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Venus And The SAKURA  作者: モカ☆まった~り
王都動乱編
83/165

0081 戦いの終結

 中央広場に到着すると、そこは「戦場」だった。

 暴徒化した人間は、頭の中まで「狂って」いた。


 これで、殺すなは無茶な命令かも知れない。

 だが、王都民を守ると約束をした俺は、命令を覆す訳にもいかない。


 傭兵団員のレベルは一番低いので120。平均は200オーバー。

 だから、単純に考えれば勝てるはずなんだけど・・・。


 暴徒化した人間は、アドレナリンがドバドバ出ている状態なのだろう。足を折られたぐらいでは何ともないらしい。


「全団員、一度、後退!」

「突きの構え用意!」全員が剣道の態勢に入る。

「突け!」一斉に、暴徒の喉を目掛けて木刀が入る。

 これは、さすがに効いたらしくもだえ苦しんでいる。


「全員、後ろに回れ!」

「上段の構え、用意!」全員が上段の構えをする。

「面!」一斉に頭目掛けて、木刀がしなる。


 この戦い方一回で、暴徒の1/3が沈んだ。残りは200名位。

 こちらの戦力150。数で負けている。


 50名の団員が合流して来た。格闘系の団員達だ。

「お前ら、殺さなかったら何でもいい、叩きのめしてしまえ!」

 先ほどの戦闘がキッカケで、逃げる人間が出てきた。

「逃げる人間は、追うな!暴徒化している奴だけ狙え!」

 相手の態勢が崩れたのなら、勝負はあったも同然だ。


 後は、ほとんどがタイマンマッチ。レベルが全く違う俺達と戦うのは、100年早いですよ?


 ものの数分で暴徒化の鎮圧成功。

 団員たちは負傷したものはいるものの、全員無事。

 倒した相手の治療の為に、全員でベルサイユ宮殿に搬送する事を指示。

 順調に仕事が進んでいるなと思っていた時に声が掛かった。


「主様、ローズ、ラミア三姉妹が!」

 そこには倒れているローズ達の姿があった。

「ローズ!大丈夫か!」返事がない!

「おい、早く運んでやれ!」と指示を出す。

「ご・・・じん・・ま」かすかに声が聞こえた!

「ローズ!大丈夫だ!心配するな!」

「あ・・れ・・」と指を指すところに女の子がうずくまっていた。

「守ったんだな!よくやった!えらいぞ!ローズ!」

「あ・・う・・・ござ・・・。」ローズの手が落ちた。

「ローズ・・・。」

「死ぬな!ローズ!」こんな時に効くかどうか分からないけど、キスをする。ローズの口の中に俺の舌を入れ、動かないローズの舌に絡ませる・・・。

 どうか、効いてくれ!効いてくれ!と念じながら舌を絡ませていくのだが・・・


 ローズは動かなかった。


「おい!ローズも運んでやれ!」と俺は指示を出し、王宮へと向かう。

 目的は、この戦争の火種を作った王を殺すためだった。




 ベルサイユ宮殿では玲子が指示を出し、テキパキと治療と避難民の受け入れを行っている。

 余りにも酷い患者は私たちだけは魔力が持たないために「二ホン国」へ転移、向こうで治療を受けさせるようにした。

 途中、リョウタさんが「炊き出しは何にしている?」と聞かれたので、「おにぎりと味噌汁」と答えたら、500人前は作って置くから、どんどんと送ってきても構わないと聞かされた。本当にありがたい。


 ベルサイユ宮殿に、団員達が皆揃って人間を連れて来た。話を聞くと、元は暴徒化した人間たちだったらしい。

 確実に骨は折れてるからという事だったので、これも二ホン国に転移、治療を任せることにした。


 でも、その中に見慣れた「三姉妹」がいた。


 私たちは、三姉妹を奥に入れるように指示を出し、全力で回復魔法を掛ける。

 良かった、ロサとアルバの意識が回復したようだ。この二人も二ホン国に送る。


・・・ローズだけが動かなかった。




「全軍、構え!」

「行けー!」貴族軍が王宮の門錠を壊しに掛かる。それをさせまいと王国軍は上から、熱した油を落としてくる。

 大人数で丸太を括りつけた台車を突入させ、あっけなく門は開いた。

 中央広場に王国軍は集まっているので、王宮は近衛兵だけのようだ。

 後ろから来る敵に注意を指示し、王宮の中に入る。


 途中、ゼノン司祭とその使徒30名がいた。

 オウカに言われたまま、ベルサイユ宮殿に向かうように指示を出した。


 そして、もう少しで王宮の間と言う所で一人の近衛兵が立っていた。

 近衛団団長、アム・ロッシである。

 たった一人の剣士に何が出来るのか!と突進して行く貴族軍の兵たち!待つんだ!


 一瞬で、突進していった貴族軍の兵達はやられてしまった。


 王宮の間へと続く廊下は狭く、1対1でなければ戦えない。

 弓矢を射る兵がいたが、簡単に落とされてしまった。


 次々とやられる兵達、王宮の間に続く廊下は貴族軍の躯の山となっていた。


 このままでは、負ける。と思った時に後ろから絶叫に似た大声が近づいて来て、その声の持ち主に気づくまで、1秒と掛からなかった。


・・・オウカ!


 この時に近衛団団長、アム・ロッシは、驚きを隠せず震えながら剣を握る。

「オウカさん!」と私が声を掛けるよりも早く、オウカはバレットの横を通り過ぎて行った。




「オウカ様!」とアムさんが震えながら立っている。

「アムさん、抵抗するな。王は殺さない。」

「私は、王をお守りするのが役目なのです!お許しください!」と剣を振ってくる。

・・・コイツ、わざと負けようとしてるな?

「ご苦労様、休んでていいよ。」とアムさんの鳩尾に一撃食らわし、気絶してもらった。




 王宮の間。明かりがついてなく、暗い。

 しかし、一番奥に王が鎮座しているのが解る。


「父上、覚悟!」剣を振りかざした。

「父上!」・・・王は自決していた。



「総大将、シエロ・ガバル・ムール・コローレの首を、このバレットが打ち取ったり!勝鬨を上げよ!王国軍、無駄な抵抗はするな!」


 こうして、首都コローレでの内戦は貴族軍の勝利、貴族軍・王国軍共に死者・負傷者は少なく終わったのだが、一般都民の被害が多数出た戦いとなった。


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