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Venus And The SAKURA  作者: モカ☆まった~り
王都動乱編
72/165

0071 名前の意味

 俺はスマホをスピーカーに切り替えた。

「我が愛しき信者、ゼノン・カレラよ!我が名はクリス・サリーナです。」


 スピーカーから美しい声が聞こえる。・・・アイツ、また余所行きの声を出しおって。その声にゼノンは驚き、俺を見てくる。


「その声は、まぎれもなくサリーナの声ですよ!今、連絡をとったのです。」

「ゼノンよ、オウカより聞きましたが、我が声が聞こえぬようになって来たと言うのは本当ですか?」

「はい、その通りでございます!」

「そなたは、祈りを捧げるときにどの様にされているのですか?」

「これを両手に握りしめて祈りを捧げております。」と十字架に似たアイテムを出してきた。


「それをオウカに・・・。」ゼノンは桜花にアイテムを渡す。

「ふむ、ゼノンよ。このアイテムの力が切れかかっています。」

「何ですと!」

「そなたが、私と通じ、私の言葉を聞くことが出来たのは、そのアイテムの力であって、そなたの力ではありません。」


「そ、そんなことは・・ございません!私は毎日、朝夕と祈りを欠かしてはおりません!」

「では聞くが、そなたは何歳ですか?人間なのです、80年も生きれないでしょ?」

「私は齢、45歳で、ございます。」

「そなたの名前は、誰が付けたのですか?」

「前代のゼノン・カレラから名前を引き継ぎました。」

「それは、何故ですか?」

「代々、伝わる司祭の名前ですので・・・。」

「ゼノンよ・・・今のそなたの名前はお飾りと同じです。名前の効果は300年前に効力を失っています。名無しと同じなんですよ。」


 ゼノンの顔がひきつる・・・。


「そこで、どうでしょう?私の眷属のオウカに新たにゼノン・カレラの名を受けるのは?この者に名を受けると、そなたの神力・アイテムの神力も復活します。そして、その名を次の司祭に継承すればよいですよ。」

「女神様のおっしゃる事でしたら、このゼノン、名を承ります。」

「とは、言っても桜花に直接、名づけをして貰うのも釈然としないでしょうから、オウカは儀式を担当してもらうだけにしましょう。」

「オウカよ、ゼノンの頭に右手を、左手にはアイテムを持つのです。」


 俺は、サリーナに言われるまま、ゼノンに手を乗せた。


「汝、我が子よ。女神クリス・サリーナの名の下に、司祭の権限と名前を授けます。今日から汝は、ゼノン・カレラと名乗りなさい。・・・。」


「これで、大丈夫ですよ。ゼノンよ。」

「ありがとう、ございます。このゼノン、生涯を掛けてサリーナ様にお仕え致します!」

「それとゼノンよ。この先、なにがあっても、オウカを信じる事を命令します。良いですね?」




 幸福に満ちたゼノン司祭を見送った後に、改めてサリーナに連絡をとる。

「もしもし、何度もスマンな。」

「どうした?」

「さっき、今持っている名前は意味がないって言ってたよな?」

「ああ、言った。」

「名無しと同じって言ったよな?」

「ああ、言った。」

「と、いう事はこの世界の者たちは、全員お前の加護を受けていないって事か?」

「そうなるな。」

「どういう事だ?」

「エルフ族の長老に聞いていたのではないか?」


・・・300年前に神殿が消えてしまった為に神殿に行けなくなった。神殿に行かないと加護が受けられなくなる。加護は名前に宿るので、神殿に行けない現状だと、名持の人でも名無しと同じという事か。


「何をしないといけないのかが、解ってきた気がするぜ!」

「さすがは桜花!期待してるぞ!」

「それよりも、お前の余所行きの声!ププッ!笑いをこらえるのに一苦労だったぜ!」

「何をー!神事は素のままでは出来んだろうが!イメージも大切なんだ!」

「悪い、悪い、あまりにも面白かったもんで、つい。」

「素のわらわを見せておるのは、桜花だけなのに・・・。」

「何か言ったか?」

「何でもない!切るぞ!」


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