ポトフとアラン
今日はエルフの里を出発し、ドワーフ王国に向かう日である。
支度をしていると、ジュウエモンが若い男女を連れてきた。
「オウカ様、どうかこの2人を連れてやってもらえないですか?」
「いいけど、どうしたの?」
「どうも、この2人は外の世界を見たいと聞かないものでして。」
「そうなんだ、それもいいね。で、君たち名前は?」
「「・・・・・」」
「ないの?」
コクリ、コクリ。
「ジュウエモン、どういう事?名前、つけてないの?」
「名前はオウカ様に付けて貰いたいと聞かないのです。」
「男はいいとしてもさ…」
「君、本当にいいの?僕の奥さんになっちゃうんだよ?」
女のエルフは、コクリと頷く。
「後で、失敗したー!って言っても戻せないんだよ。もう一度、考えた方がいいと思うよ?」
俺を見ている目に、ジワ〜と涙を浮かべている!
「分かった分かった!名前を付けよう!」
男エルフはアラン
女エルフはポトフ
「あら、美味しそうな名前」玲子が笑ってる。
「あら〜ん、この2人ぃ〜。」
「どうした、ローズ?」
「この2人は〜魔法能力が高いわ〜ん、さすがはエルフぅ〜ん。」
「その上ねぇ〜ん、頭もスッゴクいいわぁ〜。玲子様に付けるのはどう〜?御主人様ぁ〜ん。」
成る程、成る程、読み書き計算が出来るようになれば、玲子の右腕になるわけか。
「お〜い、玲子!この2人は頭が凄い良いらしいから、教育して財務とか経理とか秘書とかに鍛え上げたらどうだ?」
「え?いいの?だったら私が預かるわ!」
俺はエルフ2人に「よかったな、アイツに付いていたら、色々な事や経験が出来るぞ。」
その言葉に2人は、大喜びをしている。
「あっ、でもな。」
「時間がある時は、俺達全員に魔法を教えてくれ。頼むな。」
「それとです。オウカ様。」サブロウが心配そうに言ってきた。
「この先は、とても危険な地域になります。くれぐれもご注意を進言します。」
「それって、どういう事?」
「魔王国には門番がいまして。先ほど言いましたドラゴン族なのです。」
え?ドラゴンが門番?
「このサイゲの森は魔王領ですし、ドラゴン族は人族の排除が仕事です。」
「ドラゴンは火も吹きますし、魔法も使います。どうか、この二人を役立ててください。」
「ああ、わかったよ。ありがとう。」
俺たちはエルフの里を後にした。




