の雰囲気が出ていた。
「お姫様?」
まさしくお姫様である。
「あら?お目覚めになりましたか、駄目男さん。それでは1つ教えておきたいことがあるので、聞き逃したら半殺しにします」
えっ?えぇ!?何?なんなん!?
「この狂った世界ではおにぎりという物を食べてはいけません。といっても自分の意思では決められませんが、はぁー何と可哀そうな事なのでしょう」
「おにぎりは食うなって?」
「そうです。豚野郎」
………何故その呼び名?
「んで、ここはどこなんだ?」
「顔が小さければ当然脳みそもちっぽけですよね。まぁ、そんな脳でそこまで考えられたのなら上出来です。ここがどこだか本当に分かりませんか?」
とことん馬鹿にしやがって、あはは、殴んぐりてぇ……
「はぁ?分かんねぇよ。ってかあんた誰?」
「あなたの頭をかち割って脳みそ取り出してあげましょうか?
このわたくしにそのような態度をとるお方は初めてですわ。」
はぁ……。なんか疲れたな。
「私の名前はフェクラテス・エテルティーナ。脳が腐りきってどうすることも出来ないあなたのサポートをさせてもらう者です。」
口を開けば毒を吐く毒舌女……
というか、顔立ちは日本っぽいんだが
「日本生まれだろ?」
「日本?…なんですかそれ、その思わず鼻を塞ぎたくなる様な言葉は」
その言葉に臭いなんてねェよ
……あれ?俺の口臭?
遠まわしでそんな事を言ってんのか?
だとしたらお前の方こそ鼻が腐ってんじゃねェのか
俺の口ほど良い匂いがするものはねぇぞ
フッ、腐れナルシストがっ!!
あれ?今さっきなんか聞こえたぞ?
……まぁ、それはおいといて、
「んで、サポートってなんだよ?」
「まだ分からないのですか?下衆野郎。ここはRPGの世界ですよ。」
「RPGの世界?」
「そうです。ゲームに意識を吸い取られたのです。」
あ、口を開けば毒を吐くはずなのにこの一言には毒がなかった。
ってそんなことじゃなくって!
「聞いていますか屑野郎?とりあえずこの腐りきった世界から死に物狂いで脱出するには地獄の針山を上った先に或る生ごみくさいと有名な魔王城に行ってもらいますがよろしいですか?よろしいですね?了解です。」
淡々と言葉を言い放ち。
おれは勝手に承諾したことになっていた。
「んで行ってどうすんだ?」
「そうですねぇ。土下座でもしてもらいましょうか?そして言うのです。このお姫様の代わりにこの腐った庶民をこきお使い下さいませと」
聞いたことねェRPGだな
魔王に土下座してお姫様を守るなんてどんだけ弱いんだよ
つーか、そこまで辿り着けるほど強いならなんとかして倒せよっ!
「ってか1人でよく魔王に捕まらなかったな」
「はぁ、いままでの敵はわたくしの護衛に倒させましたので」
んじゃ俺いらないじゃんという率直な感想は言わないでおく
「ですが、RPGが始まりましたら、わたくしは誰よりもか弱い女の子として演技させていただきますので、あなたもぼろを出さないようにお願いしますね。設定としては魔王の魔の手から逃げる姫を助けた主人公はその大ボスをぶっ殺しに行くという事になっています」
ハートつきの可愛らしい言葉で話されたが、言葉使いやなにやら…もはや撤回不可能
自分なりに考えたのだが、俺はあのゲームのインストールを完了させた瞬間に意識が途絶えた。つまり、俺が馬鹿にしていたあの情報は本当になったという事だ。
しかも、こんなお姫様と一緒になんて……
「さて、RPGのうんこ主人公さんに質問ですが、武器はお持ちでしょうか?」
もう可愛らしい顔が台無しだ……
「えっとこの通り持ってはいませんが?」
「どこぞの誰かさんとは違って、俺にはバットがあるから十分だとか言わないんですね?まぁ言ったら言ったでぶち殺していますが……」
なんか下ネタ混ぜてきたっ!
「そ、そう…なんですか……」
「とりあえずこれを」
そう言って渡された武器は
「バットかいっ!!」
「振り回せば誰かの首が吹っ飛ぶことで有名な首飛びバットですが、何かいけなかったでしょうか?下ネタ下衆野郎、このRPGでは上から8番目に強い武器ですよ」
自分からこの話題を振ったんだろ……
ってか改造とか強化とかいろいろ考えて8番目って強いの?
