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Venus And The SAKURA  作者: モカ☆まった~り
貴族領地編
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0091 共存共栄

「族長!それでは、全員を集めてくれ!」


 集まったのは、合計80名と子供が幾人か。草食系40、肉欲系40と綺麗に分かれた。

「ちなみに、皆さんは全員強いの?」

「いえ、戦闘に特化したのは、肉食系のみです。草食系は力はありますが、戦闘には向きません。」

 なるほど・・・この辺りは俺の住む世界と変わらないな。


「じゃあ、肉食系は傭兵を、草食系は村の手伝いだね。」


「名前をつけましょう。」

「しかし、我々は名前を付ける権利はございません。」

「大丈夫ですよ!私はサリーナから許しを得ていますから!」

「なんと!あの女神クリス・サリーナ様ですか!」

ここでも、人気があるんだな。あの小学生は・・・。


「それでは、族長から行きましょう!」

「族長はライオンだから「ヒャクジュウ」にしましょう!」と名前を付けて行く。

 戦ったトラとヒョウにも、俺が名前を付けた。トラは「タイガ」。ヒョウは「マダラ」。

 その他は、いつも通りに男性には族長が、女性には好きな男性から、子供には母親からと、滞りなく、名付けは済んだ。




 その日の昼。


 俺は、領地に住む全員を集め、演台に登る。

「え~、今日から皆さんと一緒に住むことになりました、スペリア・ビースト族の皆さんです!この方たちは、森に詳しく皆さんが森に入る時に守ってくれたり案内もしてくれます。また、村の手伝いもしてくれますので、仲良くしてくださいね。」


 街の人間たちはこの者達を受け入れることが出来るか・・・その心配を他所に、「可愛い~、モフモフ!」「撫でさせてくれ!」と人だかりが出来てしまい、タイガとマダラは撫でられるのが気持ちいいのか、腹を見せていた。


 俺は、族長にもこの領地の責任者の一人に任命をして村の為に役に立ってもらおうと考えた。


「え~っと、お楽しみの所悪いんだが、タイガ君とマダラ君?」二人は快楽の絶頂をもっと楽しみたいと、名残惜しそう・・・。

「そんなにしょんぼりすんなって!とりあえず、とっておきをしてあげるから!」

「とりあえず、膝をついて、頭をさげて。」


 二人は、「何ですか?」と不思議そうに言われたままの恰好をする。

 俺は二人の耳を「ハムっ!」甘噛みをしてやったら、気絶してしまった。後々、何かにつけて、やってほしそうにしてくるので、街の人達に教えてあげることにした。


「それでは、タイガとマダラには、通常以外にもう一つ任務を与えます。」

「傭兵団、全員集合!」と全員を集める。

「この傭兵団の訓練をしてやってくれ!特にジギルとローズには、遠慮はするなよ!」


 その声に、びっくりしたのが、ジギルとローズ。

「私たちが要らなくなったんですか~!」と泣きそうな顔をしてくるので、「これからも、傍にいて欲しいから、二人にはもっと強くなって欲しいんだ。」と言うと、負けてしまったのは事実なので、「はい、頑張ります・・・。」と答えてくれた。

・・・死ななきゃ、いいけど。


「それで、俺達の稽古は誰が付けてくれるんです?」

・・・そうか、この二人をほったらかしにすると、もっと強い奴が出てきたら大変だもんな。

「俺が付けてやるけど、条件がある。付いてこい!」



 ここは森の中の広場。


「あの岩を持てる?」と人の三倍ぐらいの大きさの岩を指さす。

「それぐらいは簡単です!」・・・が、二人とも渾身の力を入れても持ち上がらない。

「じゃ、俺が。」と簡単に持ち上げてみる。


「では、この岩を砕くことは出来る?」

「今度こそ、簡単です!」・・・渾身の力でも、小さなひびが入るぐらい。

「見ていてね。」えいっ、と拳を軽く当てる。岩が粉砕した。

「これぐらいが出来るようになったら、稽古を付けてあげるから、頑張ってね!」

 それからというもの、二人の自主練は毎日欠かさずに行われた。




 翌日、また住民全員を集め、俺は壇上から、

「この中に名無しの者はいますか?いたら手を上げてください。」

 すると、全員が手を上げた。分かってたけど。

「私は、女神サリーナの命を受け、ここにいる全員に名付けをします!」

・・・1000人。疲れた。


「それじゃ、全員の名前が付いたことに乾杯しよう!」

そう、今夜は「宴」だ!


 と言っても、材料なんて何もないから、食材はリョウタに頼んで二ホン国とスペリア・ビースト族が狩りをしてくれた物、料理は臨時にレストランミツヤのスタッフ総動員で行われた。


 いつも、会議とか開拓ばかりではつまらない。たまにはこんなことがなければいけないのだ。それが、民の為でもある。


 宴は朝まで続いた。



 翌日、本腰を入れて村の開拓作業に入る。一番急を要するのは「コレット村」だ。


「ようこそ、おいで下さいました。」と言ってくるのは「コレット」である。名前は単純にコレット村の村長だからという理由。この方が分かりやすい。決して手抜きではない。


 まずは、解体作業を傭兵団全員で行う。人間に比べ一人一人の力が強いから、簡単に済んだ。

「衛生面がどうしても・・・」とコレットが言うので、ラムを呼び、範囲限定で焼きつくしてもらった。これにはコレットも驚いたようで、膝ががくがくと震えている。


 さて、コレット村の引っ越し先は・・・少し川の方へ向かいこの近くで村を開拓することになった。

「それにしても、草、ボーボーだな!」と言ってると、

「それなら、俺の所の道具を貸してやる!」そう言って来たのは「ヤード村の村長、ヤード君」だ。その機械と言うのは、畑を耕す物で、地面に刺し引っ張ることで、根元から耕せる優れモノ。日本じゃ全てが機械だから、新鮮だな。


「引っ張るのなら、俺達に任せてくれ!」と言って来たのはウシ君二人。うんうん、適材適所、草食系を村の手伝いに回して良かったよ。


 地面を耕す前にやることがある。それは、「草の刈り取り」だ!

