0049 最高の一品
「ところでよぉ、兄ちゃん。」国王元い棟梁が俺の刀をまじまじと見ながら
「その腰の物、見せてくれねぇか?それはこの世界にはない物だ。」
俺は親父が打ってくれた刀を手渡すと、鞘から抜きまじまじと見ている。
「これほどの物を打てるとは・・・。これは、どこぞの一品だろう?」
「これは、俺の国に伝わるカタナと言う物で、俺の親父が打ちました。」
棟梁は俺に刀を返し、「おい!防具を持ってこい!」と部下に命令する。
木の防具立て?に防具を設置。「そのカタナと言う物がどれ位の切れ味か見てぇ、ひとつ、切ってもらえねぇか?」
「で、では参ります。」俺は息を整え集中して、「袈裟切り」をしたら、防具が真っ二つに切れてしまった・・・。
「おい!もっと硬い防具を持ってこい!最高の奴だ!いいな!」とまた防具を設置する。
今度は横一文字で切ってみた・・・。スパッと切れてしまった。
「お、俺たちの最高の防具がこんなにあっさりと切れるだと・・・・。」
「おい、兄ちゃん!」
「は、はい!」迫力に押された俺は思わず起立をしてしまい
「この一品はどこで手に入れた!これは世界最高の一品だぜ!」
「で、ですので俺の国でして・・・日本という国です。」
「二ホン?聞いたことのねぇ名前だな?」
「棟梁どの。」ダダンが口を挟む。
「このオウカ殿は、女神クリス・サリーナ様の使者なんですよ。」
「女神の使者?って言うと、兄ちゃんは異世界人か?」
「そうなります。」
棟梁は「それじゃぁ、しかたねぇか。」と納得してしまった。
「このドワーフの国はよぉ、元々は異世界から来た人間が俺達に鍛冶仕事を教えてくれた所から始まったんだ。」と棟梁が話し出す。
・・・また異世界人か。異世界人がこの世界の文明を作ったのは案外、嘘じゃないようだな。
「見た所、この世界の武器は剣も防具もヨーロッパ風に見えるのですが、その異世界人の名前とか解りますか?」
「名前?ムッタ・ゴランだ。」
「ムッタ・ゴラン?それ棟梁の名前では?」
「俺たちは仕事を与えてくれた恩義を忘れないように、名前を継承しているんだ。」
なるほど。やはり外国人か・・・。外国の剣は切るというより殴るのが目的で作られている物だもんなぁ~
「よければ、ここで作っている剣を見せてほしいのですが・・・。」
「ああ、構わないぜ。」と一般の剣を取り出す。・・・やっぱりだ、「刃」がないのだ。
「あの、この件は研いだりします?」
「研ぐ?なんだそりゃ?」棟梁は不思議そうに考え込んでいる。
「剣は刃を付けないと切れないんですよ。それに剣の構造も、一種類の鉄、もしくは鉱石で打っているのではないですか?」
「確かに、俺達が作る剣は一種類の鉄を打っているな。」
「お〜い、ジギル!防具を貸してくれ!」
今度はジギルの防具、いわゆる王国一の防具でドワーフ製の剣を試してみる。
「えい!」と剣で切ってみる。防具は見事に切れ・・・割れていた。
次はドワーフの防具を王国の剣で切ってみる・・・。かすり傷が付いた位だ。
「両方とも、王国の物より優れていますね。」
「ああ、それだけは自身がある。」
「それじゃぁ、剣と防具を100人分作って貰えますか?」
「断る!」