「だってさっきはバットとか言ったらぶち殺すと……」
「発言権はありませんよ、落ちこぼれのくそ主人公さん」
頭上でバットを振り回しながらセリフを吐く
あぁ~、なんか言ったら首、飛ぶんだろうなぁ~
馬鹿でもわかるこの状況……
「まぁ、そろそろ飽きてきた頃だと思いますが、武器も手に入れたことですし、旅に出ましょうか?男に近い女の子さん、いやおかまと言った方が早いですね」
「俺は男だ」
「あなたに発言権は無いと言ったはずですが、それでも言い続けますか?」
喉元にチェーンソーを突きつけられる
「いえ、なんでも」
「そうですか、ではまずは、パーティでも増やしますか」
なんなんだ?この逆らえない状況……
とりあえず、普通過ぎる家を出ようと玄関まで言った時。
「ところでこの錆びついた世界のルールを知っていますか?」
腐っただの錆びついただの……
「ルールなんてあるのか?」
「ルールなんてあるのか……とおっしゃいましたね?ではまず、そこの断頭台に立って下さい。およそ1分経てばあの世行きです。」
だ、断頭台!?
ここはどんな家なんだよ!
「まぁ冗談と思わせておいてルールを説明します」
冗談と思わせておくって何だ?えっなに?どっちなの?
「豚野郎にはご理解いただけるかどうか分かりませんが、RPGの主人公は自分の意思通りに行動できません。そして、これほどまでに苦痛な事はありません。」
うわぁ~そんなこと考えたことも無かった…
「それがどうしたって?」
「幼稚園児並みの分かりやすさで言ったつもりでしたがやはり理解できませんでしたか…。これよりわかりやすくするのは大変苦痛に感じるのですが、可哀そうなあなたを見ると、このくらいの痛みは我慢しなくてはならないですね。…要するに、あなたはこのRPGの主人公というわけです。そして、この家を出た瞬間ゲームがスタートするわけです。あなたが住んでいた世界の誰かがこのゲームをプレイしますとあなたはその誰かによって体を支配されます。自分の意思ではなんにも行動できない糞詰まり糸釣り人形という事です。」
嘘だろ……
そんなの嘘に決まってる!
「嘘だとお思いですか?甘ったれんなこの腐れ庶民が!とりあえず、この家を出れば真実が分かるはずですけど。どうしますか?まぁ…どうしますかと言っても、あなたには選択権は1つしかありませんが……」
後ろを振り返ると、手にメリケンサックをつけた毒舌お姫様と
ガン○ムみたいな機械がマシンガンを構えて迎撃しようと目を輝かせていたり
蛇の名で有名なおっさんが地雷を植えていたりと、ハチャメチャな事態を眼球がとらえていた。
行けばいいんでしょ行けば……
「それでは地獄へ張り切っていきましょう!」
……後で、お前をぶっ殺す!!
はぁ~。この私をぶっ殺しますか、いい度胸ですね
うわっ俺の心の中に入って来た……
そりゃあ入ってくるでしょう。どんな悪口を言っているかと思うと心が痛くて痛くて
いや~あのさぁ…ってか、お前も心痛むんだな。だったら少しは俺の気持ちも考えろって
ですが、わたくしも広大な心を持っています。そのくらいの悪口は許しますよ
あ、俺のこと軽くスルーされた……
「なぁなんでおにぎり食っちゃ駄目なんだ?」
「腐れ庶民にもこれくらいの知識は差し上げましょう……シュールストレミングという世界一臭いと言われているニシンを塩漬けにして缶の中で発酵させた漬物が具材として使われているからです。食べればそっこく地獄行きです。いや、ゲームではHPが回復するでしょうから生き地獄と言った方が良いでしょうか?当然、口直しも出来ませんので死んでも死にきれないってことですね。わたくしはあなたの精神が穏やかであることを願うばかりです」
ぜってぇそんなこと思ってねェだろ!
心の中では、死ね!屑野郎!とでも思ってんだろーな……
そ、そんなことは、おおおお思ってないですわ!
あなたがそんなことをお考えになっていたなんて……グスン
グスンじゃねェよグスンじゃ!
まぁ、そんなこんなでわたくし倉堆栖とひょんなことから一文無しの屑野郎となった翼君との冒険が今、幕を開けます。
はぁ!?倉堆栖ってなんだし!……え?クラテスだって?読み方なんて聞いてねェよ!!
え?本名だと?俺の知ったこっちゃねェ!
ってかなんで俺の名前知ってんの!!?
