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Venus And The SAKURA  作者: モカ☆まった~り
王都動乱編
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0079 くすぶる噂

「確かに5年前に王が名前を変えてから、増税の一方だ!」とどこかの議員が言う。

 それに合わせて、「実は、私の領土も増税でいっぱいいっぱいなんだ!」

「王は税金をどのように使われておるのか!」

「説明をもとむ!」「減税だ!」と次々と声が上がった。


 王国では、王が絶対的な権力を誇っているのだが、王が決定事項を告げる前に、協議会が催される。本来ならば、増税もそのようなプロセスを踏まなくてはいけないのだが、何故か増税は王が勝手に決めてしまったという事である。


「うるさい!黙れ!」王の声が響く。

「今回の協議会は閉廷する!」


 そして、本来は3日間の協議会も1日で終わった・・・。


「はぁ~。」レストランミツヤの一角でため息が聞こえる。

 ため息の主はバレット王子。一緒にゼノン司祭も来ている。


「どうしたのですか?協議会が上手く行かなかったのですか?」と桜花。

「いえ、ベルハイツ侯爵は有罪で貴族の称号をはく奪されましたよ。じきに次の領主が決まると思います。」

「それは良かったじゃないですか?なのに、どうして、ため息なんか?」玲子が不思議そうに聞いてくる。

 バレット王子は顔をテーブルから話そうともせずに「ベルハイツ侯爵が王の独断の増税について言い残して行ったんですよ・・それが原因で元老院が騒ぎ始めまして・・・。」

「増税の件で話し合ったのですか?いいことじゃないですか?」桜花が聞く。

「それがいいことじゃないんですよ。」とゼノン司祭が話し出す。





「なるほど、王が無理やり閉廷したって事ですね。」

「ここからが大変なんですよね〜」とバレットがため息交じりに話し出す。

「これを口実に貴族たちが声を上げるのは必至です。実際に噂を流し始めている貴族もいます。」

「そうなると、内紛が起こる可能性があるのですよ〜。こうやって、次期王がここにいる訳ですし・・・。」

「貴族たちの考えは手に取るように分かるんです。成人の儀を行ったとは言え、私はまだ15才です。周りの人たちからすれば子供と一緒です。」


・・・お?意外と自己分析が出来るんだな王子は。


「私に取りつき甘い汁を吸おうとやってきます。あわよくば、僕を利用して権力を握ろうと考えている貴族もいるかも知れません。」

「更に最悪を考えるならば、内紛に乗じ戦争を仕掛けられることにあります。」ゼノンは淡々という。

「マイカ帝国ですか?」

「そうです。内紛が起こったとしても、マイカ帝国に知られるわけには行きません。もし内紛が起こってしまった場合は、速やかに収束をしなければなりません。」

「はぁ〜、無血開城かぁ〜。それはミラクルですね。」

「オウカ殿、ムケツカイジョウとは一体?」

「そこは気にしなくてもいいですよ。奇跡に近いことですから。」

「内紛が起これば、貴族たちは王子を祭り上げて内戦へと進んでいくでしょう。それは確実です。」

「ですので、オウカ殿、その時が来たら我々に加勢してもらえないですか?」


「断る!」


 バレット王子とゼノン司祭は「何故?ここは加勢するって空気じゃん?」と言いたげな顔をしている。

「あっ、勘違いしないでね!王の方にも着く気はないから!」

「どうされるおつもりですか?」改めてゼノンが聞く。

「俺は、この王都と王都民を守るよ。」

「それはどういうことだ?」バレット王子が聞き返す。

「内紛・内戦って結局はさ、一番被害を受けるのは民衆だよ?俺は、民衆とこの国を守る。」

「そして、マイカ帝国が攻めてきたら、俺達が食い止める!」

「王都民が全滅したらいくら貴族だ、王様だと言っても意味ないからね!でしょ?」

 バレット王子は顔がパァっと明るくなり、「そうだな!その通りだ!民を救えずに何が王族だ!貴族だ!内戦の暁には、必ずや民を幸せにすると誓って戦おうぞ!」と拳を突き上げた。


「それでは、そうなった時の事を話し合おう・・・・。」






ー***-






 バレット王子の心配が当たり、貴族たちが「王はさらに増税をして、我々を地獄に落とし、自らは私腹を肥やすと言った。」との噂を流しだし、王都は悪い空気を漂わせるようになって来た。


 レストランミツヤにて。

「今日をもちまして、しばらく休業にします!」と玲子の声。

「やはり、今の噂話のせいですか?」と従業員の一人が言う。

「そうよ。だから皆、重要書類、必要な器具、まだ使えそうな食材があれば、それを持ってベルサイユ宮殿に戻りなさい!」


 ベル商会にて。

「こんにちは、ベルさんいます?」と桜花の声に

「これはオウカ様!」とベルさんが急いで駆けつけてきた!

「実はですね・・・」

「分かっております!」と金貨の入った袋を渡してくれた。

 どうやら、内紛が起こってしまうと、金を持っているベル商会は真っ先に狙われるのだとか。なので、ベル商会も身を隠す事にしたらしい。


 冒険者ギルドにも顔を出す。誰もいなかった。


 俺はベルサイユ宮殿に戻り、現在の兵力を確認する。

・現在の傭兵団350名

・内、真剣を持つもの30名、全員が王都外の警備に当たる。

・内、格闘技特化を得意としているもの170名は王都外、100名は王都内の警備に当たる。

・残り150名の団員は木刀を持ち避難誘導を担当する。

・魔法部隊は王都内、王都外、ベルサイユ宮殿の三か所に分かれ、支援と治療に当たる。

・避難民が多すぎる場合、転移魔法で「二ホン国」に送る。リョウタには確認済。

・ローズ、ラミア三姉妹は王都内の指揮をとる。

・ジギル・スピア・シールズは王都外で指揮をとる。

・ダダンとラムは上空から、マイカ帝国を監視する。

・全員、スマホ所持の確認。

・俺は、全体の指揮をとりつつ臨機応変に動く。

・玲子はベルサイユ宮殿にて救護班・避難民受け入れ態勢の指示をとる。

以上。


 本当は、戦争なんて起こらない方がいいんだけどね。


 電話を掛ける。相手はもちろん、サリーナだ。

「おう、サリーナ、元気か・・・。」

「・・・。」

「どうした!大丈夫か!」

「大丈夫な訳ないだろう!この馬鹿!」

「いきなり、馬鹿はないだろう。」

「わらわは、人が死んでいくのを見るのが辛いんだよ。」

「分かるのか⁉」

「ああ、分かるよ。」

「内戦は始まるのか!」

「ああ、始まる。」

「マイカ帝国は攻めて来るのか⁉」

「それは、解らん。」

「何故、分からないんだ?」

「マイカ帝国と、もう一か所の国は、霧がかかったようにやっとしか見えないんだよ。スマンな。」

「分かった。例えマイカ帝国が攻めてきても、食い止めてやるぜ!」

「・・・うん。頼んだぞ桜花。」



 ウッシャァー!どっからでも掛かって来いやー!


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