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Venus And The SAKURA  作者: モカ☆まった~り
貴族領地編
86/165

0084 レストランミツヤ会談

 王宮にての臨時協議会は3日間、続けられたのだが、決着はつかず・・・



 レストランミツヤにて。



「はぁ〜、」とテーブルに頭を突っ伏しているのは新国王・バレット・クロゲワギュウ・コローレである。


「どうしたのですか?新国王様?」と笑みを浮かべているのは玲子である。

「その呼び方はやめてよ、今まで通りバレットでいいよ〜それにしてもさぁ〜、オウカさん、どれだけ体力あるの?普通、3日間徹夜で協議会なんてしないよ?貴族連中は皆、寝不足のせいで魂が抜けかかってるよ・・・。なのにオウカさんだけ、ピンピンしてるんだよ。」

「向こうでは、3日間徹夜の会議なんてしょっちゅう、ありましたからね。」とミルクティーを出しながら玲子は答える。

「とりあえず、このまま続行すると本当に皆が死んでしまうかも知れないから、2日間の休憩をオウカさんにお願いして許してもらったけど・・・。」


「オウ、待たせたな!」と爽やかに桜花がやって来た。


 桜花はバレットの向かいに座り、「何、だれてるの?気合が足らないんじゃないの?」とバレットに言った。

「オウカさんが異常なんですよ!」とバレットが涙目になりながら桜花に噛みついていた。


「オウカさん~、一体何が不満なんですかぁ~王国の貴族なら、誰でも喉から手が出るほどの褒美なんですよ~。」

「何度も言ってるだろう?俺は王都を離れる訳には行かないって。」

「それでも、あの領地の危機を救ってくれるのはオウカさんだけなんですよ~。」

「その話は何度も聞いた。別に俺でなくても他の貴族で大丈夫だろう?」

「その貴族たちが信用出来ないから、オウカさんに頼んでいるんじゃないですか~。」

「私は、あの領地の村の人たちを救ってやりたいんですよ~。」

「そうは、言ってもなぁ~。」


・・・ここでも、話は平行線。これでは埒が開かないことを悟った玲子が


「だったら、こうしない?」

「何か、いい提案があるのか?」

「桜花さんはその領地が安定するまでって、どう?それで、後任の領主を決めるのも桜花さんという事で。これなら、桜花さんは何度も経験してるから、大丈夫なんじゃない?」


 バレットは、死にかけていた顔が一気に明るくなり。「うん、それでいいよ!それで行こう!」

「まぁ、それならいいか・・・。」


 桜花が納得したことからなのか、協議会がこれ以上長引く危険を回避出来たからなのか、バレットは大喜び!

「じゃあ、次の協議会はこの結果を発表して終わりだね!」


「いや、まて・・・まだあるぞ。」その一言にバレットが青ざめる。

「何のこと・・・?」

「お前の妹の事だよ!なんで、俺が嫁にしないといけないんだよ!」

「王族の姫を妻として迎えるのは名誉あることなんだぞ!これだけは引けん!」

「大体、お前の妹はいくつなんだよ?」

「今年で13になるな。」

「俺の国では、淫行って法律に引っかかるの!せめて16になってから言えよ!」

「私は、オウカさんとの家同士の繋がりを持ちたいのだ!そしたら、いつでもオウカさんに相談できるだろう?信頼できる人が欲しいんだよ。」

「その為だけに、可愛い妹を道具にするな!」

「じゃあ、せめて妹に会ってくれないか?」

「そうよ。会ってみるだけ会ってみたら?桜花さん。」

「れ、玲子・・・・。」

「わかったよ。会えばいいのだろ?で、いつ会えるんだ?」

「既に、呼んである。」

「何?」

「アムよ。妹を連れて来てはくれまいか?」


「お待たせいたしましたわ。お兄様!」


 扉から、入って来たのは「ドレスを着た少女」。だめだ、絶対に捕まる。リリアの時もそうだったが、俺の倫理観がそれを許さん。


「ご機嫌麗しゅう存じますわ。オウカ様!」と両手でスカートを持ち挨拶をしてくる。さすがは王女、マナーはしっかりと躾けられているようだ。


「こんにちは。あのね、お嬢ちゃん・・・」

「私は、子供ではありませんわ!もう、立派なレディーなのです!」とキツく言ってくる。

「は、はぁ・・しかし私のいる世界では、まだまだ子供の年齢ですよ。」

「私のどこが気に入りませんの!これでも、お稽古事も十分に習ってますわ!」

「あのですね、王女様。私共の国では家柄や親が決めた婚姻と言うのは昔の話で、好きな人と自由に恋愛をして結婚をするようになったのですよ。ですから、王女様もご自分の意思をもっと尊重してください。」

「私は、王国の為なら、この身を捧げても構いませんわ!」


「いい加減にしろ!」レストラン内に響くぐらいの大声をあげ

「何と言おうと、この話はなし!王女様は自分の好きな人と結婚しなさい!」つい、叱責してしまった。


 予想は出来てたけど、王女は大声で泣き叫び、バレットが慰めても泣き止まない。

 この事態をどうしてくれるの?玲子とバレット、レストランにいる視線が痛い。はたからみたら、完全に俺が悪者だもんなぁ〜。


「悪かった、悪かったから泣き止んで、な?」



ー***-



「美味しぃ〜、お兄様は、いつもこのようなお茶を飲んでらしたのね。一人だけズルいです。」

 サリー王女は上機嫌でミルクティーを飲んでいる。


「そう言う事で、この件は諦めてくれ。」

「オウカ様は、私の事をどう思っていますの?」とサリー王女が聞いてきた。

「どうとは?どういうことですか?」

「私の事が嫌いなんですか?」

「いえ、決してそんなことは・・・」


 そう言えば、妹もこんな時期があったよなぁ〜わがままだったけど、可愛かったなぁ。

「王女様は(妹のように)可愛いですよ。本当に。」

「そうですか・・・。」

「今日は、帰りますわ。オウカ様、お騒がせいたしました。」

「やれやれ、やっと帰ったか・・・。」

「私の可愛い妹を袖にするなんて・・・考えられぬ。」バレットも残念そうだ。


「じゃあ、まとめるぞ。」


・元ベルハイツ侯爵領は、経済・産業が安定するまで限定的に桜花が領主となる。

・その後の後継者は桜花が指名する。

・王都内に桜花の領地を儲けるが、特権として、非課税とするがレストランミツヤ、その他の事業に関してはこの限りではない。

・サリー王女の件は破棄とする。


「この結果を協議会で発表しよう!」


 このようにレストランミツヤ会談は終了したのである。



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