「とりあえず初期設定の方はわたくしが全て整えておいたのであとはプレイする側の気持ちによってあなたのすべてが決まります。」
「ど、どういう意味だ」
答えを訊く前に家の扉が開かれた。
ちょ!ちょっと待てよ~~
8月14日 ≪現世≫
「翼が言ってたゲームはこれか?」
翼の仲の良い友達。橋澤康太はとあるゲームショップにてエンジェルハーツと言うゲームを手に取っていた。
毎回の如く、翼にこのRPGは面白いと言われ続けてきたが、さすがに今回はやってみようかと思う。まぁ、たまにはRPGの1つや2つやってもいいか、とレジまで持っていく。
本当のことを言えば自分の成績の立場からゲームなんてやってはいけないと心に言い聞かせてきた自分がいたが、実際は少し…いや物凄くやってみたかった。
値段は8500円とまぁまぁなところかと財布からお金を取り出す。
正直な話、俺が親に頼んだものは何でも買って来てくれる。
と、言っても頼んだことなんて一度も無いが……
何故かといえば、成績が良いとかで親として鼻が高いらしい
「さて、早速家に帰ってやるか」
俺の家は他と比べて何ら変わりないが、置物が豪勢なものばかり、お父さんの趣味らしい。
お母さんも高級ホテルに泊まってるみたいだと喜んでるみたいだし、家族仲は良いと思う。
妹や弟はいないが姉がいる。その姉は美術大学に通っていて朝早くから家を出ていく
お父さんお母さんも仕事があるため午前中には既にどこかへと出かけてしまい家には俺だけといった状況になる。
「スタートっと……」
PG3は最近買ったばかり、いや、姉の絵画コンクルールの銀賞の商品である。
自分はやらないからと俺にくれたのだが、その時は誰かにあげようかと思っていた。
しかし、今となってはとっておいてよかったと思う。
エンジェルハーツという文字が出てNEW GAME・LOAD・INSTALL
の3つの文字が出てくる。
「インストール?」
とりあえずカーソルをそこにあわせて○ボタンを押す
『特別特典との連動をします。持っている場合はUSBケーブルで接続してください』
あぁ~、翼が初日に買いに行く理由が分かった。
これのことかと理解した康太はニューゲームというところにカーソルを合わせて再び○ボタンを押す。
壮大なOPが始まるとともに主人公が出てきた。
ん!?翼によく似た人物?いや翼か!?
なんだこれ!?ここまでそっくりな主人公初めて見たぞ!?
『名前を入れて下さい』
と下にもともと決まっている初期ネームが表示された
【下衆野郎】
「……………なんて可哀そうな名前なんだ。」
さすがにこれで話を進めるのもなんだと思い
【ツバサ】
と名前を書きかえた。
その後、服の色や形や何から何まで酷かった。(まさに下衆野郎にふさわしい恰好……)
そしてそれを翼そっくりにして楽しむ自分もいた。
「よしっ!だいたいこれで翼になったな」
コスチュームは1万を超える程たくさんあった。
そして、まさしく糸島翼そっくりな人物が出来上がった。
「始まりは家の外からだな?……ん?」
康太の目に映る1人のメイドらしき人物を発見
主人公の家にはメイドがいるのか?
ってかこんなか弱そうな娘が戦えるのか?
とりあえず、家の付近をうろうろと歩き回る。
「翼にそっくりっていうこともあってやりがいがありそうだ!」
と、やる気が出てきた康太であった。
≪RPG世界≫
「うおっ体が勝手に……」
「そりゃそうですよ。誰かが動かしているのですから、それにしても良かったですねぇ。下衆野郎という名前じゃなくなって」
「あたりめぇーだ!!んな名前でやってられっか!ってか、俺たち話してて大丈夫なのか?と、いうか待て待て待ておまえ服変わってるぞ?」
「こういう話は全く聞こえませんのでご安心を。あ、この服ですか?まぁこの冒険には実際、お姫様では無くメイドという設定になってますので」
「んじゃなにゆえ?」
「気晴らしに自分の意思で服を変えてました。あなたも暇があればどうぞ」
あれ?ずいぶん優しいぞ?
わたくしが優しいですか?
うわっまた入って来た……
来ちゃ悪いですか?ははぁ~、もしや、わたくしのあーんなことやこーんなことを妄想して楽しもうと思っていたのですか?このエロ大魔王が!!
違うわ!!
ちっ!つまらない下衆野郎ですね
悪かったな下衆野郎で!!
