ラミア族
その声は低く、威嚇をせずとも恐怖を覚えさせる威厳を感じる。
十体ほど現れた者達は上半身は人族、下半身は蛇の姿。
その後ろから、声の主が現れた。他の者達より一回り大きい。
「姫様!姫様ではありませんか!」と声の主は驚きの声をあげる。
「あなた、誰?」
「お忘れですか?姫様が幼少の頃に武術を教えた者であります!」
「ああ〜、あなたね!久しぶりね!」
「姫様がいなくなってから、随分と探したんですよ!王も諦めていたぐらいです!」
「そうねぇ~50年は経っているものね。」
「王の元に案内を致します!ささ、こちらへ!従者の者も付いてこい!」
・・・俺達、いつの間にローズの従者になったんだ?今は黙っておこう。
ー※ー※ー※ー
王が居る場所は洞窟の最奥部にあった。明かりは松明だけなので、炎の揺らめきに合わせて洞窟内も顔を変える。
王は、背の高い椅子に腰かけていた。周りには近衛兵であろうか、王を挟むように二人立っている。
「本当にわが娘なのか?」王様は驚きと嬉しさで戸惑いの表情になっている。
「本当よ、お父様。」
「何故、人族の恰好をしているのか。我が娘ならば、本当の姿を見せよ!」
ローズは下半身が蛇の姿になり「これで、信じてくれた?」
「おお、我が娘よ!必ず帰って来ると信じていたぞ!」
王は俺達の方に視線を向け「して、この者達は何じゃ?お前の従者か?」
「いいえ。」ローズは俺に腕をからませ「この方は、私の旦那様です。お父様!」
「なんと!お前が、あの自分より強い者でないと婚姻はせぬと言ってたお前が旦那を持つとは!その人間はお前よりも強いという事なのか!?」
「ええ!この方は異世界から来た勇者様です!お父様!」
場内がどよめいた・・・。
「勇者、勇者様だと!という事は、いよいよ近いんじゃな・・・。」
「どういうことですか?」俺は、あちこちで聞く近い時期の事を聞いた。
「まぁ、何はともあれ、可愛い娘が帰って来たのだ!今宵は宴をしようぞ!」
また、話をはぐらかされたような気がする。
俺達を歓迎してくれたラミア族達は、酒を酌み、豪華な食事を用意してもてなしてくれる。
「ローズ、お前は家を飛び出したのか?」
「ええ。結婚をしろってお父様が言う物だから、私よりも強い人じゃないと嫌だって言ったら、男どもが勝負しにきたのだけど、誰も私に勝てなかったのよぉ」
「で、何で闘技場にいたんだ?」
「それは王都に来た頃にはお金がなくってぇ~人間から金を奪って生活をしていたら、いい仕事があるよって言われてぇ、付いて行ったら闘技場だった訳ぇ。」
「でも、お前はジギルに負けたんだよな?」
ローズはジギルをじっと見て
「だってぇ~ジギルはタイプじゃなかったのよねぇ~。」
「で、何で俺なんだ?ジギルの方がよっぽど強かったろ?」
「だってぇ~あの時の平手打ちが、私の体に雷が落ちたようにビリビリと感じちゃったのぉ。だから、あなたに決めたのよぉ。」
・・・そういうことだったのか。やはり真の変態だった訳か・・・。