 しかし、肝心の「鎌」がない!俺はリョウタに連絡し、ありったけの鎌を送ってくれと言ったら、100本送って来た。


 俺は、玲子に王都にいるドワーフに鎌を100本打って、二ホン国に送ってくれと言ったのだが、サリーナの像で忙しいと言われた。また作ってるのか?


 耕し終わった地面を固め、おおざっぱに区画整理、こんな感じの小屋を作ると設計図を見せた。 木材はどうやって調達しようか・・・「俺達に任せて下さい!」またウシ君達である。

 ウシ君達は傭兵団を連れて、森の中へ入り1日、2本の木を持ち帰って来た。

その中に、ひときわ良い香の木があった・・・この香、「檜」だ!

「檜」だけは、別にしておいてくれと頼むと、この森では檜はそこら中に生えているらしい。ならば養鶏場は檜で作りたい。長持ちするしね。


 木を調達している間に用水路を2か所作ることにした。

 ひとつは生活用水、もう一つは下水の為。コレット村の衛生面が悪かったのは、この二つが同じ井戸で使われていたから。と言うのが最大の原因。そこで、大きな問題が起こる。

 人間の排泄物の処理だ。どうしようかと悩んでいたら、「俺達に任せてくれ!」とまたまたウシ君達。どうやら森は養分が乏しい地域もあり、わざわざそこに捨てに行っているのだとか・・・。


「しまった・・・。」肝心なことを俺は見落としていた。

「建築技術がない!」これは、致命傷である。考えてみれば、この世界の建物は全て石造り。木造建築物がないのだ!

「どうしよう・・・。」と悩んでいると、「私の里では建物は全て木造ですよ。」と言ってくる声の主はエルフのポトフ。


 設計図を見せて出来るかと聞くと、「私では分かりませんが、里の皆なら大丈夫だと思います。」俺は感激の余りに「ありがとう〜」と思いっきりポトフを抱きしめると、ポトフはうっとりとしていた。


 俺はすぐさま、エルフの里に転移!族長のジュウエモン、サブロウ、ジロウに挨拶をして

「実は、皆さんの力を貸してほしくって。」

「ほう、オウカ殿が助けを必要とされるとは珍しいですな。」

「実は、こういう建物を木で作りたいんです。」と養鶏場の設計図を見せる。


「あれ?これの事かい?」とサブロウが手招きをしてくれる。

・・・そこに「養鶏場」があった!

「これです!大きさはこれの10倍ぐらいでお願いしたいのですけど・・・。」

「それは、難しいな。横長に作るか、2つに分けるかするなら作れるが・・・。」

「2階建ては無理なんですか?」

「2階建てなんかしたら、1階の鳥がストレスを感じて、たまごを産まなくなるんだよ。」

「なるほど、初めて知りました。それでは、設計もお願いしてもいいですか?」

「わかったよ。大きさはどれぐらいだ?」

「口で言うより、見てもらった方が早いでしょ?」とサブロウさんを連れて転移!


 養鶏場建設予定地を見せて「これぐらいなんですが・・・。」

 余りにもの広大な敷地にサブロウさんは口を開きっぱなし。

「分かった!では、若いのを5人位すぐに連れてくるからマッテナ!」

「え?それじゃあ?」

「俺達も手伝うよ!」とサブロウさんが言ってくれた。


 サブロウさん率いるエルフ族の指示や技術は本物で、あれよあれよと木材が加工され、あっさりと木組み。こうして養鶏場は完成した。


「たまには、見に来るよ」と言い残して、サブロウさん達は里に帰って行った。


 これで、後は鶏を入れるだけ!

 そこでコレットさんが不安げに「鶏はどこから調達するのですか?」

「簡単ですよ。ほら!」魔法陣がひかり、中から親鳥200羽、ヒナ50羽が送られてきた。

「これだけじゃないですよ!」とまた魔法陣が光った。今度は親鳥のみ。


「この鶏と、先ほどの鶏と何が違うのですか?」

「この鶏の名前は「名古屋コーチン」。肉が美味いんですよ!この鳥は高級品なので、式典など特別な時のみに使いましょう。」


「それでは、餌はどうすれば良いのでしょうか?」

「それはですね、ヤードさん!」

「オウ!」とヤードが麻袋を持って現れる。その中身は麦だ。

「今回はヤードさんに直接、持ってきてもらいましたが、今後は商人ギルドに買い付けに行ってくださいね。」


「何もかも、ありがとうございます。」

「これからが、大変ですよ!常時200羽の世話をすることになるんですから!頑張ってくださいね!」


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