まぁそれはさておき、敵ですよ、敵
「ギャルルルルルル!」
「うわっなんだこいつ名前とか知らねェのか?」
「えーっとですね。確かぁ……小豆脳みそ」
「はぁ?」
「あなたほど小さくありませんがこの敵は相当な馬鹿です」
「いや待てよ。それって、俺はこいつより馬鹿だってことか?」
「そんなぁ当然の事をきかれてもわたくし困りますぅ♪」
ムカッ!!っとしたがとりあえず流す。
「んでいつになったら攻撃するんだ?」
「それはプレイ側が決めることであってわたくしたちにはどうすることもできませんよ?」
「んじゃあれか、このまま寝かれたらそのままということか?」
「そういうことです。とくにこのRPGはコマンド入力時も時間が流れ続けるゲームですので、じっとしていますと攻撃されます。」
「えぇ!!って言ってるそばから痛そうな爪がぁ!」
バシュッ!!
「うわぁ~~って、あれ?痛みは無いんだな、それに血は出ないし」
「出た方がよろしいですか?それに痛み設定も上げますか?」
「あ、いや、なんでもない」
その設定とやらには何か恐ろしい物を感じる
「フッ、それにあなたには初期装備に挑発という能力がついていますのでほとんどの敵の攻撃をあなたが受けてもらいます。え~とちなみに私には自動ガードやカウンターやらあるのでそう簡単には死にません」
なんだそれ!ズル過ぎだろっ
「まぁ、その分あなたはHPも高いのでよろしいかと……」
それは素直に喜ぶべきだろうか……
はぁ~もうなんだかな……
≪現世≫
とりあえず内容は把握できた。
主人公の家にはメイドがいていつもいつも世話になっているらしい、この世界を滅ぼそうとする敵に姫をさらわれ、その魔王を倒すにはどうやらその姫の力が必要らしい
そんなこんなで主人公が立ち上がり、どうしてもついていきたいと懇願するメイドをしょうがなく連れて行くことにし、物語が動き出す……かぁ
まぁ、最後まで付き合ってやるか
しばらく歩くと画面にひびが入り戦闘が始まった。
「お!戦闘だ。まずは、えーと、攻撃方法は戦うか?他にも技やらアイテムやらコマンドがたくさんある」
ウルフLv3 HP100
ツバサLv5 HP200
クラテスLv3 HP90
どれにしようか迷ってると敵が動き出した
「やばいやばい、こういう時も敵は動くんだな。とりあえず【戦う】にしておくか」
ツバサを戦う、クラテスというメイドは物理防御UPを2人にかけさせてっと
(ツバサは23ダメージを与えた)
ツバサの攻撃力はそこそこであった。敵のHPも100と普通
次のターンで2人とも【戦う】にして戦闘開始
(ツバサは27ダメージを与えた)
(クラテスは60のダメージを与えた)
(2人は勝利した。60の経験値と100ギル手に入れた)
「は?えっちょっと、クラテス強くないか?あ、でもクリティカルって表示されたしダメージが大きくなって当然か……」
≪RPG世界≫
「うおい!」
「なんですかそのありきたりなつっこみは……」
「なんだよおまえの攻撃力、可笑しくねぇか?」
「はぁ…どうやらあなたの頭は大昔に大噴火してしまって当にスカスカになってしまったのですねお可哀そうに……クリティカルというものを知らないのですか?このカス野郎」
「知ってるし!さっきから戦闘をずぅーと続けてるけど20回戦って20回ともクリティカルってどう考えても可笑しいだろ!!」
「わざわざ数えていたのですか、まったく、気にすると禿ますよ?…いや、髪1本だけ残して禿ますよ」
「波○かぁー!!」
「良いつっこみですね腐れ禿。それにしても、日曜6:30の国民的アニメの名を出すとはずいぶん偉くなったものですねぇ。腸掻っ切ってもだえ死んでくれませんか?」
攻撃時に出る爪を俺に向けた
ってかいろいろつっこみどころがあり過ぎて困るんですけど
「まぁ冗談と思わせておいて、それにしても動きませんね」
また…冗談と思わせておいてってなんだよっ!
これまでの会話は全て棒立ち状態での事
体を1ミリも動かせない苦痛ったらありゃしない
まぁ顔を動かせるだけでもずいぶん楽だ
やはりそう思いますか?
同感です。いや、あなたと同感……同感……?
わたくしも落ちたものですわねぇ
おいおい、なんだよその言い方は!
だって、腑抜けた面した腐れ野郎と同じなんですよ?
そう思うだけで涙が……ポロリ
ポロリ、じゃねェ!!
っと体が動き出したぞ!?
