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Venus And The SAKURA  作者: モカ☆まった~り
貴族領地編
87/165

0085 王都復興

 協議会も無事に終わり、王都の復興の為に俺達の傭兵団が先頭に立っている。

 その間、毎日の進捗を確認する為に報告会を開くことにした。

 瓦礫の処分はどうするか?新しい家を作るとしてもお金はどうするか?などを話し合う。

 当然と言うか、どういう訳かバレット国王もこの会議に参加している。王都の事を知る為には一番民に近い場所にいて、最前線で働いている桜花と意見交換をするのが手っ取り早いと言う理由からだ。

 側近に、アムさんとゼノン司祭も同行している。


・・・が、更に何故か「サリー王女」の姿もある。


 王女の言う事は、民の為に私も働きたいと言うもっともらしい理由があるので、断れない。いくら子供とは云え、この世界では大人なのだから。


 王国の傭兵団、桜花の傭兵団と協力をして、出来る限り早く復興を進める事は決定していることなのだけれど・・・。


 一人の団員が言った。「この恰好では作業がやりにくいのです。」


 団員は、王国の鎧を身に纏っている為に、戦闘では役に立つものの、肉体労働を主とする今の作業には向かないという事であった。


「それなら、いい服があるぞ!」と俺はサリーナに連絡をして、向こうの俺に指示を出すようにお願いする。


 そして、届いたのは「陸上自衛隊・迷彩服1型」。アイツ、ここまでのクオリティは求めてなかったのに、「本物」を送って来やがった・・・。


 俺は、迷彩服を着て、「どうだ?」と聞くと、「カッコいい!」と、大絶賛!もちろん、団員に配れるように手配した。


 それに対して、アムさんが羨ましそう・・・。バレット国王を見つめている・・・。その見つめられているバレットも羨ましそうだ。

「オウカさん、あのですね、我が傭兵団も「メイサイフクイチガタ」と言う物を調達してもらいたいのだが・・・。」

「わかった、わかったよ!用意するから!でも、金は払えよ!意外と高いんだから!」


「私も欲しいです!」と言ってくるのはサリー王女。いらないでしょ?と言ったのだが、瓦礫に苦しんでいる民の前にドレス姿で出るのは忍びないとの、もっともらしい理由。


「それじゃあ、私達も!」と玲子率いる女性軍団が言って来た。いやいや、それこそいらないでしょ?と言ったら、「炊き出しとか結構、肉体労働が多いから、メイド服ではやりにくい!」これも、ごもっともの意見だった。



 で、現在の状況・・・。

 王都の傭兵、我々の傭兵、国王、王女、我々の住民全員が「戦闘服」。どこの駐屯地だよ!

 ついでに敬礼も教えておこうか・・・。王宮の膝をつくって挨拶も良いけど、硬いんだよね。


「陸上自衛隊の恰好」は皆に動きやすいと大評判!何といっても重い鎧を脱いでの作業だけに、より身軽に動けるのが良かったらしい。


「レストランミツヤ」は2号店はそのままに、1号店の面々で「出張炊き出し」をするようになった。これのおかげで、更に飢えに苦しんでいる人の数が減った。


 とは言え、やはり出てくるのは「闇市」と「身寄りのない子供達」と「犯罪」。


 俺達は、身寄りのない老人や子供を保護して行く。これに関しては、バレット国王が施設を作ると約束してくれた。

「闇市」に関しては、国王自らが出向き、悪徳でなければ「許可証」を発行するようになった。

「犯罪」に関しては、傭兵で何とかするしかないだろう・・・。


 その他に零れ落ちた人達がいる。それは「身寄りのない女性」。かつては、主人が稼いでいた生活費も手に職がない彼女たちには手に入れることも出来ず、当然、雇ってくれる所もない・・・。 このままにしておくと、行きつく先は「売春」になる。

