ドラゴン族
「私の早とちりで、あなた達を焼きつくそうとして、ごめんなさい!」
黒いドレスを着た女性は平謝り。
と言うのも、俺達が通る事はラミア族の族長より父親に話が通っていたらしいのだが、たまたま外に出ていた為に、その事は知らず、そしてたまたま人間を見つけてしまったので排除しようとしたらしい。
「でも、俺は丸焼きにしたよね?」
「私はあの程度でしたら、何てことありませんわ!」何故か自慢げだ。
「でも、落ちたよね?」
「ウッ・・・。」
「実はあの後に別のドラゴンがやってきて、こちらのお嬢さんに回復魔法を施したのですよ。そして、私たちをここまで運んで下さいました。」
「と、いう事はここはドラゴン族の城って訳?」
「その通りでございます。」
コンコン、またドアをノックする音が鳴る。
今度は白いドレスを着た女性が入ってきた。
「この度は、早とちりとは言え、娘が大変ご迷惑を掛けた事をお詫び申し上げます。」と丁寧に頭を下げてくる・・・. ん ・娘?
「もしかして、お母さんですか?」
「はい。何といってお詫びをすれば・・・。」
「いえいえ、僕の家族が全員無事ならそれで良いのですよ。こちらこそすみません、娘さんを丸焼きにしてしまって・・・。」
「あら、いいのですよ。このおてんば娘にはいつかキツイお灸を据えてやろうと思っていましたので、今回で少しはおとなしくなると思います。」
「もし、動けそうでしたらお詫びも兼ねて宴の準備をしますが。」
「すみません、皆も疲れていると思いますので、また明日という事で。」
「さようですか。それではお腹も空いているでしょうから、食事を持って来させます。」
そう言い残し、ドラゴン母娘は出て行った。
「オウカ様、後の事は私にお任せして休んでください。」
「いや、その前に皆の顔を見てからにするよ。」
俺はジギルを連れて、皆の見舞いをすることにした。
まずは玲子。
随分とMP消費していたから、大丈夫だろうか?と思い部屋を覗くとベッドに横たわっていたが、会話は出来るようだ。これなら問題はない。
だが、俺には玲子たちをすぐに元気にしてやれる必殺技がある!
俺は玲子に濃厚なキスをした。
慌てて、顔をそむけるジギル。
俺が唇を離した瞬間に「あれ?動ける。なんで?」と玲子は不思議そうにしている。
俺とキスをすることによって、玲子のステータスがアップするから、少しだけどHP・MPも回復するのだ。
他の戦闘に参加した女性傭兵団、ひとりひとりに同じようにキスをする。急に体が動くようになったので皆、不思議そうな顔をしている。
「ねぇ~私は?」リリアである。この子は戦闘に参加していないので、ほっぺにキスした。
男性陣は各自グラスを持って俺の部屋に集まってもらい、俺の血を分けた。
もれなく回復をしていた。
・・・のは、いいのだが。
「俺だけ、回復手段がないんだよなぁ~。」
・・・そんなことはないぞ




