振り子の法則
人生のどん底にいるときや、何かに強い不安を感じているとき。
人は「この苦しみはいつまで続くのだろう」と思ってしまいます。
とくに夜になると、不安はふくらみやすいものです。
人間の脳には、未来の悪い出来事を何度も想像してしまう働きがあり、心理学ではこれを「反すう思考」や「持続的認知」と呼びます。
これは過去や未来の不安を繰り返し考え続ける心の状態で、心拍やストレスホルモンの上昇など、身体にも影響を与えることが知られています。
だからこそ、不安の最中にいるときは、世界のすべてが暗く見えてしまうのです。
けれども私は、人生には「振り子の法則」のようなものがあると感じています。
振り子は、大きく後ろに引かれるほど、反対側へも大きく振れます。
実は心理学の研究でも、つらい経験のあとに人が大きく成長する現象が確認されています。
これは「心的外傷後成長」と呼ばれ、困難や危機を経験した人が、その後に人生観の変化や人間関係の深まり、自己理解などを得ることがあります。
また、災害や大きなストレスを経験した人を調べた研究では、心理的回復力が高まるほど、希望や成長の感覚も高まる傾向があることが報告されています。
つまり、今味わっている苦しさや不安は、決して無駄ではありません。
それは未来へ向かうための、大きな「ため」なのです。
深く沈んだ分だけ、上へ跳ね上がる力が蓄えられていきます。
もちろん、苦しみの最中にいるときは、とてもそんなふうには思えないでしょう。
それでも、今日を生き延びている時点で、すでに強いのです。
不安でいっぱいでも、一歩進むことをやめず。
それだけで十分です。
小さな前向きさでも、未来の力になっていくのです。
未来のあなたは、きっと今を振り返りながら微笑んでいます。
「あの時間があったから、ここまで来られた」と。
振り子は必ず戻ります。
だから大丈夫です。
不安や苦しみは、いつか喜びとなって、今よりもずっと大きな形で返ってくるのです。




