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Venus And The SAKURA  作者: モカ☆まった~り
貴族領地編
94/165

0092 冷たい鉱石、光る鉱石

 何もなかったコレット村の整備は順調、養鶏場以外の部分には石畳を敷き隣の広大な土地ではトマト栽培を始めることにした。


 ヒガシムラヤマ領の北、ガブレラ大森林との間にある平原。

「オラオラ!どうした!もうへばったか!」

「まだまだ!」

 訓練をしているのは、タイガとジギル。実戦的な訓練が良いとのジギルの申し出を受けてこの訓練方法になっている。


 そこに、一人の夫人がやって来た。

「タイガさん、悪いんだけど、また付き合って貰えないかしら?」

「ああ、いいですよ。」


「どこに行くんだ?」ジギルが聞く。

「ああ、猟をしに行くんだ。領地を変えると言っても、まだまだ食料が足らないんだってよ。いくら金を貰っても、現物がなけりゃ、どうしようもないってさ。」



ー***-



「そういう事がありまして。」と桜花に報告をする。

「そうだよな、いくら畑を作っても収穫までは1年かかるものな。」

「食料調達が出来れば良いのですが。」

「そこなんだよ、野菜はまだ日持ちはするけど、肉は日持ちしないんだよな。」

「何か、良い手があればよいのですが・・・。」


 そこにローズが入って来て

「ごしゅじんさまぁ、あれ?ジギルいたのね。どうしたの、暗い顔して。」

「ああ、食糧事情の件で報告をしていたんだ。」

「あ~、どこかに肉を保管できるようなところはないかなぁ〜」伸びをしながら桜花が叫ぶ。

「あるわよぉ~、ごしゅじんさまぁ、」

「ある?どこにだ?」

「ラミア族の洞窟。」

「あそこはダメだ、遠すぎるし、俺が去ったあとにこの領地の人達が困る。」

「ごしゅじんさまぁ、洞窟が何故、涼しいかわかるぅ?」

「そりゃ、あれだろ?地下なんだから日も届かないからだろ?」

「ふふ~ん、不正解。」

「答えは、冷却効果がある鉱石が多いからよぉ。」

「何!じゃあ、その鉱石さえ手に入れば・・・。」

「その通りよぉ。」

「これで、肉事情は解決だな!でかしたぞ!ローズ、ありがとう!」

「じゃあ、キスしてぇ。」

「わかった!」俺はローズの腰を抱き、夢中になって舌を絡ませた。ジキルは顔を背ける。

「よし!行くぞ!」

「待ってぇ。たてなぁい」ローズは床にへたり込んでしまっていた。



 転移!


「ようこそいらっしゃいました、婿殿!」と出迎えるのはラミア族族長のサーペント。

「その、婿殿って呼び方、止めてもらえませんか?むずがゆくって・・・。」

「ハッハッハ!そうでしたな!オウカ殿、今日は何用かな?」

「冷却機能がある鉱石を頂きたいのです。」

「冷却機能・・?ああ、物を冷やすんですな!どうぞ、こちらへ。」


 案内されたのは更に奥の洞窟。奥に行けば行くほど寒くなってくる。

「これが、その鉱石ですぞ!オウカ殿!」

その洞窟内には、大小様々な鉱石があり、涼しげな青色の光を放っている。

「この大きな鉱石ひとつで、どれぐらい冷えるのですか?」

「これ一つでとの実験はしておらんので解らんのだが、この大きさ6個で、儂らがいる部屋が寒くなりますぞ。」

「わかりました!8個貰って行きます!」

「ああ、どうぞどうぞ、それにこの鉱石を持って帰って下さい。」と白いひかりを放っている鉱石をくれた。


 転移!


「その鉱石でどうされるのですか?」とジギルが聞く。

「まあ、付いて来なって。」と付いたのは商人ギルド。

「こんにちは!ライドさん!倉庫を見せて貰えない?」

「ああ、いいですよ!」と案内されたのは小さな倉庫。只今、拡張工事中だ。

「とりあえずさ、麦の倉庫を空にして、これを置いて欲しいんだ」と鉱石を渡す。

「何ですか、これ?ひゃぁ、冷たい!」

「この鉱石の冷たさを利用して、肉を保存するんだ!」

「なるほど、これなら長期保存も可能ですね!」

「ああ、これが成功したら、野菜も冷やして保存するから倉庫の大きさを将来を見越して考えておいて下さいね!」


 その日の3時ごろ中央広場にて。


「今日から、商人ギルドで生肉の保管が出来るようになりました!もちろん、腐りません!」

「試しに、僕がウシの肉20体、鶏肉20体と仕入れましたから、商いをしている人は商人ギルドにて卸して貰ってください。そして、皆さんの食卓に幸せを運んでやってください!」この発表を待ち焦がれていた住民は、歓喜に包まれ、その日を境に肉のない日はなくなった。




「それにしても、この鉱石は何だろうな?」と桜花の部屋のテーブルに置いてある鉱石を見ながら、ジギルとローズに話しかける。

「そうですね。私にはさっぱり・・・。」

「私にもわからないわぁ。」


 夕日が落ちてきた。今日の終わりを告げる合図だ。

「主様!これ!」テーブルに置いた鉱石が光り出した。部屋の中が昼間のように明るい。

「そうか!照明だったんだな!今度はこれも大量に仕入れよう!今度は街全体を照らすんだ!」


「ご主人様~お食事の用意が出来ました~!」リリアが声を掛けてくる。俺達は部屋を移動し、居間に入る。

「ありがとう、リリア。今日の食事は何?」

「今日は、こちらです!」と料理が運ばれてきた。


 肉を何かの生地で巻いてある・・・パイ包み焼きだ!

「リリア、このメニューはオリジナルか?」

「はい、この領土は小麦が多いので、包んで焼いてみました!」


 感動の余りに身を振るわせていると

「ご主人様~気にいらなかったですか?」と心配そうに声を掛けてくる。

「違う!俺は感動してるんだ!リリア!この生地をもっともっと薄くして何重にも重ねたもので、作ってみろ。もっと美味しくなるぞ!そして、皆に教えてやれ!」

「本当に?ご主人様、喜んでくれた?」

「ああ、大満足だ!」

「だったら今夜、ご主人様のベッドに行ってもいい?」

「ああ!おいで!」


「今日のご主人様は、サービス満点ね。ね、ジギル!」

「純情な俺には堪えるんだ、話しかけないでくれ、ローズ・・・。」


 ジキルは真っ赤に染まった顔を背けていた。


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