 これは困ったと考えていると、玲子が良い手があるから任せてと言って来た。

 何をするのかと思っていたら、身寄りのないお年寄りや子供の世話役をして貰う事だった。手が空いた人達は、出張炊き出しの手伝いをしてもらっていた。


 バレット国王とサリー王女は、様々な場所に赴き、慰問をしている。この行動が民衆の心を打ち、今現在の王国は建物、経済的にはボロボロだけど、良い方向に向かってるのは確信できた。


「ベルサイユ宮殿で働きたい!」と言ってくる避難民の人達がいた。

 まあ、慈善事業ではないけど、意外と人手は足りてないもんね。女性は給仕に、男性は傭兵団見習いとしておこう・・・。


 ずっと、ここで働くの?と聞けば、落ち着いたら違う職につこうと思っているとの事だったので、名付けはしないでおこう・・・と思っていたら、サリーナから連絡があって、名付けをしろとの「神託」が来た。仕方ないので、男性にはゼノン司祭が、女性には玲子に付けて貰うようにした。これ以上は嫁を増やしたくない。


 ベルサイユ宮殿の庭を走り回っている子供達は35人ぐらいいて、全員が8〜10歳位。この子たちも身寄りがないようだ。幸い、宮殿の者達に懐いているので、施設送りにするのも心が痛む。うちで引き取ることにしたのだけど、さすがに俺が名付けをする訳にいかないので、セバスといろはにお願いした。今は、小っちゃな戦闘服を着ている。いるか?


 それにしても、皆、よく働いてくれる。


 日の出と共に出発し、日が落ちるまで作業をしている。返ってくるのはいつも夜になっている。キツくないか?と聞いたら、「普段の訓練の数倍楽です!」と言われてしまった。


 炊き出し部隊も同じように夜に帰って来てから、ベルサイユ宮殿にいる全員の食事を作っているので、宮殿専属の料理人を置くように言ったのだけど、何故か誰も首を縦に振らない。理由を聞くと、「今働いている充実感がある」という事だった。



 復興作業をしていて、面白い現象が起こった。


 それは、「獣人族差別の解消」と「王国傭兵団団員達との交流」で、一般王都民が積極的に手伝ってくれるようになり、俺達の傭兵団と王国傭兵団が協力をして、ひとつの作業をし、同じ釜の飯を食うと言った「奇跡」が起こったのだ。


 作業は順調に進み、1か月が経つ頃には大まかな所は復興完了と言う所まで持っていくことが出来た。


 今日も、朝日と共に復興作業が始まる・・・。毎日が「新しい王国」の歴史の一頁に刻まれた。




 さて、俺はいつまでも王都にいる訳には行かない。元・ベルハイツ侯爵領に行かないと・・・。領地の住民が苦しんでいるらしいので、急がなければ。


 俺は、同行者として、ジギル・ローズ・リリア・ラム・スピア・シールズ・ポトフ・茜と傭兵団30名程を連れて行くことを決めた。



 そして、出発の朝。


「オウカさん、頼みましたよ。」とバレット国王が声を掛けてくる。

「ああ、行ってくるさ。」俺達は握手をした。


「オウカ様、私も連れて行ってください。」と前に出てきたのはサリー王女。

「貴族領と言っても、王国の民であることには変わりませんわ。ですので、私もお手伝いをしたいのです。」と、ごもっともなご意見。


「オウカさん、妹のわがままを聞いてやって下さい。」

「まっ、仕方ないか!それじゃあバレット、お前も一緒に来てもらうからな!」

「何!私はまだ、王都復興の指示を出さないといけないんだ!あの土地までは、馬車で1か月はかかる。私にはそんな時間はない!」

「大丈夫!すぐに返すから!」

「すぐに帰っても2ヶ月はかかるだろ!私には無理だ!」

「1時間後には帰してやるから。ベルハイツ侯爵領を思い出して!」

「こ、こうか!」

「よし。じゃあ、行ってくる!」


 転移魔法で俺達は元・ベルハイツ侯爵領へと旅だった。


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