「どうやら誰かに話しかけるようですね」
「話しかけるんか…」
「あ!あれは町内で噂の」
「噂のなんだ?」
「生ごみくさいと有名な仙人です!」
白髭ボーボーじゃん。
実際さぁ、こいつが魔王なんじゃねェの?
魔王城だって生ごみくさくて有名なんだろ?
「魔王?はいそうです。ご本人です。」
「うっそーーー!」
「耳かっぽじって良く聞け単細胞。
こいつが最後の最後で魔王でしたという話になるんです」
「んじゃさっそくぶっ飛ばそうぜ」
「出来るものならとっくに殺ってますよ」
相変わらず直立だが前にいる仙人がにやりと笑った
「俺、魔王よろしくッス」
はぁ? ずいぶん仙人かるい奴だな、歳いくつだよっ!!
≪現世≫
とりあえず一番年上の長老にでも話しかけるか
康太はツバサを長老の所まで誘導させた。
(ごほん、君たちが魔王を倒してくれるという者かのぅ。魔王の強さは半端じゃないのじゃ。生半可の力じゃ到底勝てないじゃろう。これをあげよう。)
【銅の剣を貰った。魔導師の杖を貰った】
(特にツバサ君と言ったかな?これを食べて元気を出しなさい)
【おにぎりを貰った。】
「お! おにぎりって回復アイテムか?後でツバサに食わせてやろう」
≪RPG世界≫
「これ食ってお前は死ね!」
「でた!これか?クラテス?」
チャラチャラした歳偽造仙人におにぎりを渡された。
「その様ですね。すくなくともわたくしのHPは満タンですので食べるのはあなたです。幽体離脱も夢じゃありませんね」
ニコッと微笑むクラテス。
こんの体がぁ、動いたらぁゼーハーゼーハー。ぜってーこのおにぎィりを、ゼーハーゼーハー。おめーに食わせてやる!
どんなに動こうとしても無駄です。指導権はプレイ側にあるんですから
そして、持ち物全て自分の意思ではどうすることも出来ませんのであしからず……
ふざけやがって……
ふざけてませんわ。ただ、あなたの三途の川を見るような顔が見たいだけです。
とことんこいつは……俺は、プレイ側の人がクラテスを殺してくれないかと願うばかりである
≪現世≫
その頃、康太はステータス画面を見ていた。
「クラテスっていうメイドさんはかなり使えそうだな。なにせ必ずクリティカルって表示されるし、ガード・カウンターの能力もついてるし簡単に死なせるわけにはいかないな」
そう固い決意をした頃、愛美はというと
≪RPG世界≫
すでにRPG世界に入り込んでいた。
「なに!なにこれ!?キャハッ!RPGの世界に入っちゃったぁー!」
と、しかし、このようにご満悦であった。
しかも学校生活のようなおしとやかな性格はもはや消し飛んで普段は隠れている裏に潜む影が100%外に出ていた。
「あのぅ~愛美様?」
「なーに?執事さん?」
愛美の方には執事がついていた。
「これからの旅についていろいろご説明しておきたいことがあります。」
「んなことどうだっていいのよぉ!はぁ~ついに私の夢叶っちゃった!どうしよう♪こうしゃいられない。さっそく行動よ!」
「ま、待って下さい」
「あのねぇ、私のもう一つの夢はRPGを独断でクリアすることよ!執事なんかいなくても平気だもんねーだ」
「ですが…やはりお1人では危険かと……」
「まぁそんときはそんときね。んじゃ、ばいばーい♪」
「なんと元気な女の子なんでしょう……」
執事は深い溜息を吐いた。
「わーいわーい」
と、はしゃぎまくっていると急にぴたりと体が動かなくなる
「なによこれ?なーんーなーのー!?」
どう力を入れてもびくともしない自分の体
「大丈夫ですか愛美様?」
「か、体が動かないんだけど、私の体になんかした?」
「いえ、そのようなことは決して…」
「んじゃなんなのよ!!」
「ですから、このことをさっきは話そうとしたんですよ」
この世界について一通り話すと
「嘘……ねぇ?嘘でしょ?」
「残念ながら本当です。」
もう!なんでこうなるのよーーーー!
一体、愛美を操作しているのは誰なのか?
翼はおにぎりを食べてしまうのか!?
次回、ツバサの怒涛の快進撃!?ついにクラテス白旗か!?
そして愛美を操作する2つの影。
乞う!ご期待!
まぁ、読みきりなんで、次回とか無いですけどね……
読みきりです。
次回はありません。
気が向いたらたぶん続きを……




