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Venus And The SAKURA  作者: モカ☆まった~り
貴族領地編
97/165

0095 二ホン国からの使者

 ヒガシムラヤマ領に二ホン国の使節団がやって来た。この地での農業・畜産業の技法を教えてもらう為にリョウタにお願いして来てもらったのだ。


 使節団は団長としてリョウタ夫人の「エレン」、他はそれぞれの分野のエキスパート達。

「エレンさん、お久しぶりです。」

「こちらこそ、おひさしぶりですわ!オウカ様、いや、義兄様とお呼びした方がいいかしら?」


 俺は笑いながら、「今まで通りオウカでいいよ。それよりも悪いね、来てもらって。」

「いえ、オウカ様のご要望です。聞かない訳がないじゃないですか。」

「それじゃあ、来てもらって早速だけど、お願いできるかな?」

「構いませんわよ。行きましょう。」


 使節団の滞在期間は3日。その間に、沢山の事を教えて貰わなければならない。時間がないのだ。




 最初の村、コレット村にやって来た。


 コレット村は養鶏を中心に営んでもらっている。

 初めはトマト栽培もして貰う予定だったが、思いのほか忙しく手が回らないという事だった。

「素晴らしい養鶏場ですね。」と畜産担当の使節団の人が養鶏場の造りを褒める。

「いえ、素人ですので・・・。」とコレットさんは恐縮している。

「床が地面と言うのも良いですけど、藁を敷いた方が、たまごが割れにくいですし、鶏の寝床にもなりますよ。ただ、毎日の掃除が大変ですが。」

「毎日、掃除をするものなのですか?」とコレットさんが驚いている。

「ええ、人間と同じで清潔にしておかないと病気になりますからね。」

「餌は何を・・・」「こっちは、自由に出来る場所なんですね・・・」

という感じで、情報提供が行われる。




 次に訪れたのは、エ・マーナ村だ。


 この村は、牛と豚を中心とした畜産業を生業とする予定だ。

「私達からの贈り物ですわ。」すると魔法陣が現れた。

 内容は食肉用の牛18頭、乳、チーズなど加工品用の牛を10頭、豚を10頭と大盤振る舞い。

「こんなに頂いてもよろしいのですか?」ここでも村長は恐縮している。

「いえ、この数では食用に卸すだけの数ではありません。この3倍の数は最低でも確保していただかないと・・・。」と畜産業の施設の方が話している。

「ミルク、チーズ、バター、ゼラチンなどの加工品の作り方と、厩舎などの建物に関して情報を提供しましょう・・・。」




 次に訪れたのはヤード村。


 村の畑を見た使節団は、開口一番、「畑、田んぼの面積を最低でも2倍に拡張してください。」と言った。


 この言葉に村長は驚きを隠せず、「何故ですか?」と聞いてきた。

「畑の麦から作られる小麦は一番、消費されるものですから。」と使節団が言った。

「でも、領主様からは別の所から輸入すると言っておりましたので。」

「あ、そうなんですね。では、拡張は田んぼだけにしましょう。」

「何故ですか?」と村長が聞き直す。

「コメという物は非常に消費が多いのです。ましてや他の所、例えば王都に輸出するだけでも、大量に必要になります。最終的にはこれの10倍の面積になるように努めて下さい。」

