0057 魔王と女神
俺は圧倒され、言葉を失い立ってるだけとなっていた。その感情を察したのか魔王が「よくぞ来られた!ささ、こちらにどうぞ!」とソファーに案内をしてくれた。
「今、お茶を淹れさせますので、少し待って頂けますか?その間に羊羹でも?口に合わないのかな?ではこちらの桜餅でも、お〜い、お茶はまだかぁ〜、お客さんを待たせては失礼じゃないか。ほらほら、立っている皆さんもどうぞどうぞ、気軽に座ってくださいな。それにしても、今日はいい天気ですな〜お客さんがツイていますぞ!今日窓を拭き掃除させましたからな、視界もバッチリ!絶景かな絶景かな~!」
・・・よ、よくしゃべるな、この魔王。いや、これで俺を油断させる演技かも知れん、緊張感を持って対応しよう。
・・・しかし、気になっていることがある。魔王の着てる服装「浴衣」だよな・・・。
お茶が運ばれ、一息。ん?このお茶・・・。
「もしかして、このお茶、玉露ではないですか?」
「よくわかりましたなぁ~、お客人は通だと見受けられる!」魔王は嬉しそうだ。
「俺は、この緑茶が好きなんですよ!緑茶があるという事は、紅茶もあるのですか?」
「もちろんありますぞ〜、同じ茶葉からとれますからな!」
「抹茶はあるんですか?俺、抹茶アイスが大好きなんです!」
「そうなんですか!我々の研究の成果の一品です!それじゃあ、持って来させましょう!」
抹茶アイスが出てきた。「ん~、美味い!」
「さあさあ、皆さんも冷たいウチにどうぞ召し上がってくださいな。」魔王が促す。
と言っても「緑色の冷たい食べ物」なぞ、食べた事があるのは、俺を覗けば玲子ぐらいしかいない。もちろん、玲子は久々のアイスに感動していたが、他の者は・・・俺や玲子が美味そうに食べているのを見て、恐る恐る口に運ぶ。
「美味い!」一同が声を荒げた!
「そうでしょう、そうでしょう、このアイスは今日のとれたてミルクを使ってますからな。」
一通り話し込んだ後、「それで、お客人はどちらさんかな?見たところ人間と見受けられるが・・・。」
「ええ、俺たちはヤヌス王国より参りましたオウカと言います。と言っても決して使者ではありませんし、この国に争いを持ち込もうとしている訳でもありません。」
「それに俺は日本人です。」
「日本人だと!誠ですか!?」魔王は目を見開く。
「ええ、日本は東京と言う所から来ました。魔王様は日本語で話は出来ますか?」
「もちろんじゃ、今から日本語で話そう!久しぶりじゃ!」
ーーーここからは日本語で話してますーーー
「実は俺、サリーナという女神に召喚されてこの世界に勇者としてやって来たんです。」
「いずれ、魔王軍が攻めてくると言ってじゃろ?」魔王は笑う。
「知っているのですか?」
「ああ、あの女神は儂とも交流があるからな~、久しぶりに会いたいもんだ。」
「それじゃあ」スマホを取り出し、サリーナに連絡をとる。
「ああ、俺、今からお前と話したい人と代わるわ?」魔王にスマホを渡す。
「お〜、サリーナか?儂じゃ、魔王じゃよ!久しぶりじゃの〜何百年ぶりじゃ?おお、そうか、オウカさんはお前が召喚した。という事は、ついに始まるんじゃな?分かった。その時は儂も協力しよう。」魔王はスマホを返してきた。
「どうでしたか?久々のサリーナは?」
「アイツは全く変わってなかったわ!」大声でわらう魔王。
「それでじゃ、オウカさん。」魔王が真剣な顔つきになった。
「儂に名前をつけてくれないか。」




