黒いドラゴン
ラミア族の本拠地を出てドワーフ王国に向かう。
「それにしても、スピアとシールズのお陰で、迷わず森を抜けれそうだよ!」
「お褒めの言葉、ありがとうございます。」
「私だって、いるのにぃ。」ローズが頬を膨らます。
「そんなにむくれるなよ。ローズにはいつも頼りにしてるよ。」
「それにしても、いい防具を付けていますね。ラミア族って鍛冶仕事も出来るんですか?」
「ラミア族が住んでいる洞窟は貴重な鉱石が採れるんです。それを加工してもらってます。」
「加工してもらうって、誰に?」
「もちろん、ドワーフ王国ですよ。」
「え?でも、ドラゴンが出るんじゃ?」
「ドラゴンが追い払うのは人間だけです。我々のような魔物には手を出しません。」
「俺も、玲子も人間だけど・・・。」
「その為の我々です。ドラゴン族が出た場合は話をつけます。」
「そうか~ありがとう。無駄な戦いをせずに済むよ。」
更に森を北上。もうすぐ森を抜けると言う所で声が聞こえた。
「どこへ行く、小さき者よ。ここは魔王国が支配の森と知っての事か。」
声が聞こえる方、頭上に黒い姿のドラゴンがホバリングしている。
「お待ちください!私共はラミア族の者でございます!この方たちをドワーフ王国へお連れしている道中でございます!」とスピアが言った。
「ラミア族?お前、人間の姿・形をしているではないか!」
「この姿は、この方達と合わせているだけです!」
「人間に汲みしているのと同じだ!裏切者め!」
「あの、よろしいでしょうかね。」
「俺は、ヤヌス王国から来ましたオウカと言います。今日、こちらに来たのは獣人族の皆に武器と防具の制作依頼をしに来ただけで、決して争いを持ち込む為ではありません。そして、迷いの森と言われるサイゲの森をラミア族の皆さんに道案内をして貰ってるだけなんです。」
「ほう、獣人族に武器と防具とな。その獣人族を使って魔王国に攻め込もうと企んでいるのではないな。」
「そのような事は決してありません。」
「そうか・・・。」
「解って頂けましたか?」
「フッファファファッファ!他の者は騙せても、この私は騙されんぞ!そして騙された者も同罪だ!焼き殺してくれる!」
ダメだぁーこのドラゴン、人の話を聞かないタイプだった!
突然、炎のブレスを吐き出した!
「マジック・シールド!」ポトフとアランが魔法障壁を張ってくれる。
「全員、戦闘準備!非戦闘員はロサとアルバに付いて森に逃げろ!」
こうして、ドラゴンとの戦いが始まってしまったのである。




