エルフの里
数分後…
エルフ3人は、一人の老人を連れてやってきた。
「このお方は?」
「はい、我が部族の長老でございます。」
「異世界の人よ、先程は失礼を致しました。よろしければ、我が里に案内いたします。」
「そうですか、それでは遠慮なく。あっ、ちょっと待ってくださいね。」
俺は腕から出したやり場のない炎を元はゴーレムだった岩に、吐き出した…ボウッ!その音と共に岩は灰になってしまった。
「私の魔法、いらなかったんじゃない?」と玲子は笑う。エルフ達は、業火に焼かれた岩の成れの果てに恐れをなしていた。
エルフの里への道中…
「長老、聞きたい事があるのですが。」
「何でしょうか?異世界の人よ。」
「俺達が異世界の人間って、随分とあっさり認めるのですね。」
「実はこの世界には異世界からやってくる人が、沢山知られております。」
「沢山?」
「ええ、私は現在2000年程生きておりますが、私の知る所でも50人はいるかと思われます。」
「何故、そんなに異世界人が来るのですか?」
「それは後ほどお話します。」
「着きましたぞ、異世界の人よ。これが我がエルフの里です。」
予想では、森の中にひっそりと…と思っていたのだが意外に開けていて、建物はログハウス、ちゃんと商店もある。
「商店があるって事は、商売しているのですか?」
「いえいえ、里の全員で役割分担をしているだけです。例えば、あそこでは部族全員の今夜の料理を作ってます。そうすることで、不公平がなくなりますから。」
「なるほど、部族全部が一つの家族という事ですね。」
「衣服を作る専門の者、猟をする者という感じで、それぞれに仕事をしてもらってます。」
「それでは、先程の弓矢の雨は傭兵部隊という事ですか?」
「我が部族には傭兵はおりません。外敵がいつもいつも現れる訳ではないですから、先程の弓矢は、この部族の男共全員です。」
今夜は、久しぶりの客ということで、宴を開いてくれるそうだ。
宴が始まり、ビックリすることがあった。
広場の中央に、大きな火櫓がある。
「エルフって、火を使うんですか!?」
「何をおっしゃるのですか?火を使わないと、料理も出来ないし、夜も暗いではないですか。」
「そうですか…。」
料理が運ばれてくる。肉だ!野菜もある!
「エルフって、肉も食べるんですか!?それに野菜?木の実が主食なんじゃないのですか!?」
「肉を食べないと、力が出ないのではないですか。それに、野菜を畑で栽培している別の部族がいます。木の実は殆ど食べませんよ。」
「なっ、なるほど。わかりました。」
「元々この世界は皆、何の知恵もない種族の集まりでした。ある日、異世界から神の使者と言われる者が現れて、食文化をもたらしました。また、ある異世界人は住む家を…と異世界人の手によって、様々な物が進化して行きました。」
「よって、この世界は異世界人が作ったと言っても過言ではありません。」
「そうなんですね…。」
この世界は異世界人が作るのだと?