「はあ、そんなにも必要なのですか?」

「他にも大事な加工品が出来ますからね。」と使節団が微笑む。

「それが何かは、後で教えてあげますよ。」


「その他には必要な物はありますか?」と村長はこれを逃してなるものかと聞いている。

「そうですね~、あっ、この村にも必要な物を持ってきましたよ。」

 魔法陣が現れ、脱穀機・精米機・コメの苗が姿を現した。

「これがあれば、高品質のコメが出来上がりますよ。」

「後は、コメ・麦を貯蔵するための蔵と別に建物が必要になりますね。」

「その別の建物とは、一体・・・?」

「それも、後で教えてあげますよ。」と使節団の人が笑った。




 さて、残るのが一番大変な部類で、「野菜の栽培」の畑だ。こちらは、街組合が担当する。


 まず、大きさ。最初の内はあまり大きくなくてもいいけれど、最終的には最低でも麦畑位の大きさが必要との事。


 植える野菜は、トマトは決まっているのだが、他は何も決まっていない。

 それではと、キャベツ・ジャガイモ・人参・玉ねぎ・ニンニク・ショウガ・ネギ・コショウを最初に植えてみて、慣れれば他の品種にも手を付けましょうということになった。

「そして、これが一番大事です!」と出てきたのは「大豆」。

「これは、食べることも出来ますが、加工品も重宝しますので、多めに栽培してくださいね。」と言われた。

「その他には、こういう建物と・・・。」と話が進んでいく。


「オウカ様、これは国王様からです。」と小さな苗木を出してきた。

「これは何の作物ですか?」とエレンさんに聞いてみる。

「いえ、これは作物ではありません。オウカ様にはこの木が相応しいと預かった花です。」

・・・桜の木。俺の名前の由来の木。

「ありがとう。よし!これで、桜並木を作ろう!」




 初日の仕事も終わり、今夜は「交流会」。


 各村長と使節団で酒を酌み交わし、友好を深めようという催しだ。

「それでは、ヒガシムラヤマ領の発展に乾杯!」と宴が始まる。

 それぞれの村長は、あれやこれやとこぞって使節団に質問攻め。

 それに対して、使節団の方達は、嫌な顔をせずにゆっくりと説明をして行く。


 乾杯の合図と共にエレンさんがいなくなったと思ったら「皆さん、我々の国の郷土料理をご堪能下さい」とエレンさんがリリアを引き連れてやって来た。


「日本料理」を初めて見た村長は、美しい器に美しい盛り付け、見た事がない料理に興奮気味、早く食べたそうにしている。

「まずは、ミソスープからどうぞ。」豆腐や野菜、肉がふんだんに入った、日本風で言う所の「豚汁」の味に、美味いですねと村長達が唸る。

「まず、このスープの材料は大豆から加工した、味噌から作られています。」続けて、「中の具材の白い物・・これは豆腐といいまして、これも大豆からの加工品になります。」とエレンが言った。

「大豆だけで、こんな加工品が出来るのですか!」村長たちは驚きと期待の眼差しでミソスープを眺めている。


「次はこの料理をご堪能下さい。」

 鯛の刺身が出てきた。二ホン国って鯛までいるのか・・・うらやましい。

「これは、生の魚じゃないか?」「こんなものが食えるのか?」と村長たちの態度は一変。まっ、外国人が日本に来て驚くのと同じだよね。

「魚という物は、肉と一緒で、鮮度が良ければ生で食べることが出来るのです。どうぞ、このソースを付けて食べてみてください。」

村長たちは、恐る恐る「刺身」を口にした途端に、鯛の持つ食感と味に魅了され、「生の魚がこんなに美味いとは知らなかった!」と口走っている。

「それにしても、このソースも美味いな!何で作ってあるのだろう・・・?」

「お気づきですか?このソースは「ショウユ」と言いまして、これも大豆の加工品です!」

 エレンの言葉に皆がごくりと唾を飲み込んだ・・・。儲かるのは間違いなしと確信したからだ。


「そして、この刺身に合うお酒をご賞味下さい。」と、透明の液体を出してきた。

「何だこれ?水じゃないのか?」とヤード村の村長が言う。

「いや。何とも言えない香りがするぞ」とエ・マーナ村の村長が言った。

 疑いながら、一口飲んでみる・・・。芳醇な香りと、キリリとした味が喉を通る。

「こんな酒は初めてだ!」「美味いな!」「どうやって作るのですか!」と村長たちは気に入ったようだ。

「このお酒は「ニホンシュ」と言います、コメが原材料です。田んぼの広さを大きくして欲しいと言った訳が解りましたか?」


「ああ、こんなに美味い酒が飲めるんなら、いくらでも田んぼを拡張してやるぜ!」とヤード村の村長が喜びながら言っていた。


 その他にも、鶏を使った料理、豚肉を使った料理が出てきて、皆が大喜び。


 そして、俺は立ち上がり皆に言った。

「これらの料理が毎日、無理なく食べれるように、皆で頑張ろうじゃないか